2008年08月05日

相身互いの“客”(其の伍)

入って来たのは、矢張り『ジャックポット』の常連さんと先程「歎異抄」のことで熱弁を振るった御仁であった。
何のかのと『ジャックポット』に入り浸りの私であるから、こちらの常連さんとも何となく顔見知りになっている。互いに挨拶を交わすと、お2人はカウンターに席を占めた。

常連さんは
「いつもので」
と、「レッド・アイ」を注文した。心得顔のI君がパッパと調え、出す。
「彼女はカクテル飲んでるの?」
と、私に話を振る。
「ま、そうですね」
「「レッド・アイ」もカクテルですけどね・・・・・・」
と、話に加わるのはI君。
「じゃ、彼女にも僕から1杯」
と、思いも掛けずオゴって頂いたものである。このカクテルは何であったのだろう・・・・・・?
常連さん、「レッド・アイ」を飲んで景気を付けた後、何時もの如くルーレットへと座を移す。Sa君がディーラーとして付いて行く。

そして、先程の御仁は私とTさんを相手に“マリーナの高速ネット化”について延々と自説を披露していた。
何でも、ハウステンボスの担当の方にも自説をブッていたそうであるが・・・・・・申し訳ないが、この“自説”、私からもTさんからもちと非現実的過ぎるのではないかと思われるもの。担当の方からも
「文書にして持って来てください」
と言われたそうであるが、
「文書に出来る位なら始めから持って行くよ」
と・・・・・・。幾ら何でもこれでは話が進まぬ。しかも、双方(というのは私とこの御仁だけでTさんは当然素面であるが)酔っている所為か、話は同じところを行きつ戻りつ・・・・・・。
そのうち
「そう言えば、待ち合わせをしてたんだっけ」
と“約束”を思い出すが
「いいよ。別に行かなくても」
などと言い出す始末。却ってTさんや私が慌て、
「お約束があるんなら行かなきゃマズいじゃないですか!」
と、2人で交互に言いながら、Tさんなどは半ば背を押すようにして“約束”に向かって頂いたものであった。
同じ頃、ルーレットが一区切り付いた常連さんも勘定を済ませて店外に出て行った。オゴって貰ったカクテルの後でラストオーダーの「XYZ」をのんびりと飲んでいた私1人が店内に残った。

さて、私も彼の如くの“問答”は久方振りのことであった。
「いや・・・・・・疲れたね」
と、思わず独りごちる。するとTさん、
「○○さん、すみません」
「?」
「○○さん、独りだけで飲みたいって訳じゃないけど、自分のペースで飲みたい方でしょ?」
「ま、ね」
「私、○○さんが先に席を立ったらどうしようって思ってたんですよ」
流石に付き合いが長いと良く見ているものである。が、それについては問題は無いであろう。久方振りではあるが、彼の如くの“問答”は決して初めてでは無いのであるから。

飲んでいるうちにSa君が帰り、後片付けを横目で見ながらグラスを呷る。すると
「あ、背後霊が居ますよ」
と、Tさん。何のこっちゃ、と後ろを向くと、屈んで隠れるようにしているのは、お察しの通り『グランキャフェ』のMさんである。
「何やってんの?アンタ」
と呆れて言うと
「Mも『グラン』じゃ阿呆なこと出来ませんからねぇ」
・・・・・・三十路間近のオヤジが何をしているのだか・・・・・・
「今日は何してたんですか?」
「今日?此処で一寸飲んで、『パロット』で「残酷な天使のテーゼ」(所謂アニメソングである)歌って、アンタんトコ行って、又此処戻って来て・・・・・・」
「「残酷な天使のテーゼ」なんか歌っちゃ駄目ですよ・・・・・・」
Mさんは呆れた様に言うが、これは割りとウケが良いので覚えた歌である。時々歌わぬと忘れるので、他に客が居ないとき位はご放念頂きたいものである。
「だけどさ、どうして閉店後に人が集まるんだ?・・・・・・って言っても客は私一人であとは社員さんだけどさぁ・・・・・・」
「じゃ、“社員其の1”は消えます」
と、Mさんが出て行き、私とTさんとI君が残された。漸く飲み干したグラスを押しやり
「じゃ、ご馳走様」
と、席を立つ。

「雨、そんなに降りませんでしたね」
「そうね」
「私、『グラン』迄行きましたけど、自転車移動する必要なかったかもしれませんね」
「ま、良いんじゃない?借り物だしさ」
と、『アムステルフェーン』の入口へ歩き、入ってすぐのところに入れておいた自転車をよっこらしょと下ろす。荷物を前カゴに入れると
「じゃ、又明日ね」
「お休みなさい」
気が付くと、見送りに来てくれていたのはTさんとI君の2人共であった。暇乞いをしてから自転車を押して歩き、ホテルに戻ると、フラフラになりながら着替え、就寝。
posted by daydreamer at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | Jackpot Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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