2007年08月08日

新しき顔を迎えて(其の陸)

思いは、ままならぬもの。
背後で
「ブラックジャックを・・・・・・」
と、ご希望の方の声を聞いた。するとTさん、
「○○さんもブラックジャックどうですか?」
「え〜、アタシもやるの?」
「はい。新人がディーラーやるんで、○○さん、揉んでやってくださいよ」
との仰せである。
「よか!それだったら勘定5桁に乗せちゃる!!」
・・・・・・とは流石に言わなかったが、その積りで300ドルのチップ(¥5,000分)を購入してブラックジャックのテーブルに付き、ゲームを開始する。が、私はそのとき既にしこたま飲んでいる酔っ払いである。バッグと手元の酒を運んだのであるが、酒のグラスは無事だったもののバッグは隣の席に置いた・・・・・・と思ったら振り落としてしまう有様であった。

「あ!先日お会いしましたよね?」
の声にふと顔を上げると、昨年の7月(『カフェ・デ・ハーフェン』がリニューアルオープンして初めて入店した折)にブラックジャックをご一緒した方々である。
「はい、どうも、お久し振りです」
と、こちらもご挨拶を返す。縁は異なもの味なもの、こういう偶然があることに、こちらも嬉しくなる。
あれやこれやのうちに客の席が決まり、ゲームが始まる。

先ず、カードをシャッフルしてセットし、最初の5枚を並べ、お決まりの
「カードの流れを・・・・・・」
の台詞。この辺り、前月のS君よりもきちんと覚えていたようである。が、何せ新人のすることである。視線は常に下を向き、必死の表情は覚えていることをこなすのに精一杯、という風情である。・・・・・・尤も、酔っ払いのあやふやな記憶であるから定かでは無いが。
カードが配られる。
ここで、この酔っ払い(私のことだが)は、ボケッとしてついつい普段の癖を出してしまった。何事かと言うと“考えごとをするときにテーブルをトントンと叩く癖”を出してしまったのである。
実は、これはブラックジャックの決まりごとで「ヒット(カードを貰う)」という合図である。そのとき、私の手元のカードが示した数は「18」。「21」に如何に近づけるかというゲーム、しかも「22」以上は「バースト(負け)」の手であるので、一瞬カードを貰うか貰わないか躊躇した際にテーブルをノックしてしまったものと思われる。
(酔っ払っているときの私の行動は、素面の当人でも意味不明である。お蔭で要らないものが部屋に溢れ、思いもよらぬ領収書が手元にあったりするのである。・・・・・・流石に知らない部屋で目覚めたことだけは無いが・・・・・・閑話休題)
あっと思ったときには遅かった。既にもう1枚のカードが配られていた。
「あ、ゴメン、要らないんだけど」
「それ、ヒットの合図ですよ」
「そうだけど、ゴメンね、本当に要らないんだワ」
無言でスッと手が伸び、出したカードを引っ込める。それじゃ、まぁ・・・・・・といった状態の仕草である。
流石にこれでは仕方が無いと、必死でカードを注視し、ゲームに集中するようにした。いつもの状態とは正反対である。が、これは致し方あるまい。
ゲームは、愛想の無い(というよりも愛想を作る余裕が無い)ディーラーH君の下、淡々と進んでいった。こちらも、勝ったり負けたりを繰り返す。が、こういった状況であるので、段々に睡魔が襲ってきた。心なしか、その数日前から悪かった胃も(実は少々の血を吐いてから1週間も経っていなかったのであるが、コレを隠して飲んでいたのである。故に、この状態は自業自得以外の何物でも無かろう)悲鳴を上げているような気がする。
その為、申し訳無いが1クールでゲームを降りさせて貰った。荷物を戻し、そのまま化粧室に駆け込む。
「大丈夫ですか?」
と、ドアの外で心配そうなTさんの声。

いつもの席に戻り、S君にウーロン茶を出して貰う。Tさんも、心配そうに水のグラスを用意してくれていた。
「大丈夫ですか?」
「まぁ、ね・・・・・・」
あのときのTさんの表情から察するに、私の顔色は少々悪くなっていたのやも知れぬ。
「○○さん、Tさん」
の声にふと顔を上げると、向かい側の席にT会長が座っておられるのが見えた。
「あ、どうも」
と頭をちょこんと下げたが、それが限界であった。
気が付かぬうちに、私は、前月に続いて眠りこけていた。
posted by daydreamer at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | Cafe・De・Haven Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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