2007年06月26日

移り行く、されど、変わらぬ愛すべき・・・・・・(其の玖)

「今日が初ディーラーなんですよ」
というS君に向かって右端の席(ディーラー席のS君から見ると左端、カードが最初に配られる席である)に腰を下ろす。グラスは持って来なかったのであるが、ふと気が付くとTさんがコースター毎運んで来てくれていた。S君がカードをシャッフルしている間に、Mさんも私の左隣の席へと移動をして来られたものである。

カードを切り、セットする。
先ずは最初に5枚、カードを公開する。
「これでちゃんとカードが切れてるかを確認するんですよ」
「違う!そこは“カードの流れを見てください”でしょうが」
(この突っ込みは私である。いい加減アルコールが入って口が軽くなった頃であったので、考えるよりも先に言葉が発せられたのだ)
「あ、そうでしたっけ」
「あのね・・・・・・それじゃ姐さんに怒られるぞ」
怒る、というよりも心配そうに見ているTさん。
ともあれ、ゲームが始まる。
この「ブラックジャック」というゲームは、Aが1か11、数字の札はその数字のまま、絵札は全て10とカウントし、如何に21に近づけるか、というゲームである。必然的にディーラーには咄嗟の暗算力が要求される。
「えーと、これは幾つだっけ・・・・・・」
と言うS君に、思わず指を貸してやりたくなる場面も度々。
はらはらしながら遠巻きに見ていたTさん、段々ディーラー席に近付いてくる。が、客の方が私とMさんであるので、適当にS君の初々しいディーラーぶりに付き合っていたものである。

そこに、新たにゲームに加わりたいと仰るカップル客が来た。
ゲームを知らぬと仰るこちらの客に、S君は当然ゲームの説明をせねばならぬ。
「え〜っと・・・・・・」
心配で心配で溜まらず、まるで母親の如くの表情をしたTさんがとうとうS君の隣りへとやって来た。が、S君は少々硬直したまま。
「は・・・・・・」
・・・・・・よせんかい!の言葉をやっとの思いで飲み込む。するとS君、くるっと私のほうを向き
「すみませんけど説明して貰えませんか?」
「何で私が」
「だって、確実に俺より詳しそうですもん」
待て!私は客だ!!ちっ(怒った顔)
この場は取り敢えずTさんの“指導”により
「じゃ、こちらのお客さんを見ていてください」
という台詞で落ち着いたのである。
(これは、以前Tさんも初めてプレイする客への説明に取った手段である。そして、そのときの“こちらのお客さん”も私であったことはご想像に難くあるまい・・・・・・)
それにしても、ここでプレイする「ブラックジャック」は、ローカルルールなのであろうが「サレンダーダウン」(プレイヤーが賭金の半額を支払って場から降りることが出来るというルールである。プレイヤーには圧倒的に有利になるのであるが、まかり間違えばサレンダーダウンばかりを連発するプレイヤーも居るので場が盛り下がることこの上ない)が無いので、他と比べて説明がしやすいのではなかろうかと思われるのであるが・・・・・・。

カード捌きは、練習の甲斐あってまずまずである。ゲーム運びも回を追う毎に慣れてきて、段々スピードアップして来るように見える。
元々、このゲームはS君の練習である。故に、「スプリット」だの「ダブルダウン」だのとこちらが出来ることは全て行う。
が、そこはそれ、矢張りディーラー初心者である。S君、ディーラーにブラックジャック(Aと10又は絵札の組み合わせ)が来たときにのみ
「インシュランスしますか?」
「アンタねぇ・・・・・・それじゃ手がバレバレでしょうたらーっ(汗)
「良いんです!俺、お客さんに勝って欲しいんです!!」
・・・・・・それではゲームにならぬ(面白くもへったくれも無い)のを早く理解して欲しいものである・・・・・・

手元の飲み物を飲み干すと、次々にお代わりが運ばれてくる。
が、酔いも廻ってきてい、カードを凝視している為に段々首が痛くなってくる。そこで、1ゲーム終わる度に首と背中を反らしてはいたが、それでも矢張り疲れが出る。
とうとう、ゲームの切れ目を見計らい、カウンターで煙草を吸いがてらひと休みした。
「疲れました?」と、これはTさん。
「一寸ね。それに、あそこで煙草を吸う訳にもいかないし」
「座って休んだらどうですか?」
「いい。すぐ戻る」
その言葉通りにすぐカード台へと戻り、新たにチップを$50(¥2000分)追加してゲームを続ける。S君も、最後の方ではいくらか余裕が出来てきた・・・・・・ように思われる。

やがて、『アムステルフェーン』の営業終了時刻が近付いてきた。ラストオーダーが終わった頃、S君も現在の所属の店舗(一体何処であっただろう・・・・・・『ムーンシャワー』であっただろうか?)に戻り、代わってTaさんがディーラーを務める(Tさんはとうとうディーラー席には立たなかった)。
こちらは、流石に落ち着いたゲーム運びである。ゲームは粛々と儀式の如くに進み(それもまたどうかとは思うが・・・・・・あせあせ(飛び散る汗))、ラストゲームが終了した頃には、早、閉店時間が間近に迫っていた。
posted by daydreamer at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | Cafe・De・Haven Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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