2008年08月18日

ママ・ダイキリ?

ハウステンボスには、若き凄腕(?)のお笑いバーテンダーが居る。
・・・・・・尤も、当人がコレを見たら
「(?)の位置が違います!」
と、抗議をしそうな気がするが、事実であるのだから致し方あるまい。

今夏の『グランキャフェ』の限定カクテルは、昨夏の甘いカクテル(シャーベット入り)とは一線を画したオーソドックスなもののアレンジ版であるフローズンカクテル「ザ・ヘミングウェイ」である。
この名称は、彼のノーベル文学賞受賞者である文豪ヘミングウェイが愛した「フローズン・ダイキリ」をアレンジしたものであることから付けられたのだそうな。ちなみに、ヘミングウェイが好んだレシピは砂糖を抜き、ラムをダブルで入れたという話を聞いたことがある。

ザ・ヘミングウェイ(キウィフルーツ)先ずはこちらをご覧頂きたい。これが「夏の祝祭劇場」の開催に合わせて登場している「ザ・ヘミングウェイ」のキウィフルーツヴァージョンである。この他にもマンゴーヴァージョンがあるということであるが、私が甘いモノを苦手としていることを知っているMバーテンダー(このオトコこそが冒頭で登場した“お笑いバーテンダー”である)は
「キウィで良いですね?」
と有無を言わさずこちらを調えたものだ。
それだけ自信もあったのであろうか?確かに美味かった。此奴の味覚(食事は知らず、酒の類のみではあるが)は大したものである。キウィの爽やかな酸味とほんのりと感じる甘みがラムの強さを和らげて非常に飲み易くなっている。それだけにフルーティーさが際立ち、真夏の夜を過ごし易くする為の飲み物としては相応しい。

が・・・・・・。

この「ザ・ヘミングウェイ」が夏のイベント時に登場するということは、オフィシャルHPにて早くから紹介されていた。折りしも、その直前とも言える7月上旬に帰国をしていた。そこで、こんな注文をしてみたのである。
「あのさ、「パパ・ダイキリ」貰えるかな?」
「「ヘミングウェイ」ですか?」
「ううん、フツーの「パパ・ダイキリ」の方」
無論、コレはフローズン・カクテルが出来ると知っての注文である。
そして、当然「ヘミングウェイ・ダイキリ(パパ・ダイキリ)」を頼んだつもりの私は、ダブルのラムに砂糖抜きのガンと強いものが出てくるものと期待をしていた。・・・・・・この時点で結構飲んでいるのであるが、性懲りも無く。

Mさん、注文をそのまま受けては危ないと思ったのやも知れぬ。
ブレンダーを使い、クラッシュアイスと材料を混ぜてシャーベットを作る。それをそのままカウンターの中央部分まで持っていってグラスに盛り付けている。その真ん前に居た女性客のグループが興味津々であれこれと質問をしているのを聞いた。

ママ・ダイキリ?グラスが目の前に置かれた。
「「ママ・ダイキリ」です」
「は?」
ニヤリと笑い、その場を離れる。
ひと口、啜ってみる。
・・・・・・どう考えても普通の「ダイキリ」の味がする・・・・・・。
そこで「ママ・ダイキリ」なのかしらん?
真逆、前の帰国時の“Hi君のお母さん”を引き摺っているのではあるまいなむかっ(怒り)
何にしても飲み易い味になっていたので一気に啜り・・・・・・といきたいところではあったが、残念ながら水分が少々少なめであった為に氷が幾度もストローに詰まり、ちょいと飲み難さがあったのが残念であった。尤も、本番の「ザ・ヘミングウェイ」ではその飲み難さは解消されていたので良しとせねばなるまい。

ところでバイトのHi君、ホール席の入口近くに居たかと見たら、何を思ったかぐるりとホール席を回ってこちらへと来た。
「こんばんは」
「・・・・・・はい、どうも」
幾ら注文が途切れたとて、わざわざこちらへ来る義理もあるまいに。
それに、挨拶だけするとまたスウッと元の位置に戻ってしまったのだ。
「あのコ、何しに来たの?」
「まぁ、一応お客さんですしねぇ」
「・・・・・・で、何しに来たんだ?」
「さぁ・・・・・・」
『グランキャフェ』にも実に不思議なスタッフが揃っているものである。
尤も、同じコトを『ジャックポット』のEちゃんがしたならば
「一寸待て。何か酒作っていかんか!」
と蹴っ飛ばすやも知れぬな。
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2008年04月14日

長崎BREEZE(後刻譚)

さて、『ジャックポット』でふっと息を付いていた折のこと。

私が持っているバッグは、ハウステンボスは『パサージュ』内のショップ『アフロディーテ』で購入したキプリングのバッグである。最近は、何かのドラマで使われたという斜め掛けのバッグを愛用している。
この“愛用”は、何もハウステンボス内だけではなく普段の生活でも、ということである。通勤用には別の・・・・・・とは申しても矢張り『アフロディーテ』で購入したキプリングの・・・・・・バッグを使用しているが、休日に買い物などで外出するときにもコレを手放したことは無い。
そのバッグを、先日『トラベルカフェ』に行ったときにも持っていった。その折に「ガンダム」のガチャガチャに興じ、購入したカプセルをバッグに入れっ放しにしていた。

『ジャックポット』でバイト君たちをからかって遊んでいるとき、このカプセルがあるのに気が付いた。そこでカプセルを渡したのであるが・・・・・・『アムステルフェーン』内にひとりガンダムオタクが居たことに思い至った。
子どものオモチャであるが、こんなものでも奴は受け取るのであろうか?
取り敢えず、『グランキャフェ』へと向かった。

入口の近くには、間の良いことにTさんが居た。
「Tさん、一寸一寸」
「あら、お帰りですか?」
「未だですよ。私、手ぶらでしょ?」
「あ、そう言えばそうですね」
「えっと、バッグにコンナモン入ってたんであのコに渡しといて貰えますか?受け取るかどうかは知らんけど」
「はいはい。・・・・・・これ、「ガンダム」ですか?」
「そうです。子どものオモチャなんでどうかな?とも思ったんですけどね」
言いながらカプセルを手渡す。
「ありがとうございます。喜ぶと思いますよ。あのコ、「ガンダム」好きですから」
「そらまぁ、『ジャックポット』にプラモデル置いてる位ですしね」
「それにお客さんにも「ガンダム」の話をして、そのお客さんが途中で席を立つと別のお客さんを捕まえて話の続きをするくらいなんですよ」
・・・・・・聞いていて頭が痛くなってきた。
それでは“大きなコドモ”そのものではないか。
『グランキャフェ』ではそれなりに格式が求められると思っていたが・・・・・・。
「それじゃ、どうも」
「自転車忘れないでくださいね」
「はいはい」


ところで、折角「長崎BREEZE」をタイトルに持ってきたのだ。
次回(来週)の帰国では、この名を冠したカクテルでも作って貰うとしようか。
ならば、公平を期する為に歌詞を引用させて頂こう。著作権には重々触れるとは思うが、此度だけはどうかお見逃しあれ。
流れるような言葉と切ないメロディーが大好きな歌である為に頭から離れぬのである。

長崎BREEZE     詞・曲 さだまさし


路面電車の窓から
想い出が風の様に おだやかに吹いてくる
海風を孕んだ あじさい色の空
君を愛して過ごしたこの町

停車場を幾つか数えて
やがてゆるやかなカーブ かすかに車輪が軋んで
気づかぬうちにポイントを乗り換えていた
あの時もあとで乗り違えたことに気づいた

 長崎BREEZE 優しすぎる風が
 長崎BREEZE あの日も吹いていた

沖をゆく船の窓のきらめきに
軽いめまいを感じ
最后の言葉をききとれなかった


待たせるのはいつでも僕で
南山手坂の途中 赤煉瓦の小さな店
ステンドグラスの窓辺で君はいつも微笑んだ
来ると信じた人を待つなら辛くないわ

お互いの愛の形が
本当は初めから少しだけ違っていたんだろう
丁度子供がシャツの釦のひとつ目を違えて
最后になって気づく様にね

 長崎BREEZE 待ち疲れるなんて
 長崎BREEZE 思いもしなかった

喜びと悲しみは隣あわせ
愛と憎しみは背中あわせ
そんなことにも気づかずにいたあの頃

 長崎BREEZE 過ぎ去った季節は
 長崎BREEZE 全てが美しい

君に良く似た子供の手を引いた
君に良く似たひとと
坂道で今すれ違った

 長崎BREEZE 優しすぎる風が
 長崎BREEZE あの日も吹いていた
(アルバム『自分症候群』より)

さて、この歌詞を見てあのオトコは一体どんなカクテルを作るのであろうか?
しらばっくれる可能性も無いでは無いが。
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2008年04月13日

長崎BREEZE(其の肆)

『グランキャフェ』に戻ったのは、21:00になる直前のこと。
「いらっしゃいませ」
「何とか間に合ったかな?」
「始まりますけど」
程無く、ピアノの優しい音色が流れ出す。

「ところで、何にしますか?」
「じゃあね、「シャーリーテンプル」くれる?」
「弱気ですね」
「向こうでも結構飲んだからね」
このデコレーションは、一体誰が?これまでもハウステンボス内でノンアルコールのドリンクを貰ったことが無い訳では無いが(今年に入ってからは『ジャックポット』に於いてのチェイサーは「ウーロン茶」が定番である)、一昨年は未だ未だ元気であったので、Mさんの前ではノンアルコールのドリンクなど飲んだコトは無かったのやも知れぬ。ふと見せた訝しげな表情は、それを受けてのことであろう。
ともあれ、僅かな間その場を外したMさん、手に「シャーリーテンプル」のグラスを持って来た。思い出すことも出来ぬ程久し振りに飲んだ「シャーリーテンプル」の優しい口当たりが胃の腑にまでしみじみと染み渡る。

ピアノの音色が、店内に静かに響く。
うっとりとする程に美しく優しい時間が流れる。
聞き惚れている途中で、ふと思いついた。
「あのさ、このピアノってリクエストとかも出来るの?」
「・・・・・・あと5分しか無いですよ」
時計を見ると、確かに20分間の演奏時間はあと5分余りを残すのみ。ピアノの心地良さに時間が経つのも忘れていた。日々の生活でささくれかけた神経が休まるときはこういうものかと改めて気が付いた。
ラストの曲が始まる。ビートルズの・・・・・・いや、ビートルズ時代のポール・マッカートニーの傑作「Yesterday」である。ビートルズの歌の中では格別と言う程では無いにせよ、この歌も好きな部類に入る。気が付くと、ピアノに合わせて小声で口ずさんでいた。口元は頬杖で隠したものの、流石に声は漏れていたであろう。スタッフ達は傍に近付くことなく、お蔭で充分に演奏を堪能したものである。

ピアノの演奏が終わり、我に返ると強烈な吐き気が襲ってきた。
これは、飲んでいる薬の副作用である。
空腹で飲むと副作用が強くなると医師より申し渡されていた故、『ジャックポット』ではそれを僅かながらでも抑える為にいつもは食さぬ「イタリアンサンド」など食したものであるが、もしかしたらそれでは足りなかったのやも知れぬ。次は『按針』ででも食事をせねばならぬであろうか?一度座ると動くのを億劫がる私としては、『按針』の寿司を『ジャックポット』や『グランキャフェ』などの『アムステルフェーン』内の店に出前してくれるとありがたいと思うことも無いでは無いが・・・・・・それはさておき。
さしもの私も、コレにはすっかり参ってしまった。
動くのも、声を発するのも、そもそも起きて座っているだけでも苦しい。
目を瞑っていれば少しはマシかと思い、頬杖を付いたまま目を閉じてじっとしてみた。あまり大げさであると周りに気付かれるかと思い、少しずつ深呼吸をする。途中一度むせたが、心なしか吐き気が少しずつ治まってきた様な気がする。もう少しだけ、楽にはならぬであろうか。もう少しだけ・・・・・・。
「○○さぁ〜ん」
横で、Mさんが声をかける。目を開くと、あれ程の吐き気は嘘のように静まっていた。・・・・・・ということは、気付かぬうちにまたもや眠っていたのであろう。

「じゃ、そろそろ向こう(『ジャックポット』)に戻るか。「XYZ」ね」
「畏まりました」
これこそ「オヤクソク」の「XYZ」慣れた手つきで「XYZ」を調え、出す。こちらも黙ってグラスを手に取り、口に運ぶ。
ふと、Mさんの表情が変わった。
「僕の友達でも同じ病気に掛かった奴が居るんですけど、引き篭って家から出られなくなったんですよ。それを見てるだけに一寸心配なんですよね・・・・・・」
何と答えて良いか判らぬまま、グラスを口にする。
医師からは、絶えず悩まされる“憂鬱”や“無力感”は病気の所為だと言われている。それを理解してさえ居れば悪い方への道は選ばぬだろうとも。そして、診断を受けて薬を処方されている今、状態は落ち着いた方である。
だから、多分大丈夫だとは思う。が、斯くの如く気遣ってくれる他人が居るというのは矢張り崩れ折れそうなときの力になるものである、と初めて知った。
ありがとう。まだまだ、頑張れる。

一仕切り話を終えた頃、Tさんが近くに来た。
「今日、結構お客さん入ってますよ」
「どうもそうみたいですね」
「この前もそうでしたけど、○○さん来るときってお客さん多いんですよね」
「そりゃ、単なる偶然でしょう」
「そうかもしれませんけど、そういうお客さんって居ますよね」
「まぁ、聞いたコトはありますね」
「だから、月に一遍くらいは来て欲しいんですよね」
「何を阿呆なことを」
思わず苦笑が漏れる。
ワタシが一体何処から来ると・・・・・・。

阿呆な話に興じるうちに、グラスが空になる。
それでは、と暇乞いをして立ち上がる。
伝票を受け取ってレジを打つのは例によってTさんである。
支払いを済ませ、受け取ったレシートを見ると、時刻は22:00を少々回ったところ。此処で過ごす時間は、いつもそれ程長くは無い。
拠点が『ジャックポット』に定まっているので、此処ではいつも他所行きの気分が抜けぬのだ。落ち着けぬという訳では決して無く、寧ろ心地良い時間を過ごしているのは確かなのだが。
・・・・・・まぁ、いつかは1日だけでも此処を拠点としてみたいものだ。偶々にでも『ジャックポット』が休みの日に行き合わせたら、一寸試してみるとしようか。
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2008年04月06日

長崎BREEZE(其の参)

またもグラスは空である。ふと時計を見ると、19:00に近い時刻になっていた。
「そろそろ向こうの片付けも終わったかね?」
「そうですね」
「じゃ、そろそろ行くワ」
「はい」
「そう言えばさ、ピアノの演奏って何時からだっけ?」
「21:00ですね」
「そう。じゃ、その頃また来るよ。その前にもう1杯だけ貰うね」
「はい、何にしますか?」
「それじゃさ、この間「スーズ」を使ったカクテルを貰ったでしょ?」
「スープ?」
「スーズ!」
「あ、はい、「スーズ」ですね」
「あれ使って、他のカクテルは出来る?」
「・・・・・・シャンパン割りとかなら」
「んじゃ、それ頂戴」

『バーテンダー』では「エチュード」と記載されていたまたもその場を離れ、グラスを手に戻ってくる。
「「シャルル・ジョルダン」です」
「へぇ、そんな名前付いてるんだ」
流石にコレは初めて見るカクテルである。感心し、思わず言葉が口を付いて出ると
「『バーテンダー』です」
と言い、何処かへ行ってしまった。
「『バーテンダー』って、漫画ですか?」
「さあ?」
「確かにそんな漫画が出てるのは知ってますけどね・・・・・・」
と、傍らのTさんと顔を見合わせて首を捻るばかり。
後日、某所で漫画『バーテンダー』を確認してきた。確かに「スーズのシャンパン割り」という飲み方は存在した。が、名称は「シャルル・ジョルダン」ではなく「エチュード」と記載されていた・・・・・・。

やがて、グラスが空になった。
「さて、と、じゃ、そろそろ向こうへ顔出してきますね。あんまり遅くなると怒られそうだし」
「そうですね。じゃ、そろそろ」
私の拠点は『ジャックポット』である。『グランキャフェ』のスタッフもそれと知っているので、無理に引き止めるコトは無い。
「じゃ、またピアノの演奏の時間に来ますね」
「お待ちしています」
勘定を済ませ、見送りに出てくれたTさんと挨拶をして『グランキャフェ』を出る。その後、『ジャックポット』で2時間程を過ごしてから再び『グランキャフェ』のドアを潜る。
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長崎BREEZE(其の弐)

「ところで、何にしましょう?」
Mさん、ふと手を休め、注文を促す。
「そうね・・・・・・じゃあさ、この間は貰えなかった「ラストキッス」でも貰えるかな?」
「未だマスターしてません」
「そう。じゃ、テキトーに見繕って貰える?」
「・・・・・・畏まりました」
やれやれ、という表情を見せ、その場を離れる。ややあって、グラスを片手に戻って来た。

何が「オヤクソク」だと・・・・・・「で、何作ってきたの?」
「“オヤクソク”の「スプモーニ」です」
「別に約束はしとらんが」
「ま、最初ですし、軽めのもので」
すっきりしたほろ苦さが寝起きの頭をスウッと目覚めさせてくれる。

今は開店直後である。当然ながら、他に客は居ない。
一旦“逃げた”Tさんが戻って来た。
「どうです?景気は」
「そうですね・・・・・・先月まで『ジャックポット』が週末営業だったでしょ?」
「はいはい」
「その所為か、満席って程じゃなかったんですけど、そこそこお客さん入ってたんですよ」
「成る程ね」
「やっぱり似たような場所がふたつあるのとひとつでは違うんでしょうね」
「ま、確かに向こうはカジノバーですけど、結局客がするコトは一緒ですからね」
「だから今回の店休も、考えようによっては良かったって言えるのかも知れませんね。お互いに食い合うよりは、って意味で」
「・・・・・・その辺りは何とも言えませんけどね」
少数ながら、今回の店休で『アムステルフェーン』自体から足が遠のいた、と言う声も聞くのであるが、そもそもハウステンボスを“テーマパーク”として考えるのならば少数の“常連”よりも大多数の“一見さん”を基準に考えるのもさもありなん、と言えるのであろうが。未だどの店からも“常連”と呼ばれる程に通い切れていない私などにとっては複雑な思いも無きにしも非ず・・・・・・。

ふと気が付くと、グラスが空いていた。
「次、何にしましょう?」
「そうだね・・・・・・んじゃ「ハイボール」をバーボンで。この間とは違うのでいってみようか」
「この間は何出しましたっけ?」
「えっと、確か「ジムビーム」じゃなかったかな?」
確かに“前”とは違うがそれでは、と出してきたのがこの「ジムビーム8年」。確かに前とはちと違うが、このチョイスはあまりにも冒険しなさ過ぎるのではなかろうか・・・・・・?

聞かれるままに、ボツボツと近況など口にする。Mさんは拙ブログの“お客様”であるので、ブログで吐く弱音も全て知っている。ここでは“お客様”である私、それをいいことにぼつりぼつりと弱気をも口にする。病気の話も、ここでならば(少しは)出来る。
話が途切れた後にふと来る沈黙も快い。
・・・・・・が、我々がそれで納まる筈も無い。
「ところで○○さん、いつも昼寝してから『アムステルフェーン』に来るんですか?」
「ま、最近は大体ね。・・・・・・何、眠そうな顔してる?」
「はい」
「そう」
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2008年03月30日

長崎BREEZE(其の壱)

題名(タイトル)を決めかねた挙句、とうとうさだまさし氏の歌(しかも大好きな歌)をタイトルに持ってきてしまった。・・・・・・勿体無い。
本当はもっと気合を入れた記事にこそ、この題名を付けたかったと思うのであるが、決めてしまえばこの他の題名は思い浮かばぬのであるから仕方もあるまい。

それはさておき。

この日、私はいつもの通りレンタサイクルを駆って場内を回ってきたところであった。
18:00になるやならずで『アムステルフェーン』に到着し、自転車を停めると『グランキャフェ』の窓のところに何やら見覚えのある人影が居た。
「こんばんは。ご精が出ますね」
「あら。こんばんは」
人影は、窓を拭いていた『グランキャフェ』のTさんであった。
「もしかして、今自転車停めました?」
「ええ。ちょっと眠気覚ましにその辺走ってから来ましたので」
「そうですか。じゃ、中へどうぞ」
「あー、いやいや、向こう(『ジャックポット』)に一寸寄ってからお邪魔しますよ」
「でも、向こうは未だ片付いてないんじゃないですか?先刻まで貸切でしたから、片付けで大変そうでしたよ」
「あ、そうなんですか。じゃ、片付くまでこちらで時間潰しておこうかな?」
「そうですよ。どうぞどうぞ」
半ば背を押されるように店内に入った。

カウンター内ではNさんが仕込みの最中であった。
「いらっしゃいませ」
の声に迎えられて“いつもの席”へと向かう。
Tさん、
「どうぞこちらへ」
と、カウンターの中央に近い席の椅子を引いてくれたが、幾度かお邪魔したうちの大半は、端の席に好んで着いていた私である。
「いや、私はこっちで」
と、さっさと“いつもの席”に行き、我から椅子によじ登ったものであった。
「あ、そこで良いんですか?」
「ええ、まぁ、此処の方が落ち着くんですよ」
このとき、カウンターの中で人影が動いた。
「いらっしゃいませ」
と、Mさん、おっとり刀で登場した。

「Tさん、こんなの食べます?」
と、空港で買い求めていたモノを渡す。
「あら、ありがとうございます」
と、Tさんの手に渡ったのは『資生堂パーラー』の「さくらチーズケーキ」である。これは、後に『ジャックポット』のTさんの手にも渡ったのは前に書いた記事の通り。
「へぇ、珍しいですね。さくら味、っていうのは」
「ま、今の季節限定ですからね。ここは季節毎に結構限定ものを出すんですよ」
「そうなんですか」
「そう。んで、こっちの「プレーン」は私のオヤツで。甘いものは苦手なんですけどこれは食べられる数少ないものの一つなんですよ。ひと口サイズで食べ易いですしね」
と、「プレーンチーズケーキ」を取り出して見せる。尤も、この「プレーンチーズケーキ」も結局は人手(『パロット』のTさん)に渡ったのであるが。
(余談ではあるが、チーズケーキを渡した3人の“Tさん”のうち『資生堂パーラー』に反応したのは『パロット』のTさんだけであった。老舗の人気土産であるので知名度はそれなりにあると思っていたが、九州では然程でも無いのであろうか・・・・・・?)
「これ、冷やした方が美味しいですかね?」
「ま、お好みじゃないですか?」
「うん、でもやっぱり冷やした方が良さそう」
と、Tさん、チーズケーキを持って何処かへ行ってしまった。

気が付くと、Mさんはつまみの仕込みの最中であった。
「そう言えばさ」
「はい」
「ウチのブログに妙なコメントがついてさ。「僕です。」って訳解んないHNでね」
と、livedoor版の『徒然』に付いたコメントの話をしつつ軽く睨むと、生ハムを処理しながら、俯き、声を殺して爆笑している。
矢張りオマエか・・・・・・。
「ところでさ、何で『ムーンシャワー』なのよ?」
「良いじゃないですか」
「・・・・・・勘弁してくれ」
コメントレスにも書いたのであるが、「Moonshower Story」を書くには、先ず『ムーンシャワー』へ行かねばならぬ。『ムーンシャワー』は『アムステルフェーン』の2階にある。唯でさえ腰が重い私が、飲んだくれた状態で階段なぞ上がることが出来る訳も無いではないか。
Tさんが戻って来た。話の矛先をTさんに向ける。
「今ね、ブログの話をしてたんですよ。ここの話もボツボツ書いてるんですけど、Tさんにも結構ご登場願ってましてね」
「そんな、書かなくて良いですよ」
・・・・・・逃げられてしまった。
「だからさ、ご了承願おうかと印刷して持って来たんだけどね」
と、ファイルをバッグから半分程出して見せる。
「それ、『ジャックポット』に置いて来るんでしょう」
不安げな顔つきのMさん。
「いんや、『ジャックポット』用は別にあるもん」
もう1冊のファイルをちょいと見せる。『ジャックポット』に置いて来るのはあくまでも「Jackpot Story」の印刷分だけであるし、あのT姐さんが自分が登場しない話に興味を持つとはちと考えられないのであるが・・・・・・。
「ま、仕様が無い。逃げられたから持って帰るか。それとも、これ、此処に置いてく?」
「・・・・・・じゃ、置いてってください」
『ジャックポット』に持っていかれるよりはマシ、と判断したのであろう。
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2008年02月07日

揺れる短夜(其の陸)

「済みません」
「はい?」
「注文をお願いしたいんですが。「XYZ」と「ラストキッス」を」
「2杯一緒で宜しいですか?」
「はい」
カウンターは、既に満席に近い。注文も次々に入っている様子である。その為、どうせ飲むのならば・・・・・・と、2杯一緒の注文をしたものである。

スタッフが、カウンターの中の“バーテンダー”であるMさんに注文を告げに行く。それと聞いたMさん、こちらに向かって歩いて来る。いや、“駆け寄って来る”と申し上げた方が彼の折の状態に近かろう。何せ物凄い形相でこちらに向かって来たのだ。
「「XYZ」と「ラストキッス」ですかっ!」
「うん、頼むワ」
あくまでも、私の口調はのんびりとしたものである。口元には意識して笑みを作る。内心は葛藤を繰り返して居た為とても平静と言える状態では無かったのであるが。
・・・・・・ところが、Mさんの方はいつもの状態ではない。普段ならば軽口のひとつでも叩きながら
「畏まりました」
の声が出るところであるが、このときは口を引き結び、まるで凍り付いたかの如く微動だにせぬ。じっと目を見ると、哀しげに見返す。そのまま、ひと時、ふた時・・・・・・時間ばかりが過ぎる。
とうとう、こちらが根負けした。
「解ったよ、解った。「XYZ」だけで良いよ」
空気が解けた。ようやく、口を開いた。
「畏まりました。」
尤も、実際に「ラストキッス」を飲んだことは無いので、飲んだ後にどうなるのかは定かでは無いのである。実は「ラストのカクテル」になる可能性がある(本人にその気が有る無しに拘らず、である。但し確率は5分5分であるが)ものは別に有る故。

散々渋った末の「XYZ」、このグラスは初めて見たカウンターの向こうの方へ行き、材料を揃える。シェイカーに材料を入れ、振る。振りながら、こちらへ向かって歩いてくる。
余談ではあるが、この“シェイカーを振りながら歩く”という動作は、実のところさだまさし氏を思い浮かばせるものである。以前・・・・・・と言っても1993年のことであるからもう15年も前の話・・・・・・「MASASHING WORLD FESTIVAL」というさだまさし氏のファンクラブ向けのイベント(劇とコンサートの2本立て)で「シェイカー」という劇(脚本・主演さだまさし)が上演されたことがある。そのときのさだ氏の役が名うての詐欺師「シェイカー」で、目印がネックストラップに下げたシェイカーを振りながら登場する、というものであるので。・・・・・・閑話休題。

こういったメタリックなグラスは初めて見たが、こういったものもここ『グランキャフェ』にはあったのであろう。これに、シェイカーの中身を注ぐ。
「この辺りが「ラストキッス」です」
と言いながら、グラスの底を指差す。
「ふーん」
と、気の無い返事を返しながら「XYZ」を口にする。
「何なら僕の“ラストキッス”はどうですか?」
「オメーのはいらねぇ」
どうせならもっとイイオトコを用意してくれ。

斯様に「ラストカクテル」に拘るのは、矢張りさだまさし氏の「ビクトリア・ピーク」という歌が念頭にあったが為である。この歌の歌詞の中に
カクテルの色が 壁の明かりに透けて
別れの予感を飲み干したあの夜

というものがあるので、この“カクテル”が何であったかを想像すること仕切りであったのだ。
何せこの歌は失恋の歌である。サビの部分は
愛がこんなに 切ないものだと
気づきもしなかった 香港harbor light
別れた人を 思い出すには
悲しいくらいがいい 香港harbor light

・・・・・・これの繰り返しである。故に「ラストキッス」は“壁の明かりに透けたカクテル”に相応しいかと思ったのである・・・・・・閑話休題。

「XYZ」を飲み干すと
「じゃ、お勘定ですね」
Mさん、さっさと向こうに去り、伝票を持ってTさんがこちらへと来る。
「えーと、先刻2杯目に飲んだカクテル、何て名前でしたっけね?聞いたんだけど忘れちゃって・・・・・・」
「一寸待ってください。今聞いてきますんで」
Tさん、一旦店の奥へ行き、戻って来て答える。
「名前は無いんですって。どうもMが適当に言ってたみたいですよ」
「ありゃま。そうなんですか」
・・・・・・後で“名前”は思い出したのであるが。実は「ゲンチアナ」は「スーズ」の原料「リンドウ」の外国語読みであるらしいが。

その後、支払いを済ませて店を出る。店の入口で、Tさんと話す。
「昼に『ジャックポット』の前を通ったんですけど、看板は『ジャックポット』になってたけど壁の表示は『カフェ・デ・ハーフェン』のままでしたね」
「そうですね。『ジャックポット』って名前、使わなきゃいけないらしくって」
「そうですか」
「ま、みんな『ハーフェン』って呼んでますけどね」
「それはそうでしょうね」
それでは、と暇乞いをしようかと思ったら、何を思ったかあれだけの客を放り出してMさんがやって来た。何を考えているのか問い質そうかと思ったものの、若しや先の注文で気が気では無かったのかと思い直し、問うのは止めた。
「DSのドラクエ、何処まで進みました?」
「アッテムト。あれ、画面がPS版が基になってるから綺麗ヨ」
などと話をし、『ジャックポット』へ向かって歩き出すと、豈図らんやMさん迄もがそのまま付いて来た。
「・・・・・・一寸、アンタ何処まで来るのヨ」
「『ジャックポット』迄お送りしますよ。VIP待遇です」
「阿呆か」
『ジャックポット』はすぐ其処だろう、と言う前に、Mさんさっさと前を歩く。そして『ジャックポット』のドアを開ける。
店内に入ると、何も言わずドアを閉める。
・・・・・・どうせ3月も(満席で無ければ)行くから。「ラストカクテル」はとうとう飲ませては貰えなんだのであるし。
ならばそのときにはコンナモノを飲ませて欲しいものだな。
確か、帰国する3月の半ばの週末は丁度「スリーベリーフェア」の時期であっただろうし。

近況など(重い話なのでどうぞご覧にはなられぬよう)
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2008年02月04日

揺れる短夜(其の伍)

Tさんがその場を離れる。
「ホーセズネック」を半分ほど飲んだ頃であっただろうか。Mさんが唐突に口を開く。
「僕、福岡に居たんですよ」
「それは昨日聞いた」
何をトチ狂って前日の“隣人”との話を蒸し返すのであろう・・・・・・?
夜は短いのであるし、殊に此処『グランキャフェ』に居る時間は精々2時間程なのだから、既に聞いた話などせぬでも良かろうに。
それに、先にも書いたが私はバーテンダーの過去になどまるで興味は無い。もしも興味があるのならば、1年半程の付き合いの中でとうに尋ねて聞いていることであろう。
短い答えを発し、話を打ち切る。
あまりにもそっけなさ過ぎたかと思わなくも無かったが。

手を洗いに立ち、席に戻る途中、ピアノの音が聴こえた。
この日は日曜日であるので、恒例のピアノの生演奏が始まったのだ。
落ち着いた雰囲気の許、緩やかに流れる時間の中で穏やかな軽やかな音楽が流れる。うっとりと聞き惚れつつ席に戻る。
席に着くと、音楽が変わった。
ミュージカル「キャッツ」のテーマ曲「Memory」である。これは、私も好きな曲である。
目を閉じ、しばし音の中で心を遊ばせる。脳裏に浮かぶのは、幼い頃の思い出の数々。未だ、幸福の中だけで暮らしていた頃。とうに命を亡くした愛犬も其処に居る。何も知らず、それだけに純粋だったあの日。懐かしいあの日々は、泣きたくなる程に幸福で・・・・・・。
「寝てますか?」
「起きてるよ!」
お前な・・・・・・そこでブチ壊すんじゃ無いむかっ(怒り)
仕方が無いので再度目を閉じ、指でカウンターをトントンと叩きながらピアノを聴く。が、引き戻された現実から終ぞ抜け出すことは出来なかった・・・・・・もうやだ〜(悲しい顔)
尤も、これが「Memory」であったからまだ良かったのやも知れぬ。これが例えば「Close To You」などであったならば歌い出していたかも知れぬ故。

グラスが空いた。
「次は何にしますか?」
「そうね・・・・・・何か軽めのものを」
「何を可憐な少女のようなコトを」
どうもこの日は波長が合わぬ。
それは、まぁ、以前『カフェ・デ・ハーフェン』(現『ジャックポット』)でウイスキーのお代わりを注文された方に
「お強いですねぇ」
と声を掛けたときに
「○○さんも強いじゃないですか」
と間髪入れずツッコミを入れたMさん故に致し方ないとも言えるのであろうが。
そのとき、私は多少なりともムッとした顔をしたのであろう。
首を竦め、何も言わずにお代わりを作る。

「ゲンチアナ」について随分語っていたが・・・・・・「で、これは何?」
「「ゲンチアナ」です」
「何だって?」
最近、どうもコイツの声は聞き取り難い。思わずカウンターに身を乗り出す。
「「ゲンチアナ」です」
今度は何とか聞こえた。
「ふーん。で、中は何が入ってるの?」
「ま、「スーズスプモーニ」にアンゴスチュラビターズを2ダッシュ位入れただけなんですけどね」
「うん」
「「スーズ」っていうのはピカソが愛飲したお酒で・・・・・・」
Mさん、延々とリキュール「スーズ」について語り始める。酔っ払いの身故に全てを覚えている訳では無いが、こういう話は興味が尽きぬし、何せ初めて聞く話であるのでうんうんと頷きながら聞き入る。
こういうとき、矢張り奴もプロなのだと感じ入るものである。私とて食に関して素人ではないが、分野が違うと知らぬ話もまた多い。こういう話ならば幾らでも聞いて飽きぬが、酒を飲んでいる席で堅苦しい話ばかりなのもまた疲れるもので・・・・・・。

ふと気が付くと、客が随分立て込んできた。
Mさんも、次々と入る注文を受けにカウンターの向こう端に行った。
グラスを傾けつつ、思いを巡らす。
実を申せば、今も病を抱えている。
しかし、そのときは未だその病を知らずにいた。その為、自分が自分で無くなるかの如くの恐れを抱いていた。
その所為か、いつの頃からかずっと自問自答を続けていた。
このまま、此処に居ると何時かこの場所を、空間を、雰囲気を私自身が壊すのではなかろうか?と。
それだけは、何としても避けたい。
ならば如何にすれば良かろうか、と。
既に心に秘めていた思いがあった。
それを今、現実にするときなのだろうか、と、そう思った。
目の前では、見知らぬスタッフが洗い物をしている。
思いを胸に秘め、彼のスタッフを呼び止めた。
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2008年02月03日

揺れる短夜(其の肆)

翌日、『ジャックポット』のTさんに
「○○さん、別にMに義理立てしなくても良いんですよ」
と言われつつ、『グランキャフェ』へと向かった。途中、賑やかに歌声や笑い声が響いてきた『パロット』の前は素通りして。
「いらっしゃいませ」
と、迎えてくれるのは今宵も『グランキャフェ』のTさんである。

この日は少々時間も早いこともあり、客はそれ程立て込んでは居なかった。こういうとき、私の話し相手は必然的にTさんMさんのふたりになる。
が、先ずはこの日の『ジャックポット』の話から。
「昨日さぁ、I君がカクテルにデコレーション付けてくれたのヨ」
「ほう」
「それでさ、Tさんに「そう言やTさんにはデコレーション付けたカクテル作って貰ったこと無い」ってポロッと言っちゃったらね、今日のカクテルはデコレーション三昧でね・・・・・・」
「ま、あのヒト負けず嫌いですからね」
「そうだね」
「負ける負けず嫌いですけどね」
・・・・・・また肯定も否定もし難い話を。
ふと、Mさんの顎に目が留まる。
此処に来る前に、S君と“Mバーテンダーの不精ヒゲ”についての話をしていた。
「食いモン商売にあるまじきキタナさでさ・・・・・・」
「M、ヒゲ濃いですからね」
「それはそうなんだけどね」
「あのヒト、1時間おきにヒゲ剃らないとならないみたいですよ。だから、お客さん帰ったらその度にヒゲ剃りに飛び込むみたいですし」
このときは何とか不精ヒゲは無い様である。
それはそうとして。
「それじゃさ、『ジャックポット』で飲めなかったからここで頼もうかな。「ホーセズネック」ね」
「「ホーセズネック」すか・・・・・・」
何とも嫌〜な顔をしてMさん、長いカウンターの向こう端の方へと向かう。と、材料を確認するとパッと雰囲気が明るくなり
「○○さんの為に用意してましたよ、「ホーセズネック」」
・・・・・・一体誰が用意しておいたものであろう・・・・・・

「ホーセズネック」のこのレモン、一体誰が剥いたのやら「ホーセズネック」というカクテルは、この剥いたレモンの皮を馬の首に見立てたことから付いた名であるそうな。前日に◆◆さんと『ジャックポット』で競馬の話をしていたので、余計に頭にあったのやも知れぬ。
ちなみに、レシピは「ブランデー+ジンジャーエール」が一般的であるが、実際は結構様々な酒が使われるのだそうな。実は「ホーセズネック」というのは「フィズ」や「サワー」などと同様、固有名詞では無く一般的な名詞であるようであるし。

「Tさんとはさ、ホテルの部屋に置いてある「STAY BOOK」の話もしてたのよ。ほれ、あれに写真が載ってるじゃん」
「はい」
「・・・・・・そう言やアンタも写ってたっけね」
「あのとき、僕、Naさんから「M、ちゃんと写ろうよ」って散々言われたんですよね」
「何やったのヨ?アンタ」
「Tさんの後ろで“ゲッツ”とかしてたんですよ」
それでは“ちゃんと写ろう”とは言われるであろうなたらーっ(汗)
客の目に触れる写真でそんな阿呆なコトをしてどうするのだ。
・・・・・・確かに“お笑い系”としては面目躍如と言ったところであろうが。

「昨日は此処に来る前に『パロット』に寄ったんですよ」
「『パロット』ですか。誰が居ました?」と、Tさん。
「Aさん(『パロット』のTさん)とYさんですね」
「あ、Yさん居ました?あの人と私、一緒に働いてたことあるんですよ」
「そうなんですか」
そう言えば、元々ハウステンボスのスタッフであると聞いたような気もする。
「それでね、昨日はお客さん居なくてですね、3人ですっかり話し込んじゃったんですよ。Aさん隣に座ってましたけど」
「あのヒトいつもそうですけどね」
「あ、そうなんですか」
「そうみたいですよ」
「それでね、昔のお笑いの話をしてたんですけど、何だかそこでMさんの話になっちゃいましてね」
「はいはい」
「私とYさんは“お笑い系のMさん”ですっかり盛り上がってたんですけど、隣りのAさんの目がキラキラ輝いてたんですワ。あの反応は一寸新鮮でね・・・・・・」
「あ、もしかして、それ・・・・・・」
「何かあったんですか?」
「ええ、Aさんが此処で働くって話も全然無い頃のことなんですけど」
「はい」
「随分酔って色々愚痴っぽく話をしてたことがあったんですよ。そのときにこのMが何も口を挟まないでずーっと話を聞いてたんですよね」
「あ、ひょっとして、それで・・・・・・」
「ええ、多分」
「成る程ね。確かにツクリは悪くないし、茶々入れなきゃダマされる方も居るでしょうしね」
「そうですか?」
「人によってはそうなんじゃないですか?私らは知ってますから今更ですけど」
Mさん、憮然とした表情で黙ったまま。
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揺れる短夜(其の参)

今日、雪が降った。
チューリップは無くとも矢張り昨日『HUIS TEN BOSCH CAFE』に行っておいて良かったと思いつつ・・・・・・閑話休題。

声の主は、カウンターの向こうで洗い物をしていた。
「それはそうでしょうけどね」
と、先の「色々なところが・・・・・・」の言葉に声を返す。
「えーと、ひょっとしてNさんですか?」
「はい、そうです」
「あ、それはどうも。Maさんよりお話は伺ってます」
「それはそれは・・・・・・」
実は、ハウステンボスの地元常連であるMaさんに伺った話であるが、こちらは私のことを認識していたのだそうな。それはそうかも知れぬ。何せMさんをからかう為に初めてカウンターに座ったとき、私はかなり目立つ状態・・・・・・副木で右手を固定した状態・・・・・・であったのだから。故に、T御姉様も翌月(2度目)に会ったときに
「あら、手、取れたんですか?」
との問いを発していたのであるし。
それはともかく。
「そう言えば、あまりこちらでお見かけしませんよね」
「ええ、こちらは若い人に任せようかと思っていまして」
それ程の年齢には見えんが。後日(翌日)、T姐さんと話をしていて判明した年齢は(T姐さん曰く)“ハ○のM”と2歳しか違わんので、私よりも随分年下であろうに。

『グランキャフェ』と言えば、映画「精霊流し」の封切間際に然るキャンペーンが行われた場所である。無論平日のこと故に私自身訪れることは叶わなかったのであるが、ひょっとしたら何か知っているやも知れぬと思い、話題にしてみた。
「そう言えば、こちらで松坂慶子さんがカウンターに立たれたことがありましたよね」
「そうなんですか?」と、隣の方が驚く。
「そうなんです。「精霊流し」ってさだまさしさんの小説が映画化されたことがありましてね。そのときのキャンペーンだったと伺ってますけど」
「ええ、いらっしゃいましたね」と、Nさんが受ける。
これは、松坂慶子さんが“さだまさし氏の伯母さん”がモデルになったジャズバーのママさん役を演じていたことによる。『椎の実』という名のジャズバーという場面を、ここ『グランキャフェ』に持って来たというシチュエーションでのキャンペーンであったそうな。
「あ、いらしたんですか?そのとき」
「ええ。良い匂いがしました」
一寸待て。
こういう場合
「綺麗な方でした」
とか
「存在感がありました」
などというのがフツーではないのか?よりによって
「良い匂いがしました」
と言うなどと・・・・・・あせあせ(飛び散る汗)

Nさんがその場を離れ、Mさんが戻って来る。
「次、何にしましょう?」
「そうだね・・・・・・一寸前にバーボン試してイケたからさ、ここでも試してみようか。「ハイボール」で」
「大丈夫なんですか?」
不安げな顔つきでMさんが問う。
「ま、そんときは大丈夫だったしね。多分、何とかなるでしょ」
「そのときは何を飲んだんですか?」
「飲んだのは「アーリータイムス」だけど」
ずらりと並んだボトルの中から、Mさんが選んだのは「ジムビーム」であった。ソーダで割り、出す。
グラスを口に運ぶ。
ほんのりとした甘みが舌を撫で、バーボンの香りが鼻腔をくすぐる。あまり量は入れなかったのであろう。胃に落ちる感覚も優しい。
「大丈夫大丈夫。イケるワ」
Mさん、ほっとした表情を浮かべる。
こちらもほっとしたものである。これならば、次(があれば)、またずらりと並んだボトルの中からバーボン限定で何某かを試すことが出来るであろう。『ジャックポット』で飲み過ぎていなければ、との但し書き付きであるが。

ほぼ10年振りに口にしたバーボンを飲み終わる。
「じゃ、次は「XYZ」。んでラストね」
「通ですねぇ」と隣りから声が掛かるが、そのような積りは更々無い。たまたま語感に引かれて頼んだこれが、好みに合ったのでいつしか何処でも・・・・・・と言っても「次」を考えている場所に限られるが・・・・・・最後に頼むようになったものである。
向こう端でシェイカーに材料を入れ、またも振りながら歩いて来て「XYZ」をグラスに注ぐ。
さて、とグラスを手に取ろうとすると
「こんばんは」
と、後ろから声が掛かった。
誰かと思って振り向くと、※※さんと☆☆さんである。
「あ、こんばんは」
「こちらにいらっしゃると言うことだったんで、一寸ご挨拶に」
「そうですか。それはどうもありがとうございます」
と言いながらグラスをこちらに引き寄せるが、いつもと違うコースターであったので滑りが悪い。一寸中の「XYZ」を溢してしまった。
「あ、大丈夫ですか?」
「ええ、まあ。一寸こちらも酔っ払いましたかね」
おしぼりでカウンターを拭いながら返事をする。
「私達、これから『シェヘラ』に行くんですよ。で、もしその後余裕があれば『ジャックポット』にお邪魔しますんで」
「そうですか。じゃ、向こうでお待ちしてますね」
グラスを押しやると、また、中身が零れた。

お2人が出た後、飲みもせぬのに中身が半分程になったグラスを恨めしく見遣りながら口に運び、グラスを空にする。
「じゃ、ご馳走さん」
「ありがとうございました」
と、Mさんが伝票をTさんに手渡す。
「今日はどうもありがとうございました」
と、隣の方に名刺をお渡しする。
「こちらこそ」
と、隣りからも名刺を頂く。次にお会いすることがあるかどうかまでは定かでは無いが、これもまた“縁”であろう。
支払いをして、『ジャックポット』に戻る。
そこで閉店後に飲んでいる折にMさんとまた顔を合わせたのは「負けじ魂」の中で記載をした通り。
「何で居るんですかexclamation&question
と驚かれたが、こちらも
「何でアンタが此処に来るんだexclamation&question
と驚いたのはご想像に難くなかろう。
posted by daydreamer at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | Grand Cafe Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

揺れる短夜(其の弐)

「僕、パソコン買ったんですよ」
Mさんがいきなり言う。
「それで、ブログ読んだんですけどあれは一寸・・・・・・」
「諦めて頂戴」
アンタはそーゆーキャラだ。
・・・・・・と言うよりも、ワタシが“お笑い系”を軸に据えた方が書き易い、という面もあるのである。故に『ジャックポット』の場合T姐さんを軸に据えて居るのであるし、此処『グランキャフェ』ではMさんが軸になっているのであるし・・・・・・閑話休題。
「ところでさ、アタシの『徒然』はlivedoorとSeesaaで書いてるけど、アンタどっち読んでんの?・・・・・・まぁ、検索に引っ掛かり易いのはlivedoorの方だろうけどさ」
「はい」
「Seesaaの方は『パレス』の庭を背景にしてるじゃない」
「そうですね」
「そうですね・・・・・・って、Seesaaの方読んでるの?」
「“ハウステンボス”で検索して引っ掛かったのは全部読んでます」
ご苦労サンなコトである。

「こちらのお客さんも東京から見えてるんですよ」
と、Mさんが隣りに席を占めておられるお客さんを見遣る。
「そうですか。それはそれは・・・・・・」
「どうも」
「私は■■からですけど、失礼ですが東京のどちらですか?」
「〓〓区です」
「あ、そうですか」
「〓〓区って何処にあるんですか」
と、これはMさん。
「○○があるところですよ」
と、隣の方が答える。私の場合貝塚や映画がふと頭に浮かぶのであるが、矢張り関東以外の方々にはそちらの方がピンと来るのであろう。
「あ、そうなんですか」
と、解った様な解らぬ様な顔をしてMさんが頷く。
「僕もハウステンボスが好きで、年に何回か来るんですよ」
「そうなんですか」
「そうです。今回は明日の朝の飛行機で飛びますけど、次はチューリップの最初の頃にまた来ることになってましてね」
「そうですか。私は次はビネンがリニューアルする頃ですから、何とかチューリップといえばチューリップの頃でしょうけど、次回はどうやらすれ違いになりそうですね」

話を始めたところでMさんがフッとカウンターの向こうの方に行く。と、隣の方が
「あのヒト、前此処に居てから福岡のホテルに行って、また戻って来たそうですね」
「へえ、そうなんですか」
これは初耳であった。
尤も、それはその筈である。私は、従業員の過去になど興味は無いので聞いたことも無いのだから。
大体、自分のオトコならば隠し事があれば腹も立つが、バーのバーテンダー位ならば知らぬことがあったとしても当然の話であろう。先方とて私の過去を全て知っている訳では無いのであるし。と、阿呆な話はさておいて。
しかしMさんがホテル勤めを辞めてまた出戻って来たのは如何なる訳があったのであろう?もしや、お笑いのキャラがホテルに合わぬとクビになったのではあるまいな??(失礼は重々お許しの程を)
それよりも、以前見せた『るるぶ』でここ『グランキャフェ』の壮年のバーテンダーYさん(現在『シェヘラザード』に居るYさんに非ず)をT姐さんと見て懐かしそうな表情を浮かべていたのはその所為であったのか、と納得したものであった。

その後も、場内のバーのあれこれや今迄訪れた各地のバーの話などをする。私も、拙い経験ながら六本木の『SUNBUCA』や『もぐらのサルーテ』の話をした。また、同じ六本木で唯一度行って懲りた『C』の話をしたとき、
「まぁ、色々なところがありますからね」
と、ふと、カウンターから声がした。
posted by daydreamer at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | Grand Cafe Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月29日

揺れる短夜(其の壱)

私が、この店に来るのは偏に静かに流れる時間を楽しみに、である。
決してここではしゃぐことは無い・・・・・・と思う。
始めは、然るスタッフをからかいに来るだけであった。が、幾度か足を運ぶうちに馴染みのスタッフも徐々に増え、楽しみが更に増えるようになった気がする。

その日、その店を訪れたのは、『ジャックポット』のT姐さんにも差し上げたT○S土産を渡す為であった。渡す対象は、以前より馴染みの“然るスタッフ”ことMさんでは無く女性スタッフのT御姉様である。
何せ渡そうとしているのは菓子(クッキー)である。モノがモノだけに、女性の方が洒落で済むであろうと考えたのだ。

「いらっしゃいませ」
落ち着いた声音で迎えてくれるのは、いつもの例とてTさんである。
「こんばんは。こんなの、召し上がりますか?」
「あら、ありがとうございます」
ここでT御姉様にお渡ししたのは、T姐さんがふたつ並べて頭を悩ませた片割れである。T姐さんは結局ア○○ルの柄で○リエ○のチャームが付いたストロベリー風味のクッキーを選んだので、T御姉様にはミ○○ーの柄で○ッキ○のチャームが付いたプレーンのクッキーをお渡ししたものであった。
で、クッキーを見て、Tさん、チャームに目を付けたようである。
「これは(とチャームを手に取る)私が頂いて良いんですよね」
「勿論ですよ。どうぞどうぞ」
「ありがとうございます」
笑みを絶やさぬこの方であるが、いつにも増してニコニコ顔である。
このような顔を見ていて思うことがある。
ハウステンボスも、折角テディベアやちゅーりーのようなキャラクターを使えるのであるから、どうせなら見た目も可愛く大げさな箱入りではない菓子をもっと作れば良いのに、と思う。例えば、『ちゅーりーちゅーりー』で販売しているペロペロキャンディーなど、ちゅーりーの包み紙に包まってはいるが中身は唯の渦巻きなのである。これを、金太郎飴の要領でちゅーりーの顔を作り、包み紙(セロファン)自体は透明にしてその顔が見えるようにすればもっと人目を引いて手に取られるのではなかろうか、と。・・・・・・そのような話はさておき。

「M、髪伸びたんですよ」
「ほお」
「ですけど、あのコくせっ毛ですから、前髪なんか訝しな感じにカールしちゃってたりするんですよね。だから髪切りに行けって言うんですけど」
「どんなモンでしょうね。見てないから一寸判りませんけど」
などと話をしながら、もうすっかりお気に入りとなったカウンターの端の席に腰掛ける。
「いらっしゃいませ」
と、当のMさんがカウンター越しに迎えてくれた。・・・・・・のは良いのであるが、成る程、似合わぬ髪である。前月の如く極く短く切った前髪を垂らす程度ならばともかく、押さえつけた前髪はくるっと巻き毛になってしまっている。小さく可愛い少年ならば兎も角、イイトシをした男性には到底似合わぬ。
「アンタねぇ・・・・・・散髪に行け!」
と、呆れて思わず言う。すると、傍らのTさんが笑い出した。
「それ、○○さんで3人目ですよ。私と、バイトで結構ずけずけモノを言うコと・・・・・・」
「あらら、そうなんですか」
ここでTさん、先のクッキーの袋を持ち上げて言う。
「これ、さっき頂いたのよ」
私はTさんの手元にあるクッキーを見ていた。故に、Mさんがどのような表情をしていたのかなどは知らぬ。が、恐らく
「俺のは?」
とでも問いたげな表情になって居たのであろう。呆れ顔をしたTさん、呆れたような声音で
「後で少し分けてやるけん」

「ところで、何にしましょう」
「あのさ、この間は飲まなかったけど、季節のカクテル貰えるかな?」
「甘いですよ」
「やかまし。ネタだ、ネタ」
無論のことこの“ネタ”は“ブログネタ”のことである。
「大体さ、こっち(と「フラゴーラ」のメニューを指差す)よりマシでしょ?こっち(と「ストロベリーニ」のメニューを手に取る)の方が」
「そうですね、こっちなら幾らかサッパリしてるかもしれませんね」
と、傍らでTさんも口を添える。
「そうですか。じゃあ・・・・・・」

前月より出すのを渋っていた「ストロベリーニ」、美味かったよ2月越しでようやく出て来た「ストロベリーニ」である。矢張り、何のかのと言ってもこちらではこの「季節のカクテル」を飲まねば落ち着かぬ。
先ずは、と口に含んでみた。
確かに甘い。最近のイチゴは酸味があまりなく、甘みが強いものが多い所為か甘みは立つ。が、これでもかとばかりにイチゴを入れてあるのであるが、厭味な甘さでは無い。甘いイチゴにスパークリングワインの風味をつけて口の中に流し込むかの如くの心地がする。
そう言えば、食前酒でよく飲まれる酒に、フレッシュのフランボワーズ(キイチゴ)を潰してシャンパンで割って飲む、というものがあるのだそうな。この「ストロベリーニ」はそれをイメージして作ったレシピなのであろうか?
「いやはや、美味しかったけど、随分イチゴが入ってましたね」
「そうでしょ?お客様の為に、Mが一生懸命イチゴを潰してましたから」
・・・・・・成る程。
posted by daydreamer at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | Grand Cafe Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月29日

丁々発止!

・・・・・・とうとう作成してしまったカテゴリ「Grand Cafe Story」である。とは言うものの、私の頭の中では今ひとつナイトスポットとしての印象は薄いのであるが。
実を申せば、『Grand Cafe』は、以前行っていた昼間のカフェとしての営業中に利用していた折の感覚が未だに抜けず、その為、現在の如くカウンターでカクテルのグラスを傾けていても少々場違いなような気がして・・・・・・と言いつつ、このカウンターも既に3度程利用しているのである。

ここ『Grand Cafe』での楽しみは、季節毎に出されるオリジナルカクテルである。以前にはTさん(『ジャックポット』(旧『カフェ・デ・ハーフェン』)の姐さん)に「Gracy」を貰い、6月には異動したバーテンダーMさんに「M・C・ローズ」を貰った。
そして、今回はダリアカクテル「スターズレディー」を貰いに来たものであった。

さて、『ハーフェン』を出て店内に入ると、そこには思いも寄らずバイトのMちゃんが居た。
「あ、○○さん。いらっしゃいませ」
「あれ?アンタこっちに居たの?」
「はい」
このときには既にかなりの酒が入っていた私である。訝しくは思ったものの、それを尋ねる気力も無いままにカウンターへ案内して貰う。
カウンターは、奥の方に客やスタッフ達が固まって居た。が、目の前に椅子がある。もう、少しばかりの距離ですら歩きたく無い。
そこで、奥に向かうMちゃんをよそ目に、カウンターの端に腰を下ろした。
「え?そこで良いんですか?」
「うん。どうせすぐ『ハーフェン』に戻んなきゃなんないし」
そのまま頬杖をつき、座って休むこと2〜3分程であっただろうか?

「見たことあるお客さんだなぁ、って思ったら・・・・・・」
この声で起きたと言うことは、私は転寝をしていたのであろう。
振り向くと、目の前にはいつものMさんが居た。
「ああ、お久し振り」
「どうも」
「昨日はこちらに来る余裕も無くってね」
「昨日は無理ですよ。貸切でしたから」
「そうだったね」(と言いつつそれをすっかり忘れていた私である)
「で、今日は何にします?」
「(メニューにざっと目を通してから)んじゃ、ダリアのカクテルね」
「畏まりました」

Mさん、カウンターの向こうに材料を取りにいきながら話しかける。
「ところで、「サンヴァンサン」行かれたんですか?」
「行ってきたよ。“ゴールド”買って」
「で、どうでした?」
「うん・・・・・・やっぱり赤ワイン多くて飲むもの少なかったねぇ。アタシ、赤ワイン飲めないから」
「じゃ、何で「サンヴァンサン」の時期に来たんですか?!」
「しょーがないじゃん。お休み取れなかったんだから」
最後はカウンターの端と端での会話である。双方かなりの大声になっていたものだ。

スターズレディー程無くして、出てきたのがこの「スターズレディー」である。
これを出すときに、ご覧の通り通常のハウステンボスのコースターでは無く、昨年来場者に配布したダリアのコースターを使っていた。ダリアのカクテルにダリアのコースターとは、また気の利いたことをするものよと思って口に運んだ。
・・・・・・甘い。
ぶどうジュースを口にしているかの如くの味がする。恐らく、アルコール自体もそれ程高くはあるまい。
飲み易いのは無論のことであろうが、私には少々甘みが強すぎたようである。・・・・・・尤も、これは『ヴィノテーク』のダリアカクテル「ウォーターリリー」にも言えることではあるのだが。

「それにしてもここ、メニューの数が多いねぇ」
「そうでしょ?」
「ウイスキーなんかも色々揃ってるよね。飲めればもっと楽しいんだろうけどね・・・・・・」
その頃は、未だフラッシュバックに悩まされていたのである。が、先日試しにウイスキーを口にして見たところ、フラッシュバックの如き状態が無くなっていた・・・・・・ように思う。これならば少量であれば試すことも可能であろう故、次回は少々のウイスキーを試してみたいと思ったものである。
(赤ワインは、未だ、一寸・・・・・・先延ばしすることに致そう)

・・・・・・などと言っているうちに、グラスは空になった。

「お代わり、どうします?」
「うん、じゃ、適当にお願い」
「ウイスキーベースで」
ここで、考え込んでしまった。
以前に比べてフラッシュバックは弱くなっているのだから、少量ならば大丈夫であろうか?いやいや、このオトコのことだから冗談で言っているのやも知れぬ。そうなると何か面白い返事など返さねばならぬであろうか・・・・・・。
酔っ払いというのは、つくづく余計なことを考えるものだと、今になって思う。別に、このときの返事は
「飲めねーよ!」
というフツーのモノでも良かろうに。
酔っ払いが要らぬコトを考えているのは、Mさんも流石に判ったようである。
「そんなに悩まなくてもいいですよ。冗談ですから」
「あ、そう・・・・・・」

カルヴァドスのオリジナル「これは、何?」
「カルヴァドスを使ったカクテルです」
カルヴァドスを使ったカクテルと言うと「ポム・ローズ」というものがあるのだが・・・・・・。フルーティーな中にしっかりとアルコールが味わえるなかなか美味なカクテルであった。
が・・・・・・
「アンタねぇ、お迎えに行かなきゃならない程注ぎなさんなよ」
いつもの悪戯っぽい笑顔を見せるMさん。グラスも、他のものならば手元まで押し出して差し出すが、これはカウンターの半分も進めぬ。
仕方が無いので体を乗り出し、カクテルを“お迎え”に行ったものである。スッと啜り、グラスの縁が見えたところで手元に引き寄せる。

飲みながら、ふとカウンターの中のMさんを見た。
かがんで作業をしているので、どうしても頭頂を私に向ける恰好になる。
Mさんについては、前の7月の帰国からどうしても気になっていたことがあった。既に酔っ払いだし(だから“酒の上での軽口”で済ますことも出来ようし)、この際、聞いてしまおうか?
「アンタさぁ・・・・・・」
「はい?」
「生え際後退した?」
「失礼ですね、○○さんむかっ(怒り)
今度はこちらがニヤリと笑う。
何せMさん、こちらに来てから然程似合わぬ(失礼!)オールバックにしているので、どうしても額が目立つのだ。

グラスのカクテルを干すと、
「じゃ、そろそろ行くワ。『ハーフェン』の支払いもしなきゃなんないし」
「あ、そうですか。ありがとうございます」
別の男性スタッフが伝票を受け取り、レジへと向かう。その背中に向かってMさん、
「おい、○○さんのお勘定、10倍頂いて良いぞ!」
「あ、んじゃ、その分はMさんのオゴリね」
レジで、この方、おろおろしている。我々の冗談口に慣れていれば戸惑うこともあるまいが、ここ『グラン・キャフェ』でそれを望むのは(真面目一方のスタッフが多そうな雰囲気故に)酷であろう。
「えーと、どうしましょうか?」
真顔で聞かれては吹きだす訳にもいかず
「あ、普通でお願いします」
腹の中で、必死の思いで笑いを堪える。金額は〆て¥2,200であったので10倍といっても払えぬ程では無かったが・・・・・・そこまで悪ふざけに付き合せては気の毒であろう。
(こっちも少し加減するから、アンタも加減しなさいね、Mさん)
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2007年07月31日

“客”との触れ合い(其の弐)

カウンターを間に挟み、4人(・・・・・・と言ってもお隣の奥様はポツポツ話に加わる程度であったのだが・・・・・・)の話は尚も続く。
「ちょっと前に此処じゃないところで“シェイカー勢い余って目にぶつけたバーテンダーさん”が居たんだけどね」
「ほう」
「何だかアンタも眼帯してたことがあったんだって?」
「あー、してたしてた。ものもらいだったっけ?」
「いや、聞いた話だと、あれ、マリーナでバーベキューやってて・・・・・・(と、『ハーフェン』のTさんに聞いた話をする)」
「いや、それ、違いますよ」
「あれ?違うの??Tさんに聞いた話なんだけど」
「時期的には丁度被ってますけどね。別件です」
「あ、そ」
「そうです」
「それにしてもさぁ、あのとき眼鏡の話聞いて、アタシ、思わず笑ったっけなぁ」
「○○さんも沈めてみたらどうですか?」
「やだよ、2度と浮かんでこないもん」
「そう言えばウチの母親も眼鏡かけてるんですけどね、結構重いんですよね」
「そうなんですよねぇ」
「だから、沈めてみれば、って」
「やだってば。コレ、高いんだから」

「そう言えばさ、アンタが『ハーフェン』に置いてきた“シャアザク”ね」
「何ですか?」
「あれ?“シャアザク”じゃ無かったっけ?」
「いや、そうですけど」
「あれね、今、後ろの棚に座らしてあったよ」
「え?そうなんですか??んじゃ、今度見にいこ」
この辺りで、カウンターの向こうの客の注文を捌くべく、移動するMさん。その場をMさんが離れると
「あのヒト、ガンダムの話になると止まらなくなりますよね」
と、ご主人がポツリ。
「ん?そうなんですか」
「そうです。お酒とチーズとガンダムと・・・・・・」
「そう言えばこの間ドラクエ(ドラゴンクエスト:今やRPGゲームの代表格ともなった人気のゲームである)の話でもちょっと止まんなかったですよ」
「へぇ!そうですか」
・・・・・・と、何故か妙なところで盛り上がる話。“酒”や“チーズ”は職業柄当然(と言うよりも熱心さの表れとも言えよう)としても、“ガンダム”と“ドラクエ”の話は(半分は私が振った話であるのだが)こういった場での話題としては如何なものか、と・・・・・・。
そこへ、帰ってきたMさん。
「○○さん、FF(ファイナルファンタジー:ドラゴンクエストと人気を2分するRPGゲームの双璧である)はやらないんですか?」
「アタシはドラクエオンリーだっつの」
これ以上プレイするゲームを増やした暁には、ブログの更新が滞るのが目に見えているので、何時ぞやの如くあちこちからブーイングのメールが送られてくることは必定であろう。

楽しい話の間に、何時の間にか目の前のグラスが空いていた。
「お代わりに何か、如何ですか?」
「んじゃ、任せる」
「はい、じゃ、ウイスキーベースで」
「あのな・・・・・・飲めねーっつってんだろーが」
ニヤニヤ笑いながらその場を立ち去るMさん。
「あのオトコも大概性格悪いんですよねぇ・・・・・・私も性格悪いんで人のことは言えませんけど」
「(吹き出して)自分で“性格悪い”って言うのも珍しいですねぇ!」
「・・・・・・ま、それは自覚してますから」
これは、もう、事実であるから致し方あるまい。また、これについてはこちらの文章をきっちり読んでいる筈のMさんより異議が出ないことから、このオトコもこのことについては自覚をしているのではないかと思われる。
・・・・・・というよりも、これは私限定の対応やも知れぬ。
「今更何を」
とMさんに言われそうな気もしなくも無いが。

時間はあっという間に過ぎ、どうやら花火の時刻になった様子。
「そろそろ花火が始まりますよ」
「あ、じゃ、そろそろ行かなきゃ。じゃ、どうも」
「こちらこそ、楽しかったです」
「じゃ、また」
と、席を離れるお2人。カウンターの客も一様に席を立ち、残っているのは私ひとり。
「あ、やっぱりみなさん花火は見に行くんだねぇ」
「・・・・・・行かないの○○さんくらいですよ」
ここで、試みに携帯で拙ブログを呼び出し、Mさんに読ませてみる。ザッとスクロールしてすぐに返したところを見ると、先日の
「俺は、ブログで見ました」
という言葉は事実であったようである。
(同様にブログを呼び出してTさんに見せたときとはあまりにもスクロールのスピードが違いすぎる)
「・・・・・・で、花火に人が集まってる、ってことはさ、そろそろ向こう(『カフェ・デ・ハーフェン』)も空いたかな?」
「多分」
「じゃ、向こうでまだカネ払ってないし、そろそろ行くワ」
「はい、ありがとうございました」
席を離れ、会計を済ませて『グラン・キャフェ』を出て『カフェ・デ・ハーフェン』に戻る。この間、1時間も経っていたかどうか・・・・・・たらーっ(汗)

それにしても、真逆このオトコと翌日もアンナトコロで会うとは思わなかった。しかも妙な場面迄見られてしまい・・・・・・。
posted by daydreamer at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | Grand Cafe Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月30日

“客”との触れ合い(其の壱)

それでは、今回は先ず『グラン・キャフェ』の話からご覧頂こうかと思う。前回(先月)に引き続いて『グラン・キャフェ』へと足を運んだものであるが、状況によってはカテゴリに「Grand Cafe Story」を追加せねばならぬかと思うと(こうなると必然的に『グラン・キャフェ』へ帰国の度に少なくとも1度は通うことになろう故)、少々気が重いところではあるが。・・・・・・と、閑話休題。

このとき、『グラン・キャフェ』へと向かったのは、それまで居た『カフェ・デ・ハーフェン』の多忙さによるものであった。この店は海沿い側に店を構えている為にテラス席を設けてあったのだが、チャージ料も要らず景色も良くイベントも何とか見える(が、季節柄非常に暑いので私が利用することは恐らく無いであろう・・・・・・)所為か客が殺到し、T姐さんとS君が幾度も往復して酒やつまみを運び、店長Taさんは奥に引っ込んでフードメニューを調えるのに精一杯、肝心の酒は(ややこしいレシピのものが無い所為もあったのであるが)新米のH君が掛かりっきりで作っている状態であったので、店内はガラガラに見えたものの客が非常に多く、私が注文するのも憚られる状態であったのだ。
そこで、
「じゃ、ちょっと隣りのニイチャンをからかってからまた来ますね」
「あ、Mですか?」(これはS君である。物怖じしないS君は、年上のMさんを愛称で呼んでいる)
「そうそう」
・・・・・・と、精算もせずに(これは店長Taさんの計らいである。無論この後ちゃんと『ハーフェン』へと戻ってきたのは言うまでも無いが)『グラン・キャフェ』へと足を運んだのであった。

さて、『グラン・キャフェ』は、イベントの真っ最中ということもあってか満席という程では無かったが、それでもカウンターは結構埋まっていたように思う。が、落ち着いた雰囲気は相も変わらず、バーテンダーのMさんもそれ程忙しそうに駆け回っている訳では無かった。
ひょいと顔を出し、先日の女性スタッフ(私はド近眼の所為かネームプレートを見るのが不得手である。故に幾度も顔を合わせても名前を知らぬ方がハウステンボスにはたくさんいらっしゃるが、ご了承の上ご容赦頂ければ誠に有り難い・・・・・・)がカウンターへと案内をしてくれる。
「あら、手(の副木)、取れたんですか?」
「いえ、暑くて蒸れるんで取ったんですよ」
などと話をしながらカウンターの空席に案内をしてくれたのであるが
「○○さん、こっちに来ませんか?」
と、バーテンダーMさん、奥まった席を指し示す。
「ま、別にどっちでもいいけどさ」
と、素直な私は言われるままに席を移動する。

さて、Mさんに示された席は、若いご夫婦の隣の席であった。
(何でまたこんなスペースも無い処に・・・・・・)
と訝しく思い乍らも席に着くとMさん、隣のお2人に向かって
「○○さんです」
「ちょっと待て。いきなり○○さんです、って言われてもこっちが判らんだろーが」
と、私のほうが目を白黒。すると、ご主人が
「いつもブログを読ませて頂いてます」
「あらま、それはそれは・・・・・・」
「こちらが勝手に読ませて頂いているだけですけどね」
「いえいえ、それはありがとうございます」
・・・・・・成る程。

「何に致しますか?」
「適当に頼むワ」
「じゃ、甘いので」
「飲めねーってーのに」
このオトコとのやり取りもワンパターン化してきている。これはいささかげんなりするところではあるが(幾ら何でももう少しパターンを用意して欲しいものである。それとも、六本木の『サンブーカ』の如く“最初の注文”を決めた方が面倒が無いであろうか?)、このやり取りの後、取り敢えず出て来たのは「ジントニック」であった。

「そう言えば、前に「レインボー」の話を読んだんですけど」
「あ、それは▲▲さんのブログでしょう」
(この“▲▲さん”は、然るところでブログを運営している方である。面識は無いが、先方のブログにはコメントをさせて頂いたこともある)
と、話が始まった。
「ええ、ああいう風にリキュールの層を作るのを“プースカフェ”って言うんですけどね」
「そこに書いてあった話だと、何でもあれ、14色くらい出来るとか」
「まぁ、限界はそのくらいでしょうね」
「ふーん、14(色)もいくんだ」
「ええ、前にお客さん居なくて暇なときに試してみたんですけどね。あれはリキュールの比重で層を作るものですから」
「今、それ注文したら出来ます?」
「いや、やりません。・・・・・・というか出来ません」
それは、まぁ、そうであろうな。
プースカフェスタイルのカクテルは、バーテンダーが余程暇を持て余している位でないと注文は難しかろう。何せあれは(素人ながら私も挑戦してみたことがあるのだが)リキュールの層を作るだけでも相当な集中力を必要とする。また、液面同士が混ざり合わないようにするのは矢張りプロのプロたる技術が必要である。
必要最低限の人数をようやく確保している位のハウステンボスでは、こういったややこしいカクテルは注文をせぬ方が無難である。それでも飲みたいとお思いの向きは、最初に手が空いたら、と注文を入れ、辛抱強くお待ち頂く位のほうが良かろう。
それはさておき。
「でも、飲む方はあまりお勧め出来ないですよ」
「ま、そうだろうね(リキュールの味だから甘いだけだしな・・・・・・)」
「あ、それで全部混ぜちゃって」
「そうです。ですから色は・・・・・・」
尤も、その“リキュールの層”を崩さぬようにストローで慎重に飲むのが“プースカフェスタイル”の本来の飲み方である、と聞いたことがある。が、想像するだに私にはキツイ・・・・・・。
posted by daydreamer at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | Grand Cafe Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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