2008年01月27日

負けじ魂(其の玖)

戻って来た『ジャックポット』は、いつもの(客の落ち着いた)『ジャックポット』であった。いや、“いつもの”『ジャックポット』では無かったやも知れぬ。何せ“シンデレラ”のH君がカウンターの中に居たのだから。
「あれ?H君、今日は帰んなくて良いの?」
「いや、僕、別に早く帰らなきゃならない訳じゃないんですよ」
・・・・・・その割にはいつも
「お先に失礼します」
があったようだが?
「僕、ここから自転車で15分位のアパートに住んでるんです」
「ふ〜ん、じゃ、自転車通勤?」
「そうです。だから今の時期は寒くって・・・・・・」
まぁ、そうだろうな。特にコイツは矢鱈寒がりのようであるし。
そんなH君ではあるが、カウントダウンの日には流石に自転車を置いて帰ったのだそうである。
「あの日、雪が降ったじゃないですか。だから、その日だけはS先輩に車で送って貰ったんですよ」
「成る程ね」
「でもその日、従業員用の駐車場までお客さんに開放してたんですよ。だからゲート迄歩いていったんで、やっぱり寒かったですよね」
「カウントダウンねぇ・・・・・・やっぱ忙しかった?」
「僕、その日屋台だったんですけど、(午後)2:00から(午前)1:00迄ずっと立ちっ放しでしたね」
「それはそれは・・・・・・ご苦労さん」
ここでくるっと右を向き、傍らに居たTさんに話しかける。
「カウントダウンもね、一遍来てみたいとは思うんだけど、やっぱり都合が付かなくて中々、ね」
「来ない方が良いですよ。だって○○さん、人込み嫌いでしょ?」
「ま、ね」
「あ、でも来れば“普段と違ったハウステンボス”が見られますよ」
「うん・・・・・・でもやっぱり止めとくワ。人が多いのは得意じゃないし」
そうだろうとばかりに頷くTさん。

「ところでさ、折角だからH君に何か作って貰おうかな」
「こうしてみんな一人前になっていくんですねぇ・・・・・・」
訳の解らないオヤジのような台詞を、S君がしみじみと吐く。
「ところで、何が出来るの?」
「えっと・・・・・・」
「メニューにあるものは大体出来ます」
「シェイクとかは未だ無理だけど、ビルドものだったら大丈夫ですよ」
店長TaさんとT姐さんがほぼ同時に助け舟を出す。
「そう、じゃね、「スプモーニ」貰うかな?」
「アルコールは?」
「今日は流石にがっつり飲んでるし、弱めにしてくれると嬉しいな」
「畏まりました」
H君作「スプモーニ」そこで出てきたのがこちらの「スプモーニ」。
「この、アルコール弱めのところが▼ちゃんの愛情です」
ソンナモノは、どうでも宜しい。

「スプモーニ」を飲みながら、食い残していた「チーズ」を片づける。
ふと、思いついてTさんに聞いてみた。
「今さ、幾らくらい?」
「少々お待ちください」
文字がずらりと並んだ伝票を取り出してくる。
「今、¥7,700ですね」
「そうか・・・・・・んじゃ、今日はイケるかな?」
「?」
「いやね、一遍ここで5桁の勘定払ってみたいと思ってね」
「『グラン』に浮気しなきゃ5桁行きますよ」
・・・・・・根に持っているものだ、この姐さんも。
私にしてみれば『グランキャフェ』も捨て難い場所としての位置を確立しつつあるのである。照明を絞って静かな音楽が流れる中、独りグラスを傾けて越し方、行く末をしみじみと見詰める。たまさかに流れるピアノにうっとりと聞き惚れ、音楽の世界に心遊ばせる。時折ふと浮かび上がるカクテルの色が幻想的な世界を募らせ・・・・・・それは、まぁ、ヒトが目を閉じて音楽に聞き惚れているときに
「寝てますか?」
などと聞いてくる阿呆も居るがむかっ(怒り)

「ま、取り敢えず・・・・・・値段が高いのはオリジナル位か・・・・・・じゃ「デリーフデ」ね。あと、「ウーロン茶」のお代り頂戴」
「無理しなくても良いですよ・・・・・・・」
I君作「デリーフデ」既に飲み慣れた「デリーフデ」ならば、それ程アルコールも強くは無かろうし問題は無かろう。これが「ブラックジャック」だと少々強過ぎるし、「ハーフェン」は甘過ぎて悪酔いしそうなのである。
「今日は昨日より体調良さそうですね」
と、Tさんが言う。
確かに、前日は眠気が増してきて仕方が無かった時分であるが、この日は眠気は起こらぬ。矢張り、チェイサーでガブガブ飲んでいる「ウーロン茶」が効いているのであろうな。

「ところで、そろそろラストオーダーですけどどうしますか?」
「そうだね・・・・・・何か1杯と、最後に、えーと、「XYZ」とよく似たレシピで「ラストキッス」ってのがあるんだって?それ飲みたいな」
「「ラストキッス」ですか?・・・・・・I君、知ってる?」
TさんとI君、2人で首を傾げている。I君など、奥の引き出しからカクテルブックを取り出す始末。
「あ、んじゃいいや。「XYZ」ね」
「それじゃ、次までに調べておきます」
posted by daydreamer at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | Jackpot Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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