2007年12月24日

ペース配分・・・・・・(其の玖)

そこへ(折悪しく?)女性スタッフの御姉様が通りかかる。
私はド近眼の上、『グラン・キャフェ』はムーディーな雰囲気を出す為か照明がかなり絞ってある。必然的にネームプレートなど読み取ることは出来ぬ故、よくお見かけする割にお名前を存じ上げぬ。
「そう言えばさ、あの方何て仰るの?」
「ラブです」
「は?」
思わず大声を出してしまう。
「どうかしたんですか?」
「いえね・・・・・・此処、暗いでしょ?」
「はい」
「で、私、近眼ですよね」
「ええ(?)」
「だからね、ネームプレートを読めないんで「お名前は何て仰るの?」って聞いたら「ラブです」って答えるもんで・・・・・・」
「ああ、成る程」
笑いながら答える。
「お好きに呼んでくださって構いませんよ。みんな好きなように呼んでますから」
幾ら何でも“只の客”の分際でそういう訳にもいくまいが。“常連さん”ならばともかく。

「でね、この間来たときMさんに「生え際後退した?」って聞いてエラク怒られましてね」
「え?それくらいなら怒らないでしょ??みんなに“禿げ茶瓶”って言われてるのに」
「(それもまたエライ言われ様だな)いえね、それで帰るときに「勘定10倍貰っとけ!」って・・・・・・ま、どっちも冗談だって解ってますけど言うんですよ。そしたら、勘定書受け取った方が本気にしちゃって「どうしましょうか?」ってオロオロしてたのがお気の毒でね・・・・・・」
これには、Mさん迄もが驚いた様子。
「誰だろう、それ?」
アイツか、コイツかと様々に名前が挙がる。
そんな中で、この御姉様がひと言キッパリ。
「でも、それは真に受けるのが間違ってますよね」
ここでMさん、ふと表情を変える。
「そう言えば○○さん、もうすぐお誕生日でしたよね」
「そう言や、そうだね」
「お誕生日おめでとうございます」
「おめでとうございます」
予想もしておらなんだこと故、驚く。
「ありがとうございます」
ふたりともニコッと笑顔を見せる。こんなときにこの話題を振るのもどうかな、と少々躊躇したが・・・・・・
「そうそう、去年、こちらに「Birthday Cocktail」を作って貰ったんですよ。華やかな可愛らしいカクテルでね」
「まぁ、そうなんですか」
「だけど、後がね・・・・・・ソレ出してから、グラスの底のほうを指差して「ここ黒くした方が良かったですかね」ってぶち壊すんですよ。「○○さん、腹黒いから」って」
「事実じゃないですか」
「だから、アタシは毒はあっても腹黒くは無いっつーの」

テーブル席から、フードのオーダーが来た。
若い男性スタッフが、オーダーを通しに来てそのまま調理に入る。私の席(カウンター右端付近)の前は、どうも調理器具がある場所である様子(何せ壁際には電子レンジも鎮座ましましている。こういう場所が落ち着くとは、商売柄とは言え因果なことで・・・・・・)。電子レンジで何やら温め、皿に盛り付ける。Mさん、横から手を出して盛り付けを直しながら何やら指導をしているようである。
ここでふと、この男性スタッフが目に入った。
『ジャックポット』の“顔担当”H君とよく似た風貌のスタッフである。思わず、言葉が口を付く。
「ここ(『グラン・キャフェ』)、結構イケメンのスタッフ揃えてるよね・・・・・・」
一心不乱の男性スタッフに、Mさん
「ほら、イケメンだって」
「ありがとうございます」
「イケメン?」
ニヤニヤしながら傍らのスタッフの顔を見る。照れた様に、彼のスタッフは俯く。
「イケメン?」
更に顔を覗き込む。
「これ、止めんか」
幾ら何でもこれ以上は可哀想だろうが。
くるっと御姉様に向き直り、話しかける。
「まぁ、ね。コレ・・・・・・コレじゃ拙いな・・・・・・このバーテンダーさんもね」
Mさんを指差す。
「ツクリは決して悪く無いとは思うんですよ。でもね、そこはかとなく漂うお笑いテイストが強過ぎてですね」
「M、お笑い系ですもんね」
即座に肯定する。
「でもね、コレも、初めて『ハーフェン』の頃に会ったときにはひと言も発しなかったんですよ」
確かにあのときはTさんとずっと話をしていたのだが、それでも、俯いてひとり流しを片づけ、シェイカーを振り、ミキシンググラスとバースプーンを握り・・・・・・なんと真面目で無口な男性スタッフよ、必死で頑張っているのだなぁと好感すら持っていたのだが・・・・・・。それが何時の間にやらお笑い系であることが判明し、また、呆れるようなエピソードにも事欠かぬし(夏にオレンジ広場辺りで会ったときなど顎の下に汗疹をびっしり作っていたものである。あの汗疹は酷すぎて船の中での転寝でうなされた程であった)、あの折の好感など今となっては思い出すべくも無い。
「そのままずっと喋らなきゃ良かったのにね」
ご尤も。

「ところで、ラストオーダーですけどどうします?」
「あ、もうそんな時間か・・・・・・『ジャックポット』の方はどうしようかな?」
「この建物は、みんな23:30がラストオーダーです」
見ると、時刻は23:30を回ってしまっている。
「じゃ、いいか。あと1杯、貰っていくワ」
「この後『ヴィノ』でも飲むんですか?」
「うんにゃ、飲まない飲まない」
「それじゃ、何にしましょう」
「そうね、「XYZ」、貰おうかな」
「それは、何かとの決別ですか?」
どきりとした。
が、未だ決まっている帰国はあと1回ある。この状態ならば、決別には、未だ、ならぬ。
「何でや?アタシが都内の行き付けで「XYZ締め」って言われる注文してるのは知ってるでしょうに」

Mさん、カクテルを作りにカウンターの向こうの方へ行く。
バーテンダーというのは、ある種のショウ・マンだと思っている。
カクテルを作るところから、客はカクテルに酔わされるのだ。
それを知ってか知らずか、ここハウステンボスのバーテンダー諸氏もそれぞれシェイクのスタイルを持っているところが面白い。
例えば、『ヴィノテーク』のI氏は、僅かに背を反らすものの正中に重心をかけた直立不動に近いスタイルで、最もオーソドックスと言えるであろうものである。N氏はI氏のスタイルと同様の直立不動スタイルであるが、こちらはもう少し背を反らし、伸び上がっているように見える。
伸び上がると言えば、『ジャックポット』のTa氏である。初見の頃はオーソドックスに見えたスタイルも、よくよく見ればかなり独特のもの。両足の爪先に体重をかけ、前方に重心を置いて伸び上がり、まるで放り投げるかの如くにシェイカーを振る。S君は、顔の前でシェイカーを扱う他の方とは違い、胸元にグッと引き寄せて振るスタイルである。・・・・・・T女史は“魅せる”のは今少し先であろうな。
そして、『グラン・キャフェ』のM氏のスタイルもまた独特のものである。こちらは『ジャックポット』のTa氏とは正反対に、重心を落としてやや踵に体重をかけて振るのがスタイルである。・・・・・・が、振っている途中で立ち上がり、こちらに歩いてきたのにはビックリした。このオトコ、このような芸当も出来たのか。
「XYZ」が、グラスに注がれる。
目の前に出てきたそれを、口に運ぶ。・・・・・・何だか妙にジュースの味が濃いような・・・・・・以前『カフェ・デ・ハーフェン』で貰った(注ぐときに溢した)ものともちょいと味が違うか??
「どうですか?それ」
「うん、美味しい」
こちらとしてはそう答えるより他は無い。
「前にブログで「アルコールが立ってきた」って書いてあったでしょ?」
「書いたね」
「だから、今回はアルコールを一寸抑えたんですよ」
そう言えば、コイツは「どんな悪口が書いてあるか」チェックする為に拙ブログを読んでいたのであった。が、コイツが読んでいるのはlivedoor版であろうか?それともSeesaa版であろうか?何せ同じ記事を2つのブログで書いているので、どちらを読んでいるのやら見当も付かぬ。
posted by daydreamer at 12:07| Comment(0) | TrackBack(1) | Amstelveen Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: シェイカー (調理器具)シェイカー または シェーカー(英shaker)は、カクテルなどを作るための器具のひとつ。金属、とくにステンレスで出来ていることが多い。稀にガラスや陶製のものもある。カクテルの..
Weblog: おいしいお酒
Tracked: 2008-02-15 13:07
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