2007年06月25日

移り行く、されど、変わらぬ愛すべき・・・・・・(其の捌)

入店してきたのは、“我等が御大将”、いや、“ハウステンボスの御大将”とも言うべき地元常連のMさんである。
この方は、ハウステンボス従業員をして
「従業員よりハウステンボスに詳しい方」
と呼ばれ、特に飲食店のスタッフには信奉者が多い。何せ『カフェ・デ・ハーフェン』新店長のTaさんもまたこの方の信奉者の1人であり、この方のブログ(既にブログ管理人と当人の顔と名前が一致している)の話題を熱っぽく語っていたものであるのだから。もしもこの方に匹敵する方と言うならば、矢張り地元常連のGさんをして他にはおられまい。真にこのお2人には圧倒されることばかりで・・・・・・閑話休題。

「こんばんは」
「お久し振りです」
と、いつもの如く、挨拶を交わす。
「何になさいますか?」
「今日はノンアルコールで」
との注文を通す。Mさんは、この日は車での帰国であった(そしてこの後自宅へ帰られた)のである。無論、それと知っているTaさんも大きく頷きながらノンアルコールカクテルを作る。
ここで1枚のDVD(中身は恐らくお察しの方も多いことと思う)をお渡しし、四方山話に入る。
「今日はどちらへ?」
「『花の家』に行ってきました。やっぱり店外メニューだけでは分からないことも多いですね。実際に行ってみないと」
「そうですね」
この方と話をしていると、どうも飲食店の話題になることが多い。
その所為か、「アフタヌーンティー」を平らげて胃の調子が安定せぬ私も、些か腹が減ってきた。

生ハムサラダそこで、「生ハムサラダ」¥800を注文した。
待つこと少々、来た「生ハムサラダ」は、やや厚めにスライスした生ハムがリーフレタスと玉葱のマリネの上にドカッと乗っている。ドレッシングは酢と油のシンプルなもの(・・・・・・とは言っても真逆に穀物酢やサラダ油は使ってはおらぬが)であった。
いやはや、誠に豪快なものよ、と思ったものである。
食してみると、生ハムの塩気とオニオンマリネの酸味がレタスのサッパリとした瑞々しい味で中和され、美味なものである。やや塩気が勝った味わいは、正に酒の肴にピッタリで、バーでの食事としては及第以上のものと言えるのではなかろうか。
が、惜しむらくは私の特殊な嗜好である。私は普段、サラダを食すときにドレッシングやマヨネーズの類は一切用いず、そのまま口にしてしまう(この点マヨネーズ好きのTさんとは正反対である)。故に、私にはこのときに掛かっていたドレッシングの油が強すぎると感じてしまったのである。次回、もしも我儘を許して貰えるのならばドレッシング無しの「生ハムサラダ」を食してみたいものである。

それはさておき。

「生ハムサラダ」を食している間であっただろうか、カウンターの中程にどうも見覚えのある方が居られる。その方はテイクアウトでドリンクを注文され、海側の出入り口へと向かう途中
「お久し振りですね」
と、私に声を掛ける。こちらも、
「しばらくです。お元気でしたか?」
と、応える。その方は誰あろう、3月に似非ライターが“物々交換”で待ち合わせをしたMarさんの先輩さんである。
この日はどうやらお連れ様がいらしたようで、この場に長居は出来ぬ由。そこで、Marさんのお噂(大した話ではない。前週に宿泊された、という程度の話である)などの四方山話をし、
「今日は『アムステルダム』に泊まってるんですよ。また、時間が出来たらこちらに来ますね」
という先輩さんに手を振ってお見送りをする。
「ああいう方が増えてくれればね」
と、隣りのMさんもニコニコ顔である。

さて、「生ハムサラダ」を食してひと息つくと、どうやら注文も一段落したようで、店内にはホッとひと息、という雰囲気が漂っている。
そこでS君、再度
「じゃ、練習してきます」
と、カード台に向かう。
「練習ねぇ・・・・・・じゃ、一寸付き合おうかな?」
と、先程ゲームが終了して預けたチップを出して貰い、カード台へと座を移した。
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2007年06月24日

移り行く、されど、変わらぬ愛すべき・・・・・・(其の漆)

ともあれ、グラスは空いている。
Tさんが次に作ったのは、オールドファッションドグラスに入った、目にも鮮やかな淡い色のカクテルである。
「ジンベースで「カジノ」って言うカクテルがあるんですよ」
「はいはい」
「これはですね、それをアレンジした「なんちゃってカジノ」です」
成る程。
確かに飲みやすい味である。が、そろそろ『カフェ・デ・ハーフェン』の姐さんの特徴である“アルコール強め”の味わいが出てきている。
「気が付いてました?段々アルコール強くしてるの」
「まぁ・・・・・・(それもこのヒトの癖だしな・・・・・・)」
「3杯目にしては強すぎました?」
「いや、別に」
こちらはそれ程の拘りは無いのである。実際、最初にガツンと「マティーニ」を飲んで
「今日は胃が痛いから後はノンアルコールでね揺れるハート
「・・・・・・たらーっ(汗)
という注文をしたこともあるくらいであるのだから。
(ちなみにこれは8月に『ハーフェン』を訪れたときのTさんへの注文である)
この辺りで、名残を惜しみ、Aちゃんとブラックジャックでゲームを楽しむ。・・・・・・実は、Aちゃんとだけ、私はゲームをしたことが無かったのだ。
1クール終了したところでゲームを終える。
ディーラーの腕か時の運か、勝ちも負けもせぬ。
「チップ無くなったんですか?」
「んにゃ、未だあるけどね」
あまりにも早いゲームの終了に、流石のTさんも目を白黒。
そのまま席に戻り、カクテルを呷る。

この頃、ふいっと他所の男性スタッフが入って来た。
そして、ブラックジャック台のディーラー席に座り、カードを捌き始める。ふと見ると、客引きを止めて店内に入ってきたTaさんも、ブラックジャック台に座って2人でカードのやり取りを始める。
「?」
「あ、7月からこちらの所属になりますS君です」
と、Tさん。
「あ、そっかそっか、そう言えばバイトのお2人さん辞めるんだったっけね」
「はい」
「んで、彼と・・・・・・あとはどうするの?」
「う〜ん、学生バイトの補充になるでしょうね」
そうか・・・・・・ということは、取り敢えずこのS君を仕込んでおかなければならぬのか・・・・・・。7月にはAちゃんが居なくなる故、S君にもディーラーが出来る様になっていて貰わねばならぬ。そして、7月中にバイトを入れて仕込んでおかねばならぬ。
まぁ、開店当初のこと(半月でバイトの2人にひとつずつディーラーが出来るように仕込んだ)を考えると、出来ぬことは無いであろうが。
・・・・・・そう言えば、S君の顔には見覚えがある。
彼は、12月の帰国の際にアレキサンダー広場の屋台にMさんと一緒に出ていて
「さだまさしって誰ですか?」
とキョトンとしていた当の本人ではないか!
その頃から、彼は何のかのと『ハーフェン』にちょこちょこと出入りしているのである。店の雰囲気も摑んではいるし、これならば所属が変わってもそうそう右往左往することもあるまい。・・・・・・と、思う。

この辺りが“貸切状態”の限界であった。
20:00を過ぎた辺りで、呼び込みが功を奏したのか「監獄ロック」が効いたのか10人ばかりの団体がドヤドヤッと入って来た。
途端に忙しくなるスタッフ達。Tさんは注文を取り、Taさんは酒を調整し、それをまたTさんが運び・・・・・・そんな中、カウンターに戻って来たAちゃん、ひとりカウンター内をうろうろしている。
手伝おうとしたら酒が出てしまった、ということもあるのだが。
「何してんの?君。そんなにうろうろしてたらーっ(汗)
途方に暮れた表情のAちゃんにTaさんがこっそり耳打ちする。
「うろうろしてるのも仕事のうち、って言えって言われました」
「・・・・・・良かったねぇ、優しい上司で」
これは、幾ら手が空いた後だと言っても甘やかし過ぎである。
向こうで、Tさんが角を生やしているのがこちらからでも良く見える。
「これ、Tさんだったら大変でしょうが。蹴りでも入ってるんじゃない?」
「蹴りどころかコレですよ」
と、Aちゃん、ボディーブローを2・3発入れる真似をする。
そこで、こっそりと耳打ちして聞いてみた。
「ところでさ、君ら、客とTさん、どっちが怖い?」
「・・・・・・Tさん・・・・・・」
もっと声を落とし、Aちゃんが答える。
予想された通りの答えであるのでこちらも驚くことは無かったが。

団体様が未だ1杯目のうちに、花火の時間になった。
「○○さん、花火は?」
「・・・・・・そうだね、久し振りに見ようか」
と、Aちゃんを引き連れて(附いて来た、という見方もある)、凡そ10ヶ月振りとなる花火を見に店外に出た。
久方振りとてカメラを持参し、写真を撮ってみた。あまり満足のいくものは無かったが(それはそうであろう。副木をしたままシャッターを切っていたのだから)、それでも何とか見られそうなものをAちゃんに見せながらの花火観賞を楽しんだものである。
・・・・・・これでまた花火の時間に
「いいよ、前に見たから」
と1年近く言い続けるのであろうな、私は。

席に戻ると、ドッと客が増えた。
前日と違い、ほぼ満席である。
助っ人(?)のS君を含め、スタッフ全員が走り回り、シェイカーを振り、ビールサーバーに取り付き、酒を運んでいる。
「すみません、もう一寸待っててください」
「週末はいつもこうなの?」
「今日は珍しいですよあせあせ(飛び散る汗)
と、これはTさん。
Aちゃんも注文を取り、酒を運んでいるかと思いきや、いつの間にやらルーレットで客の要請に応えてディーラーを始めている。
わずかな隙を見て、お代わりが運ばれてくる。
そこに、見慣れた顔がすいっと入ってきた。
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2007年06月23日

移り行く、されど、変わらぬ愛すべき・・・・・・(其の陸)

「基本的にね、私、紙モン捨てられないんだワ。だからさ、こんなのが出てきてね・・・・・・」
そう言いながら私が取り出したのは、2003年(4年前)の「トロピカル選手権」の案内である。
「うわ・・・・・・懐かしい〜」
と、Tさんも思わず手に取る。
「あ、やっぱり覚えてるのもある?」
「勿論ですよ。私、この頃『ジャックポット』に居ましたから。うわぁ・・・・・・こんなのあったっけ・・・・・・」
「そうかぁ・・・・・・。私、この頃場内で飲まなかったから知らんのよ」
「そうなんですか?」
「うん。私の“夏のハウステンボス”ってさ、いつも“さだまさし”と抱き合わせでしょ?」
「はい」
「だからね、航空会社の割引のフリープランツアー使ってここに来てたんだワ。その所為で泊まるのも場内じゃなくて全日空ホテルでね」
「はいはい」
「だから飲むのもず〜っと『アストラル』だったんだよねぇ」
「そうだったんですか」
「そう。・・・・・・ところでさ、お代わり、この中から何か出来ない?」
「う〜ん、ちょっと材料が無いんですよねぇ・・・・・・」
「そうかぁ・・・・・・」
どちらにしても、グラスは空いている。
そこでTさん、お代わりを作りに行く。
そして出てきたのが・・・・・・
『ジャックポット』オリジナルカクテル「これ、何?」
「今は無き『ジャックポット』のオリジナルカクテルです」
・・・・・・これだから、離れられぬのだ。このヒトとは。

私の拙い経験からすると、大抵のバーテンダーであれば、
「材料が無いんですよ」
の段階で話が終了してしまう。
気の利いたバーテンダーでも、
「じゃ、他のこんなのをお作りしましょうか?」
と、手の内をバラしてしまう。
Tさんの場合、会話の中から情報を読み取り、尚且つ“サプライズ”というスパイスを加えてもてなしてくれる。
これは、実は思ったよりも難しい。当人が意識しているしていないに拘らず様々な角度からアンテナを張り巡らせて客の話を聞かねば客の望みなど解るものではないし、それと自分のレパートリーを組み合わせて出来ることを瞬時に判断する力量も要る。そして、それを“本当に”客が望むかどうかを判断する感性をも必要とするのである。
このヒトは、これが出来るのだ。
男性には無い、女性ならではの細やかな感性を(一見そうは見えぬこともあるが)持ち、それを感じさせないほどのおおらかな雰囲気を作るなど、他に出来る方はそうそう居るものではない。
だから、私はTさんの下へ通うのであろうな。
・・・・・・本人を目の前にすると照れくさくて言えるものでは無いが。
(だから、これをお読みになった方は是非Tさんには内緒にしておいて頂きたいものである)

ともあれ、出てきたカクテル(名前を聞きそびれてしまったので、何というカクテルかを私は知らぬ。ご存知の方がおられたら是非お教え頂きたいものである)を口に含む。
柔らかい・・・・・・あくまでも柔らかい口当たりの美味いカクテルである。
「下のそれ、リキュールですから甘いですよ」
「あ、そ。・・・・・・じゃ、こんなモンかな」
「もう一寸イケるんじゃないですか?あと5mmくらい」
「難しいコト言うねぇ・・・・・・」
言われるままに口に含むと、矢張り私では5mmを超え、甘いリキュール部分を口にしてしまった。
思わず、むせる。
それを横でケタケタ笑うのは、無論のことTさんであるたらーっ(汗)

ところで、Taさんは、彼の如く楽しんでいる間にふっと外に出て行った。そこで、客の呼び込みを始める。
「未だ花火前だしさ、今から呼んでも早いんじゃない?」
「今から呼んでると花火の後にキクんですよ」
「ふ〜ん、そんなモンなんだ」
ここで、音楽が変わる。
流れている音楽を聴いて、唖然とした。
何かと思えば「監獄ロック」である。・・・・・・無論エルヴィス・プレスリーの歌唱ではないが。
「また随分古い歌流すねぇ・・・・・・」
「これ、Mが居る頃からのジンクスなんですけど、この曲流すとお客さん入って来るんですよ」
「そうなの?」
「はい」
・・・・・・この後1時間近く延々と“ひとり客”の状態が続いた・・・・・・
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移り行く、されど、変わらぬ愛すべき・・・・・・(其の伍)

翌日のこと。
前日少々顔を出しただけの『ヴィノテーク』に、開店直後に行った。
そこで、久し振りにNさんIさんにカクテルを作って貰いながら話をした後(ここで話を始めると長くなるので、後程別記事でアップしようかと思う。その為に今回「Vinotheque Story」というカテゴリを新設したのでもう少々お待ちあれ)、『カフェ・デ・ハーフェン』へと座を移した。

『カフェ・デ・ハーフェン』に着くと、店長TaさんとバイトのAちゃん、そして、いつもの女性バーテンダー&ディーラーTさんが店内に居た。未だ開店直後だった為もあり、客は居なかったのであるが。
「いらっしゃいませ」
「どうも」
「○○さん、どうしていつもいつも私の休みのときに来るんですか!」
と、またも“お約束”のTさんの出迎えである。が、流石に、このように幾度もとなるとこちらも飽きてくる。
そこで、反応を少々変えてみた。
「・・・・・・ってかさ、何で私が来るときに休むかなぁ?」
「あ、バレました?」
・・・・・・って、おいおいあせあせ(飛び散る汗)

「あ、そうだ。Aちゃんに雑誌見せなきゃ」
「雑誌って、前に持ってきた・・・・・・」
「そ、『るるぶ』。前のときAちゃんだけが居なかったから見て無いでしょ?だからさ、昨日来たとき、今日持ってきて見せてやるって約束したんだワ」
「そんな約束、破って良いです。世間の厳しさを教える意味でも・・・・・・」
「それは一寸違うだろう。Aちゃん、おいで」
「はい、何ですか?」
「昨日言ってた“昔のTさん”」
「あ、ありがとうございます」
「んじゃ、Tさんにはこっちね」
「何ですか?・・・・・・あ、行ってきたんですか!」
と、Tさんに渡したのは、『グランオデッセイ』体験後に『ニモニック』にて購入したミニポスターである。
「・・・・・・これ、○○さんだって判りませんね」
「眼鏡かけて無いからねぇ。そう言えばさ、前にMさんに「眼鏡かけてた?」って聞いたでしょ?」
「はい」
「あれね、然るブログで“眼鏡をかけた真面目そうなバーテンダーさん”の写真を見たんだワ。それがMさんだったかどうかイマイチ判らなくて聞いてみたんだよね」
「あ、それ、多分Mです。一時眼鏡の他に眼帯もしてて“眼帯のおニイちゃん”って呼ばれてたりもしたんですよ」
「眼帯?何があったの??」
「あのですね・・・・・・」
と、その折のエピソードを事細かに聞いたものである。が、流石にこの話は当人Mさんの名誉に関わる話であるのでここにご紹介するのは差し控えさせて頂く。ただひと言だけ、その折の感想は・・・・・・
「アイツは、阿呆か」

ところで、このときの話の中でTさん
「眼鏡って、浮くと思ってたら沈むんですね」
と、言う。
「眼鏡も色々だけどね。プラスチックレンズと軽量フレームだと浮くこともあるけど。ガラスレンズだと結構重いよ。ほれ、持ってみ」
と、私の眼鏡を外して持たせた。私は強度の近視であり、プラスチックレンズや通常のガラスレンズであると最早フレームに収まらぬので、ガラス製のハイパーレンズ(薄型レンズ)を使っているのである。それでも“牛乳瓶の瓶底”状態であることに変わりはないのであるが・・・・・・。
「あ、ホントだ、重い。・・・・・・あ、そんな顔してたんだ・・・・・・」
Tさん、何をトチ狂ったのか、私の顔をしげしげと眺めて、こう言う。
「これなら先刻の写真が○○さんだって判りますね」
「あ、そ」
・・・・・・ま、これは致し方あるまい。私は普段眼鏡をかけっ放しであるし、そもそも私にしてからがTさんをTさんと“見て”判別できるようになったのは、実に『ハーフェン』がリニューアルオープンした後であったのだから、他人のことは言えまい。
(それまでは“声”で判別をしていたのである。故に以前『シェヘラザード』で会ったときには、最初は何も言わず会釈をしたのみであったのでそれがTさんだとは気が付かなかったのだ)

「ところでさ、何か作って」
「はい、少々お待ちください」
私は、ここにはただ話をしに来たのではない。一応、酒を飲みに来ているのである。
いい加減な注文であるが、これはここではよくあることである。そこでTさん、パッパとカクテルを作り、出す。
「これは、何?」
「ただの「ラムトニック」です」
・・・・・・またラムが登場した。
この前に行った『ヴィノテーク』でも、Iさんが作ったカクテルはバカルディのゴールドを用いた「ダイキリのミストスタイル」であったし、Nさんもそれと知らずにカクテルを作ろうとして取り出したのはバカルディであったし(それと聞いて慌ててウォッカを取り出した)、無論それを知らずに作ったTさんのカクテルもダークラムの「ラムトニック」であるし・・・・・・この日はラムに何か縁でもあったのかしらん?
ま、美味かったから構わぬが。

「○○さん、ブログの記事読みましたよ」
「あぁ、持ってきたアレね・・・・・・そう言えば、Mさんはブログ自体を読んでたってね」
「そうみたいですね。だから1週間くらい前から○○さんが来る来るってずっと言ってたんですよね」
「そうみたいだね。私は3月に話をしたのはAちゃんだけだったけど口止めしてたし・・・・・・」
「ま、A子はコレですからね」
とTさん、“右から左へ筒抜け”の仕草をする。
「それは知らんけど・・・・・・だから訝しいと思って聞いてみたらそう言うんだよね」
「で、その記事ですけど、アタシ、これだと“お酒ばっかり勧めてる怖いお姉さん”みたいじゃないですか。偶にはアタシを褒める記事も書いてくださいよ!」
ここでAちゃんが口を挟む。
「○○さん、Tさんのことを“姐さん”って呼ぶじゃないですか。だから私、Tさんの方が年上かと思ってたんですけど○○さんの方が上だったんですね」
Aちゃん・・・・・・。
夏にTさんと年齢の話をしたときにアンタも居ただろう・・・・・・たらーっ(汗)
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2007年06月22日

移り行く、されど、変わらぬ愛すべき・・・・・・(其の肆)

『カフェ・デ・ハーフェン』に戻った頃には、既に花火が終わっていた為もあってか先程の閑散とした状態が嘘のように賑わっていた。・・・・・・とは言うものの、平日のことである。満杯という訳ではなく、席の半数以上が埋まっていたという程度であったのだが。
それでも、狭い店内には活気が溢れ返っていた。それを見たときには一瞬目が覚める思いがしたのであるが・・・・・・。

以前どこかでお話を致した通り、私には「電池切れ」という、あたかもスイッチが切れたかの如くに動けなくなって眠ってしまう状態がある。このときの私は、正に「電池切れ」の症状を起こしたのである。・・・・・・つまり、元のカウンターの席に着くと眠気で動けなくなったのだ。その為、
「Mちゃん」
「はい」
「ごめん、出来たら起こして」
と、ノンアルコールカクテルを作らせながらそのまま眠ってしまったのである。
(ちなみに、Aちゃんはこのときゲーム台の方で客の相手をしていたように思う)

「○○さん、出来ましたよ」
の声が耳元で大きく響いた。それを機に突っ伏した状態から起き上がり、出されたノンアルコールカクテルを幾口か啜る。
飲みながら、Mちゃんが翌日休みであることを聞いた。
また、先に所持していたゲームチップの預り証を失くしてしまった旨を告げ、新たにチップを$100購入した。が、ここで更に眠気は募る。遂にグラスを持つ気力すら無くなってしまった。
「・・・・・・悪い。今日はもうダメだわ。寝る」
『カフェ・デ・ハーフェン』にての、初の失態である。

ところで、起きたときには、既にゲーム台は片付けられていたように思う。その為、店外に出る前に、バイトの2人と話をすることが出来たのは非常な幸運であった。
「○○さん、明日はTさん居ますよ」
「・・・・・・来なかったらさ、やっぱり怒られるよね」
「そりゃ怒られますよ」
「んじゃ、明日も来るワ」
「はい、お待ちしてます」
と、これはAちゃんと。
「○○さん、次は何時来ますか?」
「次、ねぇ・・・・・・。君らが居る間はもう来られないね。どんなに早くても秋頃かな?」
「来月は、もう来ません?」
「それは無理だよ。飛行機だって難しいしね」
「来月なら、未だ私は居ますよぉ」
と、これはMちゃんと。
それぞれに、この夜の別れを惜しむ。
「でもさ、最後に2人揃ってるときに来られて、会えて良かったよ」

『アムステルフェーン』の出入り口まで、見送られて外に出る。
帰り際に、
「ありがとうございました!」
と声が掛かり、見ると、深々と頭を下げる姿が見えた。
顔を上げたところに向き直り、大きく手を振る。
すると、笑って手を振り返し、踵を返して店に戻る。
こちらも再度向き直り、真っ直ぐに『ホテルデンハーグ』へと歩き出す。
・・・・・・月の光の下、名残を惜しみながら。
時は未だ21;30頃。失態を犯さなければ、まだまだ別れを惜しむことが出来た、そんな時刻。

リラ冷えの朝に 旅立つ君へ
今迄の愛を込めて 唄を贈ろう
君の道程は 三叉路ばかり
迷って傷ついた時 思い出してくれ
ON THE WAY
 僕等はいつでも 道の途中
ON THE WAY
 喜びも悲しみも 季節の様に巡り巡る

さよなら 君に会えてよかった
さよなら 君が好きでした

(さだまさし「道の途中で(ON THE WAY)」より)
・・・・・・著作権侵害やも知れぬが、今だけはどうかご容赦を。
このときの感情は、この歌でしか、今は表現することが出来ぬ故。

さて、あれ程までに眠気を堪えていたにも拘らず、『ヴィノテーク』が開いているのを見た瞬間、ふらふらっと扉を潜ってしまった。
が、生憎そのときは団体が入ったばかり。カウンターの中はNさんがひとりで駆けずり回っていた。
「どうです?」
「済みません、今日は一寸・・・・・・」
と、泣きそうな顔で答えが返ってくる。
「じゃ、明日来ますね」
「申し訳ありません。明日はIも居ますので」
こちらも義理が立ったとばかりにさっさと『ヴィノテーク』を出て、部屋に戻る。
奇跡的に、何とか着替えて、就寝。
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2007年06月21日

移り行く、されど、変わらぬ愛すべき・・・・・・(其の参)

さてさて、久し振り〜Tさんが居た頃が最後であるから1年と3ヶ月振り〜に入った『グラン・キャフェ』は、テーブル席の方に団体様ご一行が居られたようで、既にアルコールを聞こし召したかの如くの笑い声が聞こえてきたものである。
私も、こちらでは殆んどが隅のテーブル席に付くことが多い。
が、今回は、『カフェ・デ・ハーフェン』のMちゃんに連れられての来店である。彼女は、テーブルには目もくれずさっさとカウンターへ進み、
「Mさぁ〜ん、○○さん!」
落ち着いた雰囲気の女性スタッフが
「いらっしゃいませ」
と声をかけてくれ、Mさんとは似ても似つかぬイケメン風の若い男性スタッフがカウンター席へと案内してくれる。そして、カウンターの向こうには(異動したばかりとて緊張が未だに取れぬのであろうか)、今迄『カフェ・デ・ハーフェン』で見る姿とは全く違う、裃を着てしゃちほこばった・・・・・・というよりも七五三の衣装を着てカチンコチンになっている坊やの如くの・・・・・・雰囲気で、『グラン・キャフェ』新バーテンダーMさんが現れたものであった。

「いらっしゃいませ」
「どうも」
「ウイスキーなど、如何ですか?」
「ここにきてもまたソレかい・・・・・・アンタは」
ウイスキーの飲めぬ私に、いつもの挨拶である。抗議の声を上げると、ようやく、顔がニヤリとほころぶ。
「そう言えばさ、アンタ、私が来るの知ってたって?」
「はい」
「誰かから聞いたの?」
「A子は、言いませんでした」
「うん、聞いた」
「俺は、ブログで見ました」
何?
ブログだとぉぉぉっ!
それでは、やれ性格が悪いだの妙な癖があるだの間抜け面を晒しただのと書いたモノも全て読んだというのか?このオトコは。
・・・・・・ま、このブログにしてからが“悪口専門”の様相を呈しているので、別に読まれたとて構わぬのであるが。
「・・・・・・誰から聞いたの?そんなモン」
「△△さん、ってご存知です?」
「知らん」
私にとっては、Mさんが拙ブログを閲覧しているよりも、見知らぬ方が拙ブログを閲覧し、それがよりにもよってハウステンボスで話題になっているということの方に衝撃を受けたものである。これではうっかりしたことなど書くことが出来ぬではないか・・・・・・と言いつつも、書くのを止めるなどということは無論せぬが。
「そう言えばさ、ウチのブログで“Mさんが居なくなって寂しい”ってコメント付いてたよ。アンタにもファンが居たんだねぇ・・・・・・」
と、しみじみと言うと、Mさん、憮然とした声音で
「失礼な」

「何に致しますか?」
「じゃ、「M&Cローズ」お願い」
「畏まりました」
取り敢えず、ここに来たならば“季節のカクテル”を飲まねば始まらぬ。そこで、季節限定の「M&Cローズ」を頼んだ。
ここのカウンター席は、客は手元が殆んど見えぬ程に暗い。カウンターの向こう側も、バーテンダーの表情は逆光になって見え難いこと夥しい。それ故に、『ハーフェン』と違い、このオトコがどんな表情で酒を調整していたのかは知らぬ。
それはともかく。
グラスにカットしたグレープフルーツをセットしたものをどこからか(恐らく冷蔵庫からであろうが)取り出したMさん、そこにロゼシャンパンを注ぎ始めた。目分量で注いでいるのは良いが、ある程度注いでは手を止め、更に少し注いでは手を止めて透かし見て・・・・・・と、少々時間がかかっていたものであった。
もしかして、この「M&Cローズ」はあまり出ぬのであろうか?
コンスタントに出るカクテルであれば、手が分量を覚えているであろうに。
ともあれ、「M&Cローズ」が出てきた。
取り敢えず写真を撮り、口に運んだ。
多少の“風味”は付いていたのやも知れぬが、紛れも無く「ロゼシャンパン」の味であった。
(写真は・・・・・・これについては後程別記事をアップし、そちらに載せさせて頂こう)

少々中座した後で
「次、何にします?」
「何でも良いや。これ飲んだら何か軽く食べたいし」
「じゃ、「スプモーニ」は如何ですか?その後『按針』にでもご案内しますよ」
「うん、お願い」
この辺りで、強烈な眠気が襲ってきた。それ迄、10日間程眠りが訝しくなり、(夜中に目が覚めるので)合算して4時間程度の睡眠時間であるという日々が続いていた。故に、久し振りのアルコールに体が過剰反応したのであろう、気付かぬうちにカウンターに突っ伏して眠ってしまっていた。
気付いたときには、既に目の前に「スプモーニ」が来ていた。慌てて飲み干し、勘定を済ませると(後日あまりの高さに目が飛び出る思いがしたものである)、今度はMさんの先導で『按針』へ行った。寿司を軽くつまみ、勘定を済ませると(ここではあまりの安さに驚いたものである)、半ばフラフラしながら『ハーフェン』へと戻った。
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2007年06月19日

移り行く、されど、変わらぬ愛すべき・・・・・・(其の弐)

誰かが入ってきた入口に何気なく目をやる。と、
「あ!○○さんだ!!」
と、素っ頓狂とも言える大声。見ると、入ってきたのは2人。・・・・・・そう、バイトのMちゃんとAちゃんが連れ立って入って来たのだ。ニコニコしながら手を振って駆け寄って来る2人に
「よう!」
とこちらも手を振り返す。
「お久し振りです!」
「そうだね。2人とも元気そうだね」
と、いつものように会話が始まる。
(しかし・・・・・・私は慣れてるから良いけど、他のお客さんにはソレは止めなさいね。あの勢いで寄って来られたら大概引くぞたらーっ(汗)

「じゃ、2人が来たことだし、これ、渡しておこうかな」
「何ですか?」
「ここのコト書いたブログの記事」
この『徒然〜』は、インターネットで配信されているブログの記事である。それ故、何かの折に目に留まらぬとも限らぬであろう。ならば、見つけられて何かを言われるよりもこちらから該当の記事を渡してしまった方が良かろうと思い、livedoor版の記事(「西海の〜」と「貸切未満〜」の2つのストーリー)を印刷して持って来ていた。
丁度、「西海の〜」の帰国の折にはAちゃんが、「貸切未満〜」の帰国の折にはMちゃんが休みを取っていたので、それぞれ休みを取っていた際の出来事は知らぬ。故に、自分が休みを取っていたときの記事を読み始めるかと思いきや、豈図らんや、それぞれが“自分が”登場してくる記事を読み始めた。
「あ!これ覚えてる」
「え?こんなこと言ってたっけ??」
などと、なんとも賑やかに文章を追う2人。

「○○さん」
「ん?」
「私達、ここ辞めるんですよ」
ひと息ついたところで、Aちゃんから、この言葉が発せられた。
これには、流石の私も驚いた。
「そうなの?」
「はい、私が6月一杯で、M子が7月迄で」
「あらら・・・・・・寂しくなるね」
「・・・・・・」
「それでさ、やっぱり2人とも卒業したら地元に帰るの?」
「未だ考えてるんですよね。地元に帰るか、福岡に就職するか、それとも遠くにするか」
「遠くって言うと・・・・・・関西方面かな?」
「そうですね」
「関東には来ないの?」
「そこ迄行くと一寸怖いですよね」
「やっぱりそんなモンかねぇ・・・・・・」
「そうですよ」
「そうか・・・・・・。ま、それなら、旅行かなんかでこっち(関東)に来るようだったら連絡しておいで。ご飯くらいなら奢ってあげるから」
「はい!ディズニーランド連れてってください!!」
・・・・・・Mちゃん、あんたがディズニー(ミッキー)好きなのはよ〜く知ってるけどね・・・・・・

「そう言えば、Mさん、○○さんが今日来ること知ってましたよ」
「何?アタシゃひと言もMさんには言ってないぞ。知ってんのAちゃんだけだし」
「私言ってないですよ」
「じゃ、何で知ってんだ?不気味だヮ・・・・・・」
てっきり誰か他の常連客から聞いたものだと思っていた。そうでないことは後に知ることになるが。
「でね、○○さん、あそこ見てくださいよ」
と、レジ裏の棚を指差すMちゃん。つられて見ると、何やら妙なものが置いてある。
「あれ、Mさんのなんですよ」
「あれって・・・・・・もしかして、あの“シャアザク”?」
「そうです」
「あの野郎・・・・・・ガンオタ(『機動戦士ガンダム』オタク)だったのかよ・・・・・・」
確かに、以前
「フィギュアを所持し、オタク呼ばわりされている」
と、当のMさんから聞いたことがあった。そのときに、私は
「別にフィギュアを持ってるだけならオタクとは言わんだろう」
と答えていた。が、しかし・・・・・・職場にまでそんなモノを持ってくるなど、オタクの行動以外の何だと言うのだ。
ここで、前言を撤回しよう。Mさんは立派なオタクだ!
(ちなみに私が“シャアザク”を判別できたのは、弟の所為である。奴は小さい頃からプラモデル作りが趣味で、殊に小学生の頃は『ガンダム』のプラモデルばかり作っていたので私にも見覚えがあったのだ)

まだまだ他の客は来ない。お蔭で、スタッフ3人で私ひとりの相手をする状態である。
「Mさん『グラン・キャフェ』に居ますよ。行きませんか?」
「その前に君らに1杯ずつ作ってもらおうかな」
「何が良いですか?」
「適当に頼むワ」
2人とも、早速アンチョコのメモやカクテルブック(ハンディ版)をめくり出す。そして、先にMちゃんがステア(ビルド)で、次にAちゃんがシェイクでカクテルを作る。
初めの頃は、ただ作られたカクテルを運ぶだけであった。それも、どれが何だか判らずにTさんやMさんに丁寧にレクチャーを受けていた。
それが、いつの間にか客の注文に答えてカクテルを作ることが出来るまでになっている。1年もするとここまでになるものか・・・・・・と感慨深くなり、彼女達を惜しむ気持ちを抑えられぬ程であった。
が、当人達の将来を縛ることなど出来はせぬ。増してや彼女達は学生バイトである。これも仕方の無いこと・・・・・・と飲んでいるうちに思い直したものであった。

「うん、美味しかった」
と2杯のカクテルを飲み干すと、
「じゃ、行きましょうか」
と、Mちゃんが先に立つ。そこで、取り敢えず勘定を済ませ、先導のMちゃんの後を付いて『グラン・キャフェ』へ向かった。
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2007年06月18日

移り行く、されど、変わらぬ愛すべき・・・・・・(其の壱)

その日も、いつもの『アムステルフェーン』の入口へ足を踏み入れ、いつもの『カフェ・デ・ハーフェン』の入口からいつものようにのっそりと入っていったものであった。
店内に入ったときに感じたのは
(何かいつもと違うような・・・・・・?)
という思い。
それはそうであろう。
グラスを磨いているバーテンダー氏が初見の方であったのだから。

「いらっしゃいませ」
「ひとりなんですが、宜しいですか?」
「はい、お好きな場所へどうぞ」
私がここに来たのは金曜日の、しかも開店直後の18:00である。店内は、当然(と言い切ってしまって良いのであろうか・・・・・・?)客がひとりもおらぬガラガラの状態。カウンターの中にいたのも、かの初見のバーテンダー氏のみであった。
その為、ここに来るときに一度もしたことが無い挨拶
「ひとりなんですが・・・・・・」
を、開店1周年にしてようやく口にすることが出来たのである。
何せ最初のときは然る方に連れてきて頂いたのであったし、その折に顔見知りのスタッフ(幾度もこちらをご覧くださっておられる方は無論のことご存知であろう、女性バーテンダーにしてディーラーのTさんそのひとである)と顔を合わせてしまうと、次からはひとりで来るのが寧ろ当然になってしまっていたので・・・・・・閑話休題。
よっこらしょ、とばかりにいつもの席に腰を下ろすと、取り敢えず「ダイキリ」を作って貰う。材料を揃え、シェイカーに注ぎ、シェイクをする様子は、こちらではあまり見かけないオーソドックスなスタイルである。・・・・・・バイトの2人はさて置いて、Tさんも前任バーテンダーのMさんもシェイクのスタイル自体は(傍目には)少々癖がある方なのだ。

カウンターに置かれた「ダイキリ」を挟み、バーテンダー氏と私の会話が始まった。
「こちらには、よく来られるんですか?」
「ええ、まぁ、“よく”と言う程ではありませんが・・・・・・」
「そうですか。どうもありがとうございます」
「いえいえ、私は■■(居住地の県名)から来るのでそう度々は来ることは出来ないもので」
「・・・・・・失礼ですが、こちらの常連の方ですか?」
「常連と言う程には足を運んでいないように思いますが、こちら(ハウステンボス)に来れば大抵顔は出しますね」
「そうですか。実は、こちらの女性から“自分が休みの日に■■からよく来る方”がいらっしゃると言う話は聞いていたんですよ」
「女性の方、ですか?」
「ええ。Tという者なのですが」
「あ、はいはい、Tさんですか。そう言えば、確かにTさんのお休みとよくかち合いますね」
何ちゅう噂をするのだ、と、そのときは思ったものである。

「Tさんは大体金曜日にお休みを取られるんですか?」
「うーん、金曜日と言うか・・・・・・木曜日は必ず休みますよね」
「そうですよね。定休日ですから」
「その関係で、「水・木」か「木・金」に休むことが多いですよ」
「成る程ね」
「あ、申し遅れました。この度『グラン・キャフェ』からこちらに店長として参りましたTaと申します」
「あ、○○と申します。どうぞよろしく。・・・・・・じゃ、こちらの新しい店長さんで」
「ええ、一応」
「じゃ、Naさんも異動なさったんですか?」
「ええ、Naは上におります」
「へぇ、じゃ、こちらは4人ということになるんですか?」
「ええ、取り敢えずは」
「そうなんですか」
・・・・・・取り敢えず?

グラスが空いたので、次の「バラライカ」を作って頂き、話は更に進む。
「こちらもですね、メニューを大幅に変更しようと思ってるんですよ」
「メニューの変更、というとフードの方ですか?」
「ええ、フードの方も無くしたり、加えたりを考えていますね。それと、ドリンクメニューも、例えばカクテルのメニューを無くすとか」
「あ、成る程。メニューがあると注文もそれに縛られますから・・・・・・」
「そうです。そうなると出るカクテルもある程度限定される状態がありますので、もっとお好みに合わせて作るようにしようかと」
(私などにとっては“今更”であるが流石にそのときは口には出せなかったものである。小心者の私であること故・・・・・・)
「ただ、ウイスキーやスピリッツはメニューを無くせないですけどね」
「あー、はいはい、無いものを注文されても困るし」
「ここ、置くスペースが無いですからね・・・・・・」
と、Taさんは恨めしそうにカウンター裏のスペースに眼をやる。
・・・・・・幾ら何でも『グラン・キャフェ』と比べるのは酷であると思わぬでもなかったのであるが。

3杯目には「ホワイトレディー」を貰った。
他にもTaさんのお名前のことなど(この方のお名前は非常に覚えやすい。しかもフルネームで覚えられることが多いそうである。前任のMさんのフルネームは終ぞ覚えなかった私であるというのに・・・・・・)様々に話題を変えながら話をしていると、誰かが入って来る気配がした。
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2007年06月15日

カフェ・デ・ハーフェン

現在、『カフェ・デ・ハーフェン』で飲んだくれている最中である。

話によると、AちゃんもMちゃんも夏の盛りを待たずに退職する由。誠に残念な限りである。・・・・・・が、“次”が楽しみである、とも言えるであろう。
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2007年04月01日

貸切未満、団体様御用達(其の伍)

「はい、それじゃ何にしましょう?」
「XYZ」
「“XYZ”すか・・・・・・」
注文を受けたMさん、苦笑いをした。それもその筈、私は以前“お任せで出てきたXYZ”を見て御機嫌斜めになり、TさんMさんと諍いまでを起こしているのである。・・・・・・と言ってもそこに至るまでに既に気分を害していたものであり、そのカクテルは単に御機嫌斜めの引き金を引いただけであるのだが・・・・・・。
「そう。ああいう風になったけどね、実は好物なのよ。だから都内のバーではいつもこれをラストの注文にしていてね、店側も心得て勘定を計算しだしたりしててね・・・・・・」
「そうなんですか」と、Aちゃん。
「そ。そこには月に1回行ってたからねぇ」
「じゃ、常連さんじゃないですか」
「うん。そこまで通うと本当に“常連さん”だよね。それと比べるとここ(『カフェ・デ・ハーフェン』)には“常連さん”って言える程通ってる訳じゃないけどね」
・・・・・・こら!そこで2人して顔を見合わせるんじゃ無い!!

兎にも角にも出てきた「XYZ」。柔らかい酸味が舌を撫で、そこはかとなく香るアルコールが良い風味となって誠に美味である。
「やっぱりMさんのカクテルは軽いし飲みやすいよな」
「アルコールは判りますよね?」と、いささか不安げなMさん。
「そりゃ判らない訳は無いよ。だけどさ、アルコールの味が突出してないから飲みやすいんだわ。Tさんのカクテルなんか見てご覧よ。アルコール足すもんだから強いの何の」
別に“薄い”訳ではさらさら無い。只単に“飲みやすい”というだけなのである。故に、オトしたい彼女がいる男性諸君はMさんのカクテルを飲ませるとついつい進んで良いムードに持っていくことが容易に出来るであろう・・・・・・女性諸嬢はそういう訳であるからどうぞご注意召され。
それはともかく。
Mさんの不安げな顔は一体何を意味していたのであろう?
カクテルを作る際にちょいと多くなって溢したのが原因だったのであろうか??

飲んでいるうちに、テーブル席の準備をしていたTさんがカウンターの方へやってきた。
「○○さん、次は何時来ます?」
「あー、先刻もMさんに言ったんだけどさ、確実なのは12月」
「そんなに開くんですか?夏休みに来たらどうですか?」
「いや、G.W.に来るそうですから」
「アンタらねぇ・・・・・・」
・・・・・・尤も、これで6月に来る口実が出来たというもの。次回の帰国では「間を取って6月に来た」とでも言うとしようか。

「XYZ」を飲み干したのは、19:30頃のことである。
「じゃ、お勘定ね」
「・・・・・・一寸の間に随分飲みましたね・・・・・・」
と、伝票を手にしたTさんが呆れ顔になった。
入店したのは、18:30。
退店したのが、19:30。
この間に飲んだのは軽めのカクテル5杯である。それ程までに驚くことは無いであろうと思われるが・・・・・・。
勘定を済ませ、店を出る。
その足で『ヴィノテーク』へ行く。
ここで飲んだのは「ロゼワインフェア」の3杯コースと「カウントダウン」の折のシャンパン(スパークリングワイン?)1杯。
その間ちゅーりーに会ったりケーキを見たり(甘いモノ嫌い故、食すことは無かったのである)「DS Lite」を披露したり無論話に興じたりと楽しい時間を過ごした。
(詳細は似非ライターに任せると致そう。・・・・・・尤も奴は『ヴィノ』と『ハーフェン』を幾度も往復し、最後は酔いが廻って潰れていたのであるが)

昨年6月にリニューアルオープンした『カフェ・デ・ハーフェン』。
“新しい店”と申し上げても過言ではなかろうと思われる故、店の雰囲気を少しでも知って頂きたいと綴り始めた話である。
・・・・・・が、此れ程迄にエピソードが増えるとは正直予想も付かなかった。お蔭で新規のカテゴリーまで作ってしまった体たらくである。

さてさて、次はどんなエピソードが生まれるのであろうか・・・・・・?
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貸切未満、団体様御用達(其の肆)

「ところで、次は何時頃になります?」
と、これはMさん。
「次、ねぇ・・・・・・確実なのは12月かな?」
「また随分開きますねぇ。G.W.にいらっしゃったら如何ですか?」
「やだよ、そんな混むとき」
「今日も混んでますけど」
「今日は特別だよ・・・・・・」
春休みが始まって最初の週末である。当然、いつもはのんびりと(閑散と?)しているハウステンボスとは言っても、何処へ行っても人、人、人の波であった。私はどちらかというと人が少ないときを見計らうかの如くに帰国することが多かった為、人の波には閉口していたクチである。尤も今回はバースデーオフの為の帰国である故、混雑は承知の上であったが・・・・・・。

とは言え、実のところ既に「ガラフローラ」の時期の帰国は決定しているのである。それでも、それを私はあえて言わなかった。・・・・・・サプライズのひとつくらい、残しておいても面白かろうと思ったのだ。
が、本当に言わぬままにしておくのも少々気が引ける。そこで、カウンターにシャンパングラス(乾杯用のソーサータイプ)が並べられ、Mさんがそちらに向かったときを見計らい、Aちゃんを呼んでこっそりと耳打ちした。
「実はね・・・・・・6月に決まってんのよ」
「あ、そうなんですか」
「ま、ね。だけど、これTさんにもMさんにも言っちゃ駄目だよ」
「何でですか?」
「ひとつくらい秘密があったほうが面白かろ?」
今頃は恐らくバレていることとは思われるが・・・・・・。

ここで、携帯のアラームが鳴り、19:15を告げた。
アラーム音は「飛梅」である。
「飛梅」とは、さだまさし氏の初期の歌で、太宰府天満宮の神木「飛梅」をモチーフにしたものである。大宰府に流された主(菅原道真)を慕い、一夜のうちに京の都から大宰府へと飛んでいった梅の木・・・・・・それが「飛梅」の伝説である。
これに別れた恋人への思いを絡めた歌が、さだまさし氏の「飛梅」。“絶唱型”に分類される歌であり、私の好きな歌のひとつである。
そう言えば、10数年前の「さだまさしコンサート『夏 長崎から』参加ツアー」では太宰府天満宮が観光スポットのひとつに盛り込まれており、そこで、さだ氏の楽屋にいつも置いてあるという「初代まさし君人形」の奉納式が行われ、歌に出てくる「梅が枝餅」を初めて食べたものだった・・・・・・閑話休題。

流石に、この時間ではそろそろ店を出ねばならぬ。
「あれ?もうこんな時間か。そろそろ退散しなきゃ・・・・・・」
「まだ大丈夫ですよ。20:00からですから」
「そういう訳にもいかんだろう・・・・・・じゃ、これで最後ね」
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2007年03月29日

貸切未満、団体様御用達(其の参)

一寸ずつ舐めてはいたものの、それでもブランデーグラスが空になるときは、当然の如くに来る。
「次、何にしましょう?」
「そうだね・・・・・・ジン(ベース)で、この先も飲むだろうから何か軽いもの無い?」
「ジンソニック」
「それは先刻飲んだ」
(余談ではあるが、先に飲んだカクテルを(注文しないのを承知の上で)リピートして楽しむのはこのオトコの癖である)
「それじゃ・・・・・・カリフォルニア・コリンズなんかどうです?」
「じゃ、それ」
「かしこまりました。A子、お前作れ」
「あ、は〜い」
「あのコ、この間より作るのは慣れた?」
「・・・・・・多分」
「?」
という訳で、次のカクテルはAちゃんが作ることになった。張り切って材料を揃え出したAちゃんにバーテンダーMさんがひと言、
「シェイクだぞ」
・・・・・・固まるAちゃん。

多くはバーボンをベースにしたカクテルに「カリフォルニアレモネード」というものがある。バーボンやレモンジュースなどの材料をシェイクしてグラスに注ぎ、ソーダで満たすというカクテルである。今回は、ウイスキーが苦手な私の為に通常ベースにするバーボンをジンに変えて供したので“レモネード”という言葉を“コリンズ”に変更したのであろう。・・・・・・それはともかく。
シェイクと聞いて少々固まったAちゃんであるが、それでも気を取り直したかの如く果敢にシェイカーに向かい、先ずは氷を入れ始めた。
「お前、氷先に入れて大丈夫か?それは上級者のやり方だぞ」
と慌てたようにMさんが声を掛ける。
それを聞いたAちゃん、急いでシェイカーから氷を取り出して材料を入れ、氷を入れる。
シェイクは、前回「ダイキリ」を作らせたときよりも手馴れたように見えた。前回は8の字に振ろうという意識が強過ぎてシェイク自体も弱々しいものであったのだが(何せ素人目に見ても恐る恐る振っている感が拭えなんだのである)、今回は形に囚われずシェイクをしている。
振り終わり、コリンズグラスに中身を注ぐ。そして氷をゆっくりとグラスに入れ始め・・・・・・
「早くしろ!」
と、隣りで不安げにMさんが声を掛ける。どうやら氷を入れ、ソーダを注ぎ、レモンスライスをちょこんと乗せ・・・・・・たのであるが落ちそうである。見かねたかの如くにとうとうMさんが手を出してレモンスライスを押し込み、Aちゃんがバースプーンを差し込んで軽くステアする。
出来上がったカクテルの横で“師匠”たるMさんが言う。
「300円」
「ひどーい!」
「そんなもんだろう。このカクテルじゃ」
(実際には700円払ったが)

出来上がったカクテルはまあまあ美味かった。・・・・・・ちと薄いのは否めぬが。
それでも、アルコールが混ざっておらなんだ以前の「ダイキリ」よりは遥かに美味い。
「うん、これなら美味しいよ」
と言うと、Aちゃん、初めてホッとした顔を見せてニッコリした。
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貸切未満、団体様御用達(其の弐)

さて次の飲み物は、と見回したときに目に付いたのは、以前2度ほど嗜んだブランデーのボトルである。・・・・・・尤も嗜んだのはここでは無いし、故に銘柄その他も全く違うものであったのだが。
「次は何にします?」
「んじゃ、ブランデーを」
「ブランデー・・・・・・飲み方は?」
「まんまで良いよ」
「かしこまりました」
ここでMさん、面白いことを始めた。
ブランデーグラスを用意すると、ほんの少量ブランデーを注ぎ込み、それをグラス全体に回してから捨てると、ライターを取り出してグラスに廻ったブランデーに火をつけ始めたのである。青い火がグラスに立ち、誠に綺麗なものであったのであるが・・・・・・
「それは?」
「香りを立ててるんですよ」
「ああ、成る程ね」
確かに火でアルコールが飛ぶ際に芳香を立ち上らせている。
・・・・・・ふと、あることを思い出した。
「そう言えば・・・・・・あの“不貞腐れてたとき”にもこうやって火を使ったカクテルを作ってくれたっけね・・・・・・あのときはろくすっぽ見て無かったけどさ、勿体無いことをしたよね・・・・・・」
何も言わず、2度目の火をつける。そして3度目・・・・・・のときには少々大きな火が立って右手を舐めるように・・・・・・
「あちちちち!」
・・・・・・ひどい火傷になっておらぬことをこの場を借りてお祈り申し上げる・・・・・・

ブランデーを舐めながら、再び話を始めた。
「Mさんさぁ、クリスマスあたりじゃ門番やってたんだって?」
「ええ、あのときは僕がホールにいましたね」
「クリスマスとか今の時期なんかだと、お客さん多くて大変でしょう?」
「でも、暇なときはもの凄く暇ですよ」
これは勿論バイトのAちゃん。
「あ、そ。何か忙しいときの話しか聞いてなかったんでね・・・・・・そう言えばさ、君らそろそろ就活始めなきゃ、って時期じゃない?」
「まだ2年生ですよ。・・・・・・あ、そうか、3年になったらそろそろですもんね・・・・・・」
「そういう話を聞くとさ、ここもちと人手不足なんじゃないかな、って思ってね・・・・・・」
「そうですか?」
「バーテンダーさんなんかも今2人だけでしょ?だからさ、例えばもう1人いればローテーション組んで休みも取り易いだろうし、週末なんかはフルで出てくりゃそんなにバタバタしないだろうし、ってね」
「このままで良いです!」
ここで言い切るのはMさんである。確かに見たところ人間関係のバランスは丁度良く取れているようであるし、本人が良しとするならこの話は止めておこう・・・・・・・。

この話をしているうちに、同行の似非ライター(実は居たんですね、奴も。我々の場合、互いが居ても居ないような書き方を致しますし、飲んでいたのも同じものなので今回もあえて書かなかったのですが・・・・・・)がそわそわし始めた。
「あのね」
「はい」
「私ここで待ち合わせしてるのよ。花火が終わった頃、って言って」
「どなたとですか?」
「それがね・・・・・・名前知らないのよ。長崎市内在住の方、ってしか」
「それは、◇◇さんじゃなくて?」
と、Tさんが言う。が、その方は地元常連である“男性”のMさんであり、奴が待ち合わせをしているのはやはり地元常連ではあるものの“女性”のMarさんである。
「違う違う。第一私その方の名前知らないし」
「?」
「ネットでの知り合いだから・・・・・・」
「そうなんですか?」
「そうなの。でね、ここで預かって貰って・・・・・・なんてことは出来ないよね?」
「それはちょっと・・・・・・」
そこでそういう無理を言うなと奴の足を思い切り蹴ってやった。予約は大人数のパーティーである。幾ら何でもそれは無理であろう。
「・・・・・・じゃ、何とかするわ。時間になったらその辺に居るなりして」
「申し訳ありません」
「いえいえ、こちらこそご無理を申し上げました」
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2007年03月27日

貸切未満、団体様御用達(其の壱)

3月24日、この日は「団体様御用達」のバーが2軒ほどあった。
1軒目は、言わずと知れた「バースデーイブオフ」が開催された『ヴィノテーク』。
2軒目は、今回似非ライターが走って『ヴィノテーク』との間を往復していた『カフェ・デ・ハーフェン』であった。実は今回こちらでも『グランオデッセイ』のスタッフが集まってのパーティーがあったのだそうである。

それと知ったのは、『The Life Spa RINウェルネス』にて「アロマデライト」を受けた後、半ばポワーンとしながら『カフェ・デ・ハーフェン』に来店した18:30頃のことであった。
いつもの事とて何も言わずにのっそりと入り、さてカウンターに・・・・・・と見ると、椅子(スツール)が全て片付けられている。
「あれ?椅子は??」
「今日は団体様の予約がありましてですね・・・・・・20:00からなんでその少し前迄しかお相手出来ないんですけど・・・・・・」と、これはカウンターの中で工作に励んでいたバーテンダーのMさん。懸命になって箱と色画用紙(色上質紙?)と格闘しながらくじ引きの箱を作っている。
ならば何処のテーブルに座ろうかと辺りを見回していると、何時の間にやらバーテンダー兼ディーラーのTさんが椅子を2つ用意してくれていた。

折角なので、と腰を下ろし、工作が一段落してやれやれと安堵顔のMさんに「ジンソニック」を注文する。喉が渇いていたので一気に飲み干すと、さて次は何が良かろうか、あまり手の込んだものは注文出来ぬであろうし・・・・・・とカウンター内のボトルを睨んでいると、今しがた迄ルーレットで客の相手をしていたTさんが脇を突付いて
「お代わりは?」
と聞く。偶々そのときにカンパリのボトルが目に付いたので「カンパリソーダ」を注文した。そのくらいなら、とバイトのAちゃんに他の注文と同時に作らせていたのであるが・・・・・・オーダーの通し方が悪かったのか、ボーっとして呼び止めない私(他にも注文が重なっていたので、自分の注文と気が付かなかったという間抜けさである)が悪いのか、Aちゃんは私の目の前で「カンパリソーダ」のグラスを持ってウロウロしている。とうとうテーブル席に運ぼうとしたAちゃんにTさん、
「それ、○○さんのだよ!」
慌ててグラスが私の目の前に置かれる。

注文も一段落し、手の空いたAちゃんとMさん迄もが私の前にやってきた。
「お久し振りですね」
「だね。12月以来だもんね」
「あ、そんなになりますか。・・・・・・じゃ、今年は初めてで」
「まぁ、そうね」
「それでは・・・・・・明けましておめでとうございます」
「それも間が抜けてるけどな・・・・・・」
「まぁ、今年最初ですし」
「・・・・・・」

「そう言えば、この間Aちゃん実家に帰ってたんだって?」
「何時ですか?」
「12月の8日か9日頃」
「あ、そう言えばそうだっけ・・・・・・なんで帰ってたんだろ?」
「んで、今日はMちゃんがいないんだ」
「M子は今日は休みです」
「う〜む、どうも最近2人揃ってるところに行き合わないなぁ・・・・・・」
「コイツらは適当に休みますからね」
「そらそーでしょ?バイトだもの」
「あ!思い出した。その時は成人式の着物見に帰ってたんですよ」
「あぁ、そうかそうか、ハタチだもんねぇ。それはそれはおめでとうございます」
「ありがとうございます」
「俺はおめでとうは言ってませんね。まだコドモだし」
「あのな・・・・・・コドモって言えばアタシも含めてここにいるのはみんなコドモやがね(話をしているうちにいつの間にか3組程居た他の客はいなくなっていた)。Tさんにしてもさ、アンタ達にお土産やったやろ?」
「はい、ありがとうございます。あれ、ゲームチケットの検印捺すのに使ってるんですよ」
「あ、そ。(ミ○○ー柄のハンコを?)」
「ハウステンボスなのにミ○○ー、なんでどうかな?って感じですけど」
「あんたねぇ・・・・・・。それはそうと、そん時にな、Tさん「アタシの分は?」って大騒ぎしてさ、「イイトシしたオバサンが何抜かすか!」って言ったら「心は何時までも“少女”ですから!!」だって・・・・・・」
2人とも、当然の如く、爆笑。ルーレット台を片付けながら聞こえていた筈のTさんはそ知らぬ振りであったが・・・・・・。

「あ、そうそう、そう言えばさ、Aちゃんどっちが良い?」
と、先日行った京都で仕入れた「ご当地キティ」の舞妓ヴァージョン(ブルーとピンク)を出す。
「京都行ってきたんですか?」
「うん、毎年2月には京都に行くのよ」
「え〜、じゃあ、どっちにしようかなぁ・・・・・・」
「・・・・・・あ、んじゃさ、2人でこれ分けなさい」
「はい、ありがとうございます」
と、後ろの引き出しに仕舞った。・・・・・・と思ったら、ちょいとテーブルを直しに行ったMさん、すうっとカウンターに入ると引き出しを開け、ひとつを自分のポケットに仕舞う。
「あー!Mさんが!!」
「・・・・・・いいよ。もうひとつあげるから」
と、今度は赤穂浪士ヴァージョンを取り出す。
「これは、大石内蔵助ですね」
「何ですか?」
「忠臣蔵よ。テレビでやってんでしょ?」
「あ、どっかで見たことあります」
「ま、そうだね」
「俺は、こっちの方が良いです」
ようやく舞妓ヴァージョンがポケットから出、引き出しに仕舞われた。すると、今度は後ろからひしひしと視線を感じる。
「あとさ、これ、姐さんの分ね」
と出したのは熊野詣ヴァージョン。市女笠を被った壷装束である。これを取り出して“熊野詣”の話が一段落したところで、タイミングを見計らってTさんがカウンターの方へ戻ってきた。
「これ、Tさんへのお土産ですって」
「えー、アタシ舞妓が良いなぁ」
「んじゃ、出そうか?」
苦笑しながらバッグに手をかけると
「あ、いえいえ、これで良いです」
「幾つ持ってきたんですか?」
と、呆れ顔なのは、Aちゃん。
「ま、色々使い道がね・・・・・・」
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2006年12月17日

BIRTHDAY COCKTAILS(『カフェ・デ・ハーフェン』編)

やさしい手紙をありがとう 気にかけてくれていてありがとう
下書きの跡が胸に沁みます
こんなわたしの為に こんなに沢山の
あなたの時間をくれたのですね

(さだまさし「Birthday」より)

誠に、このカクテルを頂いたときに嬉しかったのは、「私のために使ってくれた時間」そのものであったと、今になってしみじみ思う。
客は、私ひとりだけでは無い。他の客に向けて配慮をせねばならぬことも自明の理である。なのに、私の為にカクテルを考え、調整し、それを提供してくれるのに使ってくれた時間に感謝を幾度捧げても過ぎることは無いように思うのである。

さて、『カフェ・デ・ハーフェン』で頂いたカクテルをご紹介しよう。

Birthday Cocktail by Mさん先ずはこれ。この日2杯目のカクテルとして頂いた、バーテンダーMさんより貰った「Birthday Cocktail」である。
祝いの華やかさを出す為であろうか、グラニュー糖でコーラルスタイルにしたグラスに注がれた色鮮やかな赤いカクテル。「セント・クレーム」(?)というカクテルを元に作られた、DITA(?)やクランベリー・ジンジャーエールを使った飲み易い美しいカクテルである。クランベリーの酸味が甘味を抑え、ジンジャーエールの爽快さが飲み易さを増す美味いカクテルであった。
これを出されたときはただ、ただ、感動を覚えて飲んでいたのであるが・・・・・・相手は口の減らぬことに関しては私と負けず劣らずのMさんである。
「……さんをイメージして作ったんですけど・・・・・・これ(とグラスの底を指差し)、黒くすれば良かったですかねぇ?」
「何で?」
「……さん、腹黒だから」
「ちょっと待て!私は毒は持ってるけど、腹黒では無いぞ!!」
・・・・・・と、こうである。
折角嬉しさと感動に浸っているのであるからそのままの気分で居させてくれれば良いものを・・・・・・。この台詞のお蔭で、気分が随分楽になっていつもの気軽さを取り戻せたのは言うまでも無いが。

Birthday Cocktail by Tさん(HAPPY)Birthday Cocktail by Tさん(BIRTHDAY)そして、こちらが女性バーテンダー&ディーラーのTさんより頂いた「Birthday Cocktail」である。(ちなみに左の写真で心霊写真張りに阿呆面を晒しているのがバーテンダーのMさんである)
“ずーっと奥に引っ込んで何かをしている”(『西海の再会の宴(其の肆)』より)というのは、実にこの「HAPPY BIRTHDAY」の文字を作っていたからに他ならぬ。これは、リキュールでグラスに文字を書き、その上から砂糖を振り掛けて文字を定着させたと聞いた。1度は上手く行かぬとてグラスを変え、再びグラスを持ち出して挑戦したが故に時間がかかったのである。
普段であればこのような凝り方は時間が勿体無いと思い、それよりも早く酒を調整してくれた方が嬉しいと思うのが常の私である。が、このときは、一生懸命であったこのグラスを心底嬉しいと感じたものだ。私の座る席は奥の様子が一目瞭然であり(だから自分が居るときは他の客に座らせぬようさっさとここに席を占めるのであるが)、Tさんの悪戦苦闘振りも、一生懸命さもこの目で一部始終を見ていたものである。・・・・・・それだけに、嬉しさも倍増したのだと思う。カクテルを飲み干した後もしばしグラスを手に其の思いに浸っており、
「あ・・・・・・垂れちゃいましたね」
と声を掛けられるまで、リキュールがグラスを伝わって落ちてくるのにすら気付かなかった体たらくである。
ちなみにこの中身は「ブルーハワイ」。Tさんよりの
「カクテルでだけでも、海外旅行をプレゼントします」
ということである。以前、ここ(ハウステンボス)に来る為に他の所には旅行出来ぬとこの人に言ったことがある。Tさん
「良いじゃないですか。その分ここに来れば」
と、そのときは言っていたのであるが、それを思い出してくれたのであろう。・・・・・・と、思っている。
(そう言いつつどうやら2月の京都行きは予定通り出来そうであるが)

『カフェ・デ・ハーフェン』のカクテル
posted by daydreamer at 12:26| Comment(0) | TrackBack(0) | Cafe・De・Haven Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月16日

ハウステンボス・冬の怪(其の弐)

『カフェ・デ・ハーフェン』へようこそ

ハウステンボスに、この夏リニューアルオープンした『カフェ・デ・ハーフェン』。
実は、ここに、人には知られてはならぬ秘密が有ると言う。

バーテンダーと客とが美味い酒を飲みながら話に興じていると、人知れず、寂しがり屋の何者かが酒と話に興じる相手を求めて壁の中から姿を現すのだそうである。そして、その何者かがその相手を気に入ると、壁の中へと引きずり込んで“向こうの世界”へと連れ去ってしまうと言う・・・・・・。

が、最近彼らは少々様子を変えたらしい・・・・・・。

あれ?何か変だぞ??
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2006年12月14日

西海の再会の宴(其の陸)

「もうひとつ思いついたネタがあるんですよ」
「ふ〜ん、じゃ、それお願い」
とのことで、「ブロードウェイ・サースト」を飲み干した後、もう1杯カクテルを作ってもらった。

『カフェ・デ・ハーフェン』モスコー・ミュールbyMさんそれがこれ、ウォッカベースの定番カクテル「モスコー・ミュール」である。
これにはジンジャーエールを使うのであるが、このカクテルを作る少し前、ジンジャーエールが切れてしまい、他に借りに行っていた。
「どうせならサイダーにおろし生姜ぶち込んでジンジャーエール作ったら?」(←本気にしないで頂きたい。あくまでも冗談である)
「まぁ、似たような作り方しますけどね・・・・・・」(Tさん談)
実際は炭酸水に生姜と砂糖をを煮て作ったジンジャーシロップを加えて調整するのであるが。(但し、これは日持ちはせぬ)・・・・・・閑話休題。

定番中の定番のカクテルに
(はて?ジンジャーエール仕入れてきた、ってネタかな?)
と思いつつ、ひと口含んだのであるが、
「あ!ちょっと待ってください」
というMさんの慌てた声に、再びグラスを置く。そうしたらMさん、置いたグラスの氷に向かって、おもむろにライム・ピールをした。
「どうぞ」
の声で再度口に運ぶと、豈に図らんや、ライムの香りが立ち、まるで別物の如きグラスになっている。「モスコー・ミュール」自体は幾度も飲んだものであるが、これは、それらとは別物のカクテルのように思える。流石にプロの発想は違うものよ、と思ったものである。

これを飲んでいる最中に、前回もここでお会いした『K』の店長Aさんが来店した。私の隣りに席を占め、一旦化粧室に入って「仕事モード」から「オフモード」に切り替える。
スツールに腰掛けると、焼酎割りを注文し、程無くグラスが来る。
「お久し振りです」
「お疲れ様です」
と、軽くグラスを合わせて乾杯。その後、TさんMさんを交えて何やかやと話をした。その中で『T』という焼き物が美味しい店の話が出てきて
「今度一緒に行きませんか?」
「いいですね。是非ご一緒させてください」
「ここの売り上げに触らない程度にしてくださいね」
・・・・・・う〜む、立場の違いで全く違う言葉が出てくるものである・・・・・・

先に来たカップル客が、ルーレット台の付近に立つ。Mちゃんは相変わらずブラックジャック台で悪戦苦闘中である。・・・・・・となると、ルーレットを捌くのは、当然、Tさんの役目である。
「そう言えば・・・・・・私、ここでしばらくゲームして無いなぁ・・・・・・」
「良いじゃないですか。飲んでるだけで」
「だってここ、ゲームがウリでしょ?」
「ウリは、飲みです!」
「でもさぁ、あっちこっちにある看板とかステイブックじゃ姐さんがルーレット捌いてる写真出てるよ」
「ゲームは、ヒキです!」
きっぱりと言い切るMさん。良いんだろうか・・・・・・?
そんなこんなで、ラストオーダーの時間も近くなってきた。となると、先刻のTさんの言葉が頭を過ぎる。そこで、Tさんが近くに来た頃を見計らい
「そろそろラストオーダーじゃないの?(“最後のカクテル”いくよ?)」
と声を掛けると、
「何言ってるんですか!早く帰ろうと思って!!」
軽く体をぶつけ、歩いていってしまった。こう言われてしまうと、念を押して
「“最後のカクテル”飲みたいんだけど・・・・・・」
とも言えず、あれこれと話に興じているうちに、とうとう閉店の時間を迎えてしまった。
カップル客は一足先に帰り、ブラックジャック台にいた常連を交えた客(何時の間にやらテオ氏までもがそちらにいた)も勘定を済ませ、帰る。隣りのAさんも支払いをし、最後に私の番である。
「……さん、とうとう私の“ラストカクテル”飲んでくれませんでしたね」
「どうせ3月に来るじゃん。そん時に貰うよ」
そう、私の次回の帰国は既に決定している。3月24日(土)〜26日(月)の2泊3日である。(万が一手の手術が入れば来ることは適わぬであろうが)
Tさんにもそれは言ってある。24日は恐らく『ヴィノテーク』にてMさん(こちらはバーテンダーのMさんではなく、我々の旧知の地元客であるMさん)が主催する「ハウステンボスバースデー前夜オフ」によりゆっくりとここで飲むことは適わぬであろうが、翌晩は時間が自由に使えるであろう故、またもはしゃいで飲んで・・・・・・が出来ることであろう。

「じゃあ、又3月に」
の声に送られて『カフェ・デ・ハーフェン』を出、ホテルに戻って『ヴィノテーク』に入る。祭りの後の寂寥感を和らげるには、ここで、静かに飲むのが良い。
私が入ったときには、まだ、客が数組いた。カウンター近くのテーブル席にとりあえず、と腰掛けると、客が帰ったばかりのカウンターを急いで片付け、そちらに招いてくれる。

『ヴィノテーク』Nさんオリジナルカクテルここで、何時ぞやの季節限定カクテル「リートリューズ」と、写真のオリジナルカクテルを頂く。こちらのバーテンダーNさんのカクテルは、アルコールをそれほど強くしていない所為もあり、飲み過ぎた舌や胃に優しい。
ここで、『ハーフェン』でのあれやこれやや、写真のカクテルのデコレーションのフルーツの切り方の話など、取り留めの無い話をする。過ごす時間は短いが、ゆったりと感じるときの流れにあっという間に時間が過ぎてしまい、気付けば既に閉店時間を過ぎている。
最初に2杯だけ、と宣言していたこともあり、他の客が全て出た頃を見計らい、カクテルを飲み干してからチェックをして店を出る。閉店時間を1時間近くも過ぎているにも拘らず、笑顔で見送ってくれるバーテンダーお2人。

幾つもの拘りや、疲れや、不調が消えて無くなったのは、実にこの夜のお蔭であると思われる。
楽しい時間の後は、いつも寂しい。
が、それを補って余りある笑顔ともてなし・・・・・・私などには冥利が悪い(勿体無い)くらいである。それでも、この瞬間が嬉しくて、そして幾度も味わいたくて、私はハウステンボスへ行く。
次の帰国まで、あと3ヶ月余り。その後は・・・・・・如何致そうか・・・・・・。
posted by daydreamer at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | Cafe・De・Haven Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

西海の再会の宴(其の伍)

ところでTさん、私のカクテルを作り終わった後(いや、その前からか?)、奥から薬缶を持ち出し、ひたすら注ぎ口の部分をゴシゴシと擦っている。先程までは試験管洗いブラシの如きもので幾度も擦っていたが、とうとう爪楊枝を持ち出して突付き始めた。
私の占めるカウンターの席は、シンクのすぐ傍である。故に、やっているコトが嫌でも目に付く。
「どうしたの?焦げでも付いた?」
「これですか?牛乳温めた薬缶なんですけど、膜が付いて落ちないんですよ」
「あ、成る程・・・・・・」
「私、こういうの気になる性質なんですよね」
「まぁ、それは判るけど・・・・・・」
ゴシゴシゴシゴシ、力を入れてず〜っと擦り続けている。無論、その間はずっと下を向きっ放しである。
そこへ、カップル客が入ってきた。バーテンダーのMさんは奥に入ってしまい、バイトのMちゃんはブラックジャック台で格闘中である。そして、薬缶磨きに熱中しているTさんは全く客に気付かぬ。
「ほれ、お客さん」
「あ・・・・・・いらっしゃいませ」
夢から覚めたかの如くにTさんが来店した客に声を掛ける。Mさんがその声に気付き、急いでメニューを手にオーダーを取りに行く。
「ありがとうございます」
「いいけど・・・・・・客にも気付かないってどうよ?」
「良いじゃないですか。私と……さんの仲ですから」
・・・・・・どーゆー仲だと言うのであろう・・・・・・

そのときの私は(と言うよりも今だにそうであるのであるが)右手を痛めていた。特に、小指を除いた4本の指は痺れてしまって感覚が定かでないのが厄介である。そこで、事ある毎に右手を揉み解していた。
「痛そうですね。大丈夫ですか?」
「まぁね・・・・・・」
「ところで、グラス空いてますけど次いきます?」
「う〜ん、考えとくよ」
「じゃ、“これが最後”ってときになったら教えてくださいね。最後に、って考えてるカクテルがあるんですよ」
「はいはい」
そこへ、注文の品を出し終えたMさんが戻ってきた。当然、Mさんも私のグラスが空であることに気付く。
「何にしましょう?」
「そうだね・・・・・・何でも良いや、適当に作って」
バーテンダー泣かせの注文であることは重々承知している。が、私の好みは、最早TさんもMさんも百も承知である。それ故に、よもや訝しなモノを出す筈もあるまい、と、モノグサモード全開の注文をしたのである。
が、Mさん、矢張り困惑したらしい。・・・・・・というよりも、このオトコ、私の注文には矢鱈と慎重になる癖がある。
「ねぇ・・・・・・何にします?」
とうとう顔を覗き込んできた。
「んじゃ、テキーラベースで何か作って」

『カフェ・デ・ハーフェン』ブロードウェイ・サーストbyMさん「テキーラベース、ねぇ・・・・・・テキーラ、テキーラ・・・・・・よし、これ行こう」
と、ブツブツ呟きながら考え、やがて、何かに閃いたかの如くに顔がパアッと明るくなり、材料を揃え、作ってくれたカクテルがこれである。
「これは、何?」
「ブロードウェイ・サーストです」
「何?ブロードウェイ?」
「ブロードウェイ・サースト」
「ふむ、ブロードウェイ・サースト、ね・・・・・・」
「普通は、これ、オレンジジュースで作るんですけど、僕のレシピはオレンジを減らしてグレープフルーツを入れて、レモンをちょっと利かせるんですよ。これは、どこにも負けない自信があります」
(酔っ払いの記憶である。台詞に多少違っているところがあってもどうぞご容赦あれ)
これは、確かに、本当に美味かった。フルーティーな酸味が強めのテキーラの味を包み込み、酸味の奥底にはほんのりと甘味すら感じる。ふわりふわりと広がる酒の一滴、一滴が柔らかく舌を包み込む様は、まるで舌の上で花が咲くが如くである、と感じたものだ。
「あ、そうだよね。私が教わったのはオレンジだったもん」
とは、Tさんの言葉。では、オリジナルレシピのオレンジではもう少し甘味が強いのであろうか・・・・・・?
それにしても、この『カフェ・デ・ハーフェン』は、大音量のBGMが流れている。そこで会話をすると、必然的に顔を寄せて話をすることになる。カウンターのそちらとこちらで数人が頬が触れ合わんばかりに顔を寄せ合って話をする様は・・・・・・全く隠微にも淫靡にもならないところがこのバーの特徴である、と言えなくも無かろう。
posted by daydreamer at 20:49| Comment(0) | TrackBack(0) | Cafe・De・Haven Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月13日

西海の再会の宴(其の肆)

「じゃ、これから“カクテル6杯コース”用意してますからぁ」
「げ!勘弁してよ。もう4杯飲んできたんだよ・・・・・・」
この日、私はここ『カフェ・デ・ハーフェン』へ来る前にアレキサンダー広場の屋台で1杯(飲ませたのは前述の通りMさんであるが)、『ヴィノテーク』で2杯、『ロード・レーウ』の「クリスマスディナー」でグラスワインを1杯と計4杯飲んでから来ていた。その為、“6杯”と聞いて流石にうろたえたものである。
・・・・・・と言っても、結局この日ここで飲んだのは5杯のカクテル。故にもう2杯飲んだところで余り変わらなかったような気もするのであるが・・・・・・。(“残り”の2杯は、この後再び訪れた『ヴィノテーク』で飲んだのであるし)

馬鹿な話をしている間に、最初にMさんが「バースデーカクテル」と称したカクテルを作った。詳細やエピソードは「バースデーカクテル」を特集した記事にまとめてご覧に入れようと思うが(何せまだ勿体無くてご紹介する気になれないのである。誠に申し訳ないことであるが)、ベタで見事な腕前とあいも変わらず口の減らぬ同士の応酬は止まることは無かった。
そして、それを飲み干すと
「少々お待ちください」
と延々と“次”を待つことになった。何となれば、“次”を作るTさんはずーっと奥に引っ込んで何かをしているのである。その間、テーブル席のお客さんはMちゃんを引き連れてカード台に移り、Mさんは酒も作らず私と話をしていた。
「僕、フィギュアとか持ってるんですよ」
「あ、そ」
「んで、みんな僕のことオタクだとか言うんですよねぇ・・・・・・」
「ふ〜ん、でもさぁ、別にMさんはオタクじゃないでしょ?秋葉原なんか行くともっとスゴイのいっぱい居るよ」
「そうでしょ?それに、この間メイドの格好をして歩いてるお客さんが見えたんですよ」
「へ?・・・・・・まぁ、ここはコスプレには良いって話は時々“見る”けどねぇ・・・・・・」
「聞いたら、そのお客さん、福岡から来たって言うんですよ」
「ふんふん」
「で、その恰好で電車に乗ったんですか?って聞いたらそうだって・・・・・・」
「それはそれは・・・・・・。ま、ここはドラクエとかFFの世界に近いって言うしねぇ。だから“ぱふぱふ屋”があったらウケるだろ、って」
「あぁ、ドラクエの・・・・・・」
「そうそう。私も一応8までクリアしたけどね」
「僕は6までですね」
「あ、そうなんだ・・・・・・」
(ご存知の方も多いと思われるが、“ドラクエ”というのは、スクエア・エニックスより発売されている「ドラゴンクエスト」という一連のゲームの名前である。現在発売されているのはPS2版の「8」までである)

何のこっちゃ、の話の間にTさんがグラスを持って奥から出てきた。そして、シェイカーを振り、カクテルをそれに注ぐ。これはTさん版の「バースデーカクテル」である。
これについての詳細も別記事に譲るが、これはやはり女性ならでは、といった感覚なのであろう。私自身、これには思わず見惚れてしまい、カクテルを飲み干した後もしばし見入ってしまった程なのである。が、当のTさんは出来に納得できなかったようで
「来年はもっと上手く作っておきますから」
とのこと。・・・・・・ってことは、来年もこの時期に来る、ということか?

ところで、バイトのMちゃん、つい11月までは
「私ルーレットしか出来ないんです!」
と言い張っていたのであるが、前夜よりブラックジャックのディーラーもこなしている。そこでTさんに
「あの子前カード出来ないって言ってたけど、何時仕込んだの?」
「まだ危ういんですよ」
「そう?」
「ここオープンすることになって、あの子たち来たのが5月中旬だったんですよ。だから時間が無くて、とりあえずどっちかひとつずつ選ばして、A子がジャック・M子がルーレットを選んだんでひとつずつ教えたんですよね」
「そうなんだぁ」
と、話をしていると
「Tさぁ〜ん」
と、ディーラー席からMちゃんの声。
「ブラックジャック同士はどうなるんでしたっけ?」
苦笑いを浮かべたTさん、近付きながら
「イーブンマネーじゃないの?」
・・・・・・それより君、ちゃんと“インシュランス”したんだろうねぇ・・・・・・
posted by daydreamer at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | Cafe・De・Haven Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月12日

西海の再会の宴(其の参)

『カフェ・デ・ハーフェン』に着くと、カウンターが半分ちょっととテーブル席の2・3が埋まっていた。先ずは程々の混み具合、といったところであっただろうか。バイトのMちゃんはルーレットで客の相手をしており、カウンターを切り盛りしていたのはTさんひとりであった。
のっそりとそこへ入り、いつものカウンターの端の席に腰を掛ける。
「いらっしゃいませ」
「どうも」
「……さん、私が休みのときを狙ってここに来てません?」
「そこまで知らないよ」
「そう言えば、M子にだけお土産頂いたんですって?」
「何を言いますか。ちゃんとAちゃんにも買って来ましたよ」
「アタシの分は?」
「あのねぇ・・・・・・イイ年したオバサンが何を言うか」
(注:私もTさんも所謂“三十路”である)
「心は何時までも“少女”ですから!」
「・・・・・・ド阿呆」
実を言うと、前回嫌な思いをさせた詫びを込めてバイトの2人に小さな土産を持参していた。ミ○○ーマウスとミ○ーマウスの付いた小さなネームスタンプである。二十歳を超えた2人には少々子どもっぽいかな?とは思ったが、Mちゃんは大のミ○○ーマウス好き、Aちゃんは可愛いものが好きなのでまァ良いか、と思ってのチョイスだったが、よもやTさんにとは思いも付かなかったのである。

『カフェ・デ・ハーフェン』メキシカンローズbyTさん兎にも角にも“再会の宴”は始まった。
先ず、Tさんが出してきたのは「メキシカンローズ」というカクテル。これは、Tさん自身が好きなテキーラを使ったカクテルである。使用しているのは、他にカシスのリキュールとレモンジュース。私の甘いモノ嫌いは当然Tさんも承知しているので、甘味を抑えて酸味を生かした味わいになっていた。

飲んでいるうちに、出稼ぎに行っていたMさんが戻ってきた。
「お帰り〜。それ、落ちないで残ってるねぇ」
「お蔭様で」
「あ、それ、……さんの仕業ですか」
「そ。良いっしょ」
これは、『カフェ・デ・ハーフェン』への土産の話である。が、長くなるのでこれも次回に譲ろう。
「そうそう、こんなの見つけたんだけど、どう?」
と、Mさんに雑誌の頁をめくり、手渡す。
「どれどれ・・・・・・ぶあっははは!」
と、爆笑したMさんを怪訝な顔で見るTさん、その頁を覗き込んで
「な、何ですか?これ!」
と慌てふためく。
この帰国の前に、雑誌の整理をしていたところ、偶々無くしていた「るるぶ」の古い巻が出てきたのである。そして、そこには若かりし頃のTさんが掲載されていたのだ。
「止めてくださいよぉ。私、整形したんですから」
と、Tさん。ルーレットを終えて戻って来たMちゃんにもそれを見せると
「あれ?Tさん、○○にも居たんですか?」
「うん、居たよ」
「へぇ、今と全然顔違いますねぇ」
「それ、アタシだと思ってんの?アタシは整形したの!」
・・・・・・確かに面影は無いのであるが・・・・・・。
ひとしきり笑ったMさん、
「……さん、グッ・ジョブ!」
と、Tさんに聞こえないように私に言い、Tさんに見えないように親指を立ててみせた。
posted by daydreamer at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | Cafe・De・Haven Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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