2007年10月20日

やさしさの、ひととき(其の肆)

「そう言えば、また見慣れない顔がいるね」
「あ、彼ですか?」
「そうそう」
先刻からここを出たり入ったりしている新米バイト君である。
「何だか随分忙しそうだよね」
「ええまぁ、ちょっと・・・・・・」
「・・・・・・ところでさ、ワタシ、自分の商売の所為かあそこに置いてある「生ハムサラダ」がずーっと気になってるんだけど・・・・・・」
「・・・・・・それは、私もです」
Tさんと思わず顔を見合わせてしまったものである。
実は、「クラウディー・スカイ・リッキー Tさんアレンジヴァージョン」が出てくる少々前に、Taさんがテラス席の注文であると思われる「生ハムサラダ」をカウンターに置いたのだが、それが何時までも運ばれぬままであったのだ。
そこへ、折良く(折悪しく?)H君が新たな注文を持ってくる。
「○番テーブル、※※と、△△です」
「じゃあさ、それは私がやるから、先にこれ持って行ってくれる?」
「えーと、これは・・・・・・」
「こっちの伝票でしょう。だから、▽番のテーブルに・・・・・・」
・・・・・・ようやく「生ハムサラダ」がテーブルから離れた。
誤解を招かぬよう申し上げておくと、この「生ハムサラダ」がカウンターに置かれてから、新米君もH君も数度注文の品を調えたりメニューを持って行ったりとカウンターのところには来ているのである。そして、Tさんはそれをハラハラしながら見つつもカウンターを動けぬ(何せTaさんがフードメニューを調えに奥に入りっ放しであるので、Tさん自身はドリンクメニューを調える為に待機して居らねばならぬ)ので、自分が持って行く訳にはいかなかったのだ。故に、この「生ハムサラダ」はカウンターに置いてあるままになっていたのである。
こういうときには、入ったばかりの面々で動くことの難しさを感じる。もしもこれが多少なりとも慣れたMちゃんやAちゃんやS君ならばついでに一寸、と運ぶことも出来たであろうが、未だ入ってから2〜3ヶ月のH君や新米君にそれを求めるのは酷であろう。仕方の無いこととは申せ、その辺りが何とかならぬものであろうかと思ってしまったものであった・・・・・・閑話休題。

さて、一時出てきたかな・・・・・・と思いきやまたもや奥に籠ったTaさん、フードメニューも一段落したようで、ようやっと奥から出てきた。
「お代わり、いきます?」
気が付くと、グラスは空であった。
「じゃ、お願い」
「何にしましょう?」
「・・・・・・思いつかないんで、適当に」
また“モノグサ”の癖が出た。
尤も、『ハーフェン』の場合TさんもTaさんも私の好みを知っているので心配は全く無い。
10.6「ブルーベリーリキュールのオリジナル」そこで、Taさんが作ってくれたカクテルがコレである。
「コレは、何ですか?」
「名前は無いんですけど・・・・・・ブルーベリーのリキュールと、コレは色が出ないんでこちら(ブルーキュラソー)を入れて、あとはサッパリ系の味に作ったオリジナルです」
このカクテルを口にして、驚いた。
このブルーベリーのリキュール、もの凄く香りが立つのである。飲み口はサッパリと優しく、立ち上る香りが体の隅々まで染み込んでいくかの心持ちすらする。そして、ほんのりと有るか無きかの甘みが疲れを癒す。
「いや、これ、美味しいですねぇ!」
と、思わず口にしてしまったものである。未だ名も無きカクテルというのであれば「Tenderly」とでも呼んでしまおうか。

そして、前記事では書かなかったが、先のTさんの「クラウディー・スカイ・リッキーアレンジヴァージョン」と言われたカクテルも、実を言うと結構美味かった。これもまた飲みたいと思ったカクテルであったことに違いは無い。
これを出されたときには“アレンジヴァージョン”と言われてしまった故にそれ以上は話が進まなんだが、もしも名を付けるとすれば「Feel easy」と言ったところであろうか。

「僕、昨日誕生日だったんですよ」
「あら、そうですか。おめでとうございます」
「25(歳)になりました」
「ほう」
「四捨五入すると30(歳)ですよ。いやぁ、年は取りたくないもんですねぇ・・・・・・」
確かに忙しかろう。
今日も、奥に入ってはフードを調え、終わると一散に注文の品を運び、、一寸でも手が空けば呼び込みをし、コマネズミの如くに動き回り働き回り・・・・・・が、未だ20歳代半ばで言う台詞でもあるまいに。
隣りで聞いていた年上(そう言えばこの人も四捨五入すれば30歳であった)のTさん、これを聞いて思い切り苦笑をしていたものであった。
posted by daydreamer at 13:26| Comment(0) | TrackBack(0) | Cafe・De・Haven Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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