2007年12月24日

ペース配分・・・・・・(其の拾)

アルコールを抑えた「XYZ」を飲みながら
「そうそう、早く『ジャックポット』に帰んなきゃなぁ・・・・・・いい加減精算もしなきゃね・・・・・・」
と独りごちたとき、電話が鳴った。
Mさんが電話を取る。ふた言、三言話して電話を切り
「『ジャックポット』からですよ。○○さん、居るかって」
いつもであれば、ラストオーダーの時刻には戻ってきてラストのドリンクを飲んでいるのである。それが、今回はラストオーダーの時刻を過ぎても未だ戻って来ない。勘定も済ませておらぬし、心配するのも当然であろう。
「ありゃま。じゃあ、本当に急がないとね。それにしても、こんなに遅くまでここに居るとは思わなかったなぁ・・・・・・」
「だから聞いたんですよ。『ヴィノ』に行くんですか、って」
「あ、そうか」

「でもね、一寸前迄はこんな風に此処のカウンターで飲むなんて思ってもみなかったよ」
「そうですか?」
「ま、ね。だってさ、アンタが来る前に此処に来たのは『ハーフェン』が出来る直前の3月でね、ほら、Tさんが此処に居た頃」
「あ、そう言えば居ましたね」
御姉様が引き取って答える。
「○○さん、Tさんが休みの日狙って来るでしょう」
「そう言われても不思議じゃないよね・・・・・・ここまで重なると。それは置いといて、そのときも飲んでたのは端っこの小っちゃいテーブルでね」
ふたり、声を立てずに頷く。
「こっちも居るの知らないじゃん。でね、席についてボーっと外を見てたらね、こっち(と左手を斜め頭上でヒラヒラさせる)から「○○さん♪」って呼ばれたんだよね」
「その「○○さん♪」って言い方がムカつきますね」
「もう、慣れたよ」
幾ら何でもTさんとて人は選んでいるぞ?怒りそうも無いのを。
確かに人によってはこの接客は「馴れ馴れしい」と感じるやも知れぬが、私の場合、これもソレの個性として楽しんでしまっているのだ。何ら問題は無かろうに。
・・・・・・と言うより、何故アンタがムカつくのだ?Mさん。

最後のひと口を飲み干したときには、既にテーブルにも客は居なかった。
「さてさて、長居したね。じゃ、お勘定を」
「畏まりました」
時刻も時刻とて、他のスタッフはもう帰ってしまったのであろう。普段であればカウンターにでんと鎮座しているMバーテンダー自らが勘定書を手に取り、レジを打つ。その日の勘定¥2,030を支払うと
「じゃ、急いで『ジャックポット』に行かなきゃね」
と、バッグを肩に掛け直す。
ふたり、寒い店外迄出て送ってくれた。
「じゃ、次は来月に」
「はい、ありがとうございました。良いお年を」
「あ、そうか・・・・・・良いお年を。また、宜しく」
「はい、お休みなさい」
ハウステンボスでの「XYZ締め」は、これが二度目である。
では、自らに引導を渡すときは如何致そうか?
聞けば、「XYZ」によく似たレシピの「ラスト・キッス」なるカクテルがあるのだそうな。このふたつを続けて飲むのも面白いかも知れぬな。
愛する彼の地と、最後に別れの接吻を。
・・・・・・うーむ、自分で言ったことながら歯がガタガタに浮きそうな台詞だ・・・・・・

一歩、二歩と足を進める。・・・・・・と同時に、脱兎の如く『ジャックポット』に飛び込む。
「ゴメン!遅くなった!!」
もう、店内は片付いており、後ろの棚にも白い布が掛けられている。店長Taさん、レジの前に居り、私の顔を見てホッとしたような表情を見せる。
「で、幾ら?」
「丁度¥5,000です」
「ホントに?」
こちらが驚いた。何せ、財布の中にあるのは一万円札と五千円札が一枚ずつ。小銭も心細く、¥5,000ならば勘定に面倒が無いと思っていた矢先であったのだ。
「嘘は付いて無いですよ」
頬を膨らませ、口を尖らせてI君が言う。
「誰も嘘とは言わないよ。じゃ、これね」
五千円札を渡す。そして、ずっと置かせて貰ったコートを羽織る。
「じゃ、本当にゴメンね」
「いいえ」
「それじゃ、次は来月ね。正月明けの3連休」
「はい、お待ちしてます」
次に来たときには“預け金”を渡しておき、遅くなったらそこから精算をして貰うことに致そう。そうすれば、此度の如くレジが締められずやきもきすることも無いであろう。
「じゃ、また」
「はい、お休みなさい」

メインのライトアップは流石に消えていたが、それでも、あちこちのイルミネーションが美しい夜であった。
陶然としながら宿泊している『デンハーグ』迄歩き、玄関前で自転車をオーバーナイトで借りていたことに気付いて慌てて『アムステルフェーン』へ駆け戻る。日付はとうに変わっていたが、『パロット』からはまだまだ灯りが漏れ、笑い声が聞こえる。
自転車に乗って『デンハーグ』へと戻る。冷たい風が火照った頬に心地良い。
『デンハーグ』に着き、自転車を留め、鍵をコートのポケットに入れてホテルに入る。エレベーターへ向かう途中、ふと『ヴィノテーク』を見ると、ドアは既に閉められていた。

此度は、似非ライターchibapeanutsばりに時系列に沿って“とある一夜”を書いてみた。如何お読みくだされたであろうか。

この「Amstelveen Story」なるカテゴリも作ったは良いもののあまり活用は出来ぬやもしれぬ、と思えなくも無い。
何せ私のスタイルは、その場であった出来事をデフォルメし、多少は実際に起こったことと順番を入れ替えて書く「ハーフフィクション」なのである。こういう場合、時系列に沿って全体を書くよりも店毎に抜き出して記事を書く方が遥かにやり易い。
が、此度ばかりは店毎に抜き出すと『ジャックポット』のやきもき感が伝わり難いであろう故、このような書き方をしたのである。

最後に、此処までお付き合いくださったみなさまに感謝を。
長ったらしく拙く読み難い文章に最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございました。
posted by daydreamer at 18:17| Comment(0) | TrackBack(0) | Amstelveen Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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