
ハウステンボスに、この夏リニューアルオープンした『カフェ・デ・ハーフェン』。
実は、ここに、人には知られてはならぬ秘密が有ると言う。
バーテンダーと客とが美味い酒を飲みながら話に興じていると、人知れず、寂しがり屋の何者かが酒と話に興じる相手を求めて壁の中から姿を現すのだそうである。そして、その何者かがその相手を気に入ると、壁の中へと引きずり込んで“向こうの世界”へと連れ去ってしまうと言う・・・・・・。
が、最近彼らは少々様子を変えたらしい・・・・・・。

こちらは、現在の『カフェ・デ・ハーフェン』壁のインテリア(?)である。前回ご紹介した写真と大分違いがあるのであるが、お判り頂けるであろうか?
前回は、取り付けたばかりであった故、他には何の装飾も有りはしなかった。が、私がここを訪れぬ2週間の間に、先ず手前の女性の手(と思しきマネキンの手)に外国の札が貼り付けられ、そこに、私が合羽橋のサンプル屋で購入したアイスクリームとフライドチキンのサンプルを差し込んだのである。ちなみに、アイスクリームは「ラムレーズン」のつもりで購入したもの(人によっては「チョコチップ」に見えるそうであるが)、フライドチキンは「チューリップ」(手羽肉であるが、このように加工をすると「チューリップ」と呼ばれる)を用意した。
このマネキンの手、相変わらず壁のレンガに差し込んだままである。
アイスクリームを“持たせる”とき、
「これ、“持たせ”たら落ちるかなぁ・・・・・・」
「どうでしょうね・・・・・・?あ、大丈夫だ!」
意外や意外、スポンと納まってしまった。その為、
(駄目だったら持って帰らねば・・・・・・)
との危惧も無用になったので、そのまま進呈したものである。
無論、これをマネキンに持たせたのはバーテンダーのMさん。そして、この悪戯をしたのはハウステンボスに到着した金曜日のこと。
当日休みであったTさんは、
(誰がこんなことをしたんだろう・・・・・・?)
と、訝しく思っておられた由。それ故に、
「お帰り〜。それ、落ちないで残ってるねぇ」
「お蔭様で」
「あ、それ、……さんの仕業ですか」
「そ。良いっしょ」
(『西海の再会の宴(其の参)』より)
という会話が成立したのである。その折のTさん、唖然とした呆れ顔でマネキンとサンプルの「インテリア」を見ていたものだ。
ところで、『カフェ・デ・ハーフェン』のレジ後方には、来店した方々の名刺が所狭しと貼り付けられている。
ここに、何故か私の名刺もある。
・・・・・・というのは、8月にこちらに来た際に名前を尋ねられ、面倒なので偶々持ち合わせていた名刺を渡したら、あろうことか私の名前を知っている筈のTさんが貼り付けてしまったのだ。以後、名刺は増え、最早私の名刺なぞ他の方の名刺の陰に隠れて有るのか無いのか判らぬようになってしまった。
私は、この店を“行きつけ”にしているが(何せ安い。都内のバーよりも遥かに安いのである)“常連”と呼ばれる程通っている訳では無い。故に、こんなものがあると、気恥ずかしさだけが募る。
そこで
「名刺増えたしもう良いでしょ?アタシの名刺返しなさい!」
「嫌です」
「だって、他の方のに隠れて見えないでしょ?」
(くるっと上に被さっている名刺を捲り上げ)
「ほら、見えてますよ」
「でもさぁ・・・・・・別に無くたって良いっしょ?」
「俺が貰ったものは、俺のものです!」
「(それは確かにそうだけど)アンタ(の理屈)はジャイアンか・・・・・・」
ここのところ帰り際に繰り広げられる攻防である。これにも、いい加減決着をつけたいものだと考えている。だから私の名刺を返せ!
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