2008年11月09日

真昼の太陽(其の肆)

前菜を食し終わるとほぼ同時にグラスのシャンパンも無くなった。
「お飲み物をお持ち致しましょうか?」
「じゃ、白ワインを」
「畏まりました」

ホールにもそろそろ人が入り始めた様子。賑やかな話し声が聞こえてくる。が、個室の中には微かなざわめき程度の声しか聞こえぬ。結構な人数が居るはずであるのにこれ程の声しか聞こえぬとは、余程防音がしっかりしているのであろう。

白ワイン「ワインはどのようなものに致しましょうか?」
「そうですね・・・・・・さっぱりした感じのワインでお願いします」
「さっぱりした感じ、でございますか」
「はい。で、辛口のものを」
「畏まりました」
とのやり取りの後、持って来て貰ったワインがこれである。
「本日のお勧めのうちの、ボルドーの白ワインでございます」
銘柄なぞ判らぬので、とうとう訊くことは無かった。
あっさりとさっぱりと飲める辛口のワインで、口中を清めるのには最適であった。
ワインそのものを楽しむのであれば兎も角、食中酒として飲むのならば任せてしまうに限るというのが私のスタイルである。お蔭で此度は美味いワインを存分に楽しませて貰った。

スープさて、次に出てきた料理はスープの「鹿児島産栗とキノコ類のクリームスープ カプチーノ仕立て」である。
「阿久根産の栗と様々な茸をふんだんに使ったクリームスープでございます」
との説明は、ワインを選んでくれた男性スタッフから聞いた。Y総支配人はホールの団体客の集まりを差配し始めたようである。
クリームスープの味のベースは栗であった。恐らく栗を裏ごして合わせたのであろう。また、具としても大ぶりに切った栗が幾つも入っていた。クリームが合わさって滑らかになった栗の味と食感、ホクホクの具の栗の食感が何とも言えず美味かった。
また、きのこもシメジやポルチーニや椎茸などがふんだんに使われており、その旨味がたっぷりとスープに溶けていた。大好きな茸の食感も大きめに切られていたからか存分に楽しむことが出来た。両もたっぷりとして、茸の入ったスープというよりは茸のスープ煮とも紛うばかりのものであった。
それでいて、泡を立ててカプチーノ仕立てにしてあるのでくどさや重さは感じられず、軽めにふうわりと食すことが出来たものであった。フレンチにしては珍しく熱々の状態で供されたので、熱いスープに舌を焼き、冷えた白ワインで冷やす。この感覚もまた、美味いものを食す折の醍醐味である。

魚料理キャベツ包み次は魚料理の「赤座海老のキャベツ包み エストラゴン風味のソースクリュスタッセ ジャガイモのクロッカン添え」である。
ここで、料理を供するのが若い女性スタッフに代わった。
「赤座海老には鯛を巻いて、それをキャベツで巻いています。ソースは海老の頭や殻を叩いて作ったものです」
「いやいや、このキャベツ包み、可愛いですねぇ」
「ありがとうございます」
キャベツ包みは小さいキャベツの形に調えてある(右の画像をご覧あれ)。ジャガイモは花の如き形にしてカリカリの状態(クロッカン)にして添えられ、更にラタトゥイユが添えてある。
「これ、崩すのが勿体無いですよね。だけど崩さないと食べられないしなぁ・・・・・・」
などと悩むこと仕切り。
食さねば話は進まぬとばかりに、思い切ってナイフを入れた。断面の、キャベツの緑と鯛の白と海老の赤のコントラストが美しい。口に入れると、海老と鯛とキャベツの異なる香りと甘味と食感がふわんと鼻腔と口中を支配する。もぐもぐと噛む毎に美味さが増していき、飲み込むと優しい感触で喉をするりと通り、胃に満足感を与えながら落ち着いていく。
ジャガイモのクロッカンは、食感こそポテトチップス様であったものの、余計な塩味は付いておらずじゃがいもそのものの味を楽しむことが出来た。ラタトゥイユはトマトの穏やかな甘酸っぱさが野菜を優しく包み、野菜の味とトマトの味の双方が互いの味を引き立てあっていて思わず顔が綻ぶようなほのぼのとした美味さで楽しませてくれた。
ソースもまた、存分に堪能したものである。その海老の味の濃さと言い、きつ過ぎぬ塩気で優しめに調えられた味付けといい、嘗てビストロであった頃の『ロード・レーウ』の「アメリケーヌソース」を思わせるものであった。知らず知らずのうちに郷愁に浸りながら、胡麻入りパンを用いてソースを浚ってしまったものであった。
posted by daydreamer at 20:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 鹿児島散策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ここ、私も3年前、できたばかりのときに行きました。
http://huis.exblog.jp/1890491
本当にきれいなお店で、その時にもYさんが、おられました。私もひとりで行ったのですが、本当にゆっくりとさせていただきました。そのときには、ソムリエの方、エリタージュにおられた方とお聞きしましたが、今はどうなのかな。。
来年でも、ワインセミナーがミディソレイユであると聞いています。是非参加したいなと思っています。
Posted by ふくちゃん at 2008年11月09日 22:24
私も此処では2時間半かけてゆったりと食事をさせて頂きました。この日は何かの同窓会とかで、『ミディ・ソレイユ』と『ポルト・カーサ』が貸切だったんですよね。・・・・・・私の個室以外は、ですけど。
聞くところによると、こちらのスタッフは今でもハウステンボスのスタッフだった方が大勢いるようですから、ソムリエの方もひょっとしたら変わってはいないんじゃないかな?と思います。

ワインセミナーは兎も角、またこちらで食事をしたいとは思いました。流石に遠いんでちょくちょく行くという訳にはいきませんけど・・・・・・。
(なら長崎はどうなんだ、とは突っ込まないでください)
Posted by daydreamer at 2008年11月10日 23:34
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