2008年04月29日

更けゆく晩春の宵に(其の弐)

「それじゃ、今のうちに渡しておこうかな?」
「何ですか?」
「これ」
と、取り出したのは、羽田空港で買い求めた『クイーンアリス』の「空港限定スティックケーキ」である。甘いモノが苦手な私であるので自分で食すことは無いが、限定モノとあってはせめて購入だけでもしたいという欲求がある。それを満たすのに、『アムステルフェーン』のスタッフは打って付けの“人身御供”だったりもする。無論、そうは言っても矢張り甘いモノが苦手なEちゃんに無理強いをしたりするコトは無いが。
「へぇ、美味そうですね」
「アタシじゃ食べられないから判らないけど、間違いは無いんじゃないかな?『クイーンアリス』のスイーツだし」
「そうなんですか」
「ま、此処のシェフもそれなりの人だしね。あのさ、「料理の鉄人」って番組があったのは知ってる?」
「・・・・・・?」
此処で話が途切れてしまった。後でよくよく考えてみれば、この中で年嵩のI君ですら20歳代の中盤であるので、幾ら有名番組とは言え随分前に放映された深夜番組の話をするのは些か無理があったのやも知れぬ。
「ま、6本あるからさ、3人で分ければいいっしょ。Eちゃんは確か甘いモノ駄目だって言ってたし」
「ああ、Eは駄目ですねぇ」
「だからさ、Eちゃんにはこれ買ってきたのよ。後で渡しといてやって」
と、取り出したのは「錦松梅」。一応パッケージには佃煮と書いてあるが、言ってみればふりかけの“ちょいと高級”バージョンである。
「ありがとうございます。喜びますよ」
「なら良いけどね」
「で、このケーキは・・・・・・」
I君、何やらケーキを見詰め、指し示しながら言う。
「これはHaちゃんだろ、こっちがTさん、で、俺、俺、俺、俺」
をいたらーっ(汗)

グラスが空になった。
「お代わりは如何ですか?」
「それじゃ、「ブルドッグ」を」
「畏まりました」
I君、カクテルを調えにその場を離れる。
残ったHa君と私で話を始める。
「私ね、スノースタイルの塩が苦手なのよ」
「スノースタイル、ですか?」
「そう。あのさ、カクテルグラスの縁に塩とか砂糖なんかが付いてるのがあるでしょ?あれがスノースタイル」
「詳しいですね」
「・・・・・・って言うより、こういうところに来ると中の人(バーテンダー諸氏)があれこれ説明してくれるんだよね。お蔭で覚えちゃって」
「そうなんですか」
「そうそう。んで、話戻すけどさ、このカクテルも本来は塩でスノースタイルにして「ソルティドッグ」ってのが普通なんだけどね、私は大抵塩抜きで頼むんだワ。そうすると「ブルドッグ」って名前に変わるんだな」
「はい」
「だからさ、「マルガリータ」なんかもスノースタイル無しで頼むことが多いんだよね」
「はい」
ここで「マルガリータ」の逸話をポツポツと話す。昔のカクテルコンクールで優勝してから広まったこと、名称の由来は亡き恋人に捧げたカクテルであるので恋人の名を付けたこと、彼女が亡くなったのは猟に出たときに流れ弾に当たったということであるらしい・・・・・・等々。
無論これもあちらこちらでの聞きかじりであるが、Ha君、うんうんと頷きながら聞いてくれる。興味深げにして貰えるとこちらも話甲斐があると言うもの。
・・・・・・が、「ブルドッグ」のグラスを手に戻って来たI君がひと言。
「でも○○さん、こいつ、そもそも「マルガリータ」が何だか知らないと思いますよ」
和んでいた雰囲気をぶち壊すなよ・・・・・・。
posted by daydreamer at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | Amstelveen Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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