2008年08月03日

相身互いの“客”(其の参)

T姐さんによると、相客はどうやらマリーナ関係の方らしい。実際、此処『ジャックポット』にはその気楽さに引かれて場内の関係者が割合によく出入りするようである。・・・・・・無論、我々の如き“純粋なる客”も大勢出入りしていることもまた言うを待たぬが。

それはさておき。

私も相客もまた1人客であった。必然的に、徒然なるままに言葉を交わすことになる。
「どちらからですか?」
「○○からです」
「それは又、遠くから・・・・・・。此処にはよく来るんですか?」
「まぁ、年に何度かは」
「僕も此処にはしょっちゅう来るんですよ。スタッフがみんな気さくでね」
「そうですよね。私もお蔭で居心地が良いんでよくお邪魔してます」
毎度毎度の会話である。度重なってうんざりしていたこともあったが、流石に此処まで続くと慣れたものである。

「僕、ブログで「歎異抄」を関西弁で書いてるんですよ」
「ほぉ!そうですか」
俄に親近感を覚えた。
「歎異抄」は嘗て私も心を惹かれ(このときも又ノイローゼ気味でアル中に近い状態であったのだが・・・・・・)その記憶があってか数年前の京都旅行中に東本願寺・西本願寺の双方で「歎異抄」を再度購入して読んだものである。その折に大体の内容は頭に入っており、殊に有名な第三章「善人なほもって往生をとぐ、いはんや悪人をや。(以下略)」の箇所は真っ先に、そして幾度も繰り返し読み返したものであるのだ。
余談ではあるが、東本願寺の「歎異抄」と西本願寺の「歎異抄」は値段が異なる。私が購入した時点では東本願寺版が¥200・西本願寺版が¥300で西本願寺版の方がやや高いが、東本願寺版が注釈しか付けていないのに比べて西本願寺版は注釈に加えて現代語訳が付いているので読み易い。これを比較するとどちらが高いか安いかなどとは一概には言えぬものである。・・・・・・閑話休題。
身を乗り出した私に先方はややたじろいだ様であった。
「いや、実際は“書こう”としてる段階で・・・・・・」
「それでも立派ですよ」
「まぁ、でも、あの「善人なほもって・・・・・・」のところがいまひとつ理解し切れなくてね。常識とは反対のことを言っているからねぇ」
「あぁ、あの箇所ですね。私も最初は理解し切れなかったんですけど、自分が良いことをしていると信じ切ってる“善人”も本当に良いことばかりしてる訳じゃなくって気付かないうちに悪いこともしてる訳じゃないですか。それよりも自分が救われないって気付いてる“悪人”の方が救われたいって気持ちが強いから、阿弥陀様のことをより信心してるんで、阿弥陀様がたくさんの人を救ってくださる御心に沿うんだよ、って意味ですよね」
この場合の“善人”“悪人”は一般的な意味では無い。“善人”とは“修行や善根を積んで自分が悟りを開いて救われるべく精進している人”、“悪人”とは“修行を積むことも儘ならず迷いの中に居る人”を差す。阿弥陀様は全ての人を迷いの道から救って浄土(悟りの世界)へと導こうとしておられるのだから、独りよがりの“悟り”を開く“善人”は阿弥陀様の御心を信じてただひたすら阿弥陀様を信じる“悪人”よりもなお悪い(始末に負えぬ)というのがその意味するところである。
この時代、上流階級と言われる層は日々の暮らしに追われることが無い故に禅や密教の修業を積むことが出来たが、庶民は日々の暮らしに追われてそのような修行をすることが適わなかった。故に死してなお救われぬと絶望していた庶民層に救いの道を示したのが「浄土宗」であり「浄土真宗」である。この為に「真言宗」や「禅宗」やなどは貴族や武家の宗教と言われ、「浄土宗」や「浄土真宗」は庶民の宗教と言われるのである。・・・・・・ついつい熱が入って拙い知識を披露してしまった。お許しあれ。
ふと気が付くと、カウンターの中のスタッフ達はぽかんとした表情をしている。
相客もまた
「教える積りが教えられるとは思わなかったな・・・・・・」
とぼやいている。
その状況を見て、私は心の中で頭を抱えてしまったものであった。

ふっと、廊下側の入口から『按針』のTaさんが入って来た。カウンターに向かい、レジ近くに居たI君と何やら打ち合わせをしている。
打ち合わせが終わり、私の方にふっと向き直るとにこやかに会釈をした。こちらも会釈を返しがてら、言わぬでも良いことまで口走る。
「どうも。今回は宿泊プランに夕食が付いてたんでついついご無沙汰になってしまいまして・・・・・・。今度は来月来ますんで、そのときはお邪魔したいと思いますが」
「はい、お待ちしております」
・・・・・・よくよく考えればこのパターンで『アムステルフェーン』の各店舗から逃げられなくなったのだな・・・・・・あせあせ(飛び散る汗)
Taさんが出てから、時刻を確認してみた。
「あれ?もう8時(20:00)になるんだ!」
「今日は来るのが遅かったですからねぇ」
「んじゃ、ぼやぼやしてると遅くなるな。一寸挨拶回りに行ってくるワ」
「はい、行ってらっしゃい」
すっかり慣れたものとてT姐さんもI君も平然としている。いつものパターンとは言え、常連でも無い私によくこれだけ便宜を図って貰えるものだ。流石にここまで無条件に信頼して貰うと、この信頼を裏切る訳にはいかぬし裏切る気にもならぬのであるが。

その後、いつもの如く『パロット』へ行って飲みつつ喋りつつ一寸歌いつつという時間を過ごし、『グランキャフェ』ではどちらがからかっているのかからかわれているのか判らぬ如きのやり取りを交わし、ほろ酔い気分になりながら再び『ジャックポット』に戻った。
この間、2時間余り。
posted by daydreamer at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) | Jackpot Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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