2008年10月19日

呆然と・・・・・・(其の壱)

さて、今回は気力が続くうちにちょいとこちらをご覧頂くことと致そう。
酔いに紛れて飲んだカクテルなぞすっかり忘れてしまっているのであるが・・・・・・。

それは、久方振りに『ヴィノテーク』に寄ってシャンパンとカクテルを聞こし召し、すっかり上機嫌になった後のこと。
何時もの如く『アムステルフェーン』に歩を進めた。人込みを避けて橋を渡り、『グランキャフェ』の屋台の前を素通りするとテラス席の椅子やテーブルをガタガタと整理しているEちゃんと目が合った。手を振ると、ペコッと会釈をする。

何時もの如く『ジャックポット』の店内へと足を踏み入れた。
思わず、目が点になった。
『ジャックポット』店内2008.10
「店・・・・・・間違えたかな?」
独りごちて店を出ようとすると
「いやいやいや・・・・・・」
と、引き止めるのはT姐さん。
「噂には聞いてたけどさぁ、この風船は何よ」
「良いじゃないですか」
・・・・・・私とて嫌いでは無いが。
「それにしてもね、此処まで見事に“ハイネケン”だとさぁ・・・・・・。元々“ビアバー”なのは知ってるけど、ビール飲まないアタシなんかだと居辛くなりそうだね・・・・・・」
それを聞いたT姐さん、ニッコリと笑って
「そんな訳無いじゃないですか」

「ところで○○さん」
「何でございましょ?」
「私、○○さんに会ったら文句言おうと思ってたんですよね」
「何かあったっけ?」
「インターネットであっちこっち見てたら、○○さん、アタシのコト「殺しても死なない」って書いてたでしょ」
「・・・・・・それは書いた覚えが無いなぁ」
「あれ?「叩いても壊れない」でしたっけ?」
「まぁ、多分、そっちだったと思うけど」
ケータイで検索を掛けてみる。似非ライターの名で書かれた然るブログのコメントは「叩いても壊れないアノねーさん」であった。
少々弁明をさせて頂くと、彼のコメントはこのようにわいわいと話題のひとつとして“当の本人”と話が出来るであろうという心積もりがある故に敢えて取り上げたのである。それに、“当の本人”もこの程度で本当に怒る程度量の小さい人物では無い。故に、私は安心して姐さんの“悪口”を書くことが出来る・・・・・・などと申したらまた文句のひとつも出るのであろうか?

「まあまあ、これでも食べて」
少しは誤魔化すことも出来ようかと箱を取り出す。何時ぞやにも購入した『資生堂パーラー』のチーズケーキである。此度は「季節のチーズケーキ(スイートポテト)」と「期間限定チーズケーキ(いちご)」の2種類を購入して来ていた。
「どっちが良い?」
「えーっと・・・・・・」
流石にTさんも少々迷った様子。
「・・・・・・じゃあ、こっちの「季節限定」を。これならEちゃんも食べられるだろうし」
「ん?Eちゃんには他に買ってあるよ」
奴の場合、オヤツよりもオカズの方を喜ぶのだ。・・・・・・甘いモノ嫌いの勤労青年である故。
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2008年08月27日

甲子園(詳細編)

“昼餐”の記事もあと2つ残っているが、流石に頭を使う記事を書くには少々疲れてしまったので楽に書ける記事をアップすることに致そう。・・・・・・手抜きとは努々仰る勿れ。

さて。

此度の帰国時には、久々にテレビを視聴した。
何を見ていたかと言うと、彼の『グランキャフェ』に迄テレビを(顰蹙を買いつつも)入れて夜毎放映していたオリンピックの中継では無く、甲子園の中継である。
巨人軍の王貞治選手(現福岡ソフトバンクダイエーホークスの王貞治監督)に憧れて自分も野球遊びを始め、とうとうそれが高じてソフトボールを中・高6年間もプレイした私である。当然のこと、甲子園の中継はハウステンボス滞在中も欠かしたことが無い。
(よく「ハウステンボスまで行って何してんの?」と呆れられてはいるのだが・・・・・・)

そして、今年は90回記念大会である。我が県からも、今年は2チームが参加をしている。そのうち1チーム(千葉経済大付属高校)は端から勝ち上がることなど期待をしておらなんだのでどうと言うことも無いが、もう1チーム(木更津総合高校)は県内では“激戦区”とされるブロックを勝ちあがってきたチームであるので、2回戦の相手が強豪の智弁和歌山高校と言えども勢いで勝ちあがるやも知れぬと期待をしていたのである。

・・・・・・が、負けた。
それも5回に集中打を浴び、逆転されて。
それでも、4回迄は確かに勝っていたのだ。
無論のこと、私は中継を試合開始から終了迄見ていた。
試合は、19:00頃までかかった。
『アムステルフェーン』の営業時間は18:00からなのであるが、飲みに行くよりも此度ばかりは甲子園の中継を優先したのである。

九回の攻防が終了した直後、私はテレビのスイッチを切って荷物を抱え『アムステルフェーン』へと向かった。
当然の如くデ・リーフデ号前のステージではイベントの真っ最中であったのだが、それには全く目もくれずに仏頂面で観客を掻き分けながらデッキを横切り、『ジャックポット』へと入店したのである。観客は迷惑であったであろうが、此度ばかりはそれを気遣う余裕も無かった。

『ジャックポット』では、1ヶ月振りに顔を合わせたTさんが驚いて
「どうしたんですか?」
と、迎えてくれた。余程驚いたのか
「いらっしゃいませ」
の言葉も忘れていた程であった。
「木更津総合が負けた」
「・・・・・・たらーっ(汗)
「四回迄は勝ってたんだぞ。何であそこで三塁打と二塁打を打たれにゃならんのだ!」
差し出されたおしぼりで手を拭き、スッと用意された灰皿を見て煙草に火を付けてから、カウンターをドンと拳で叩く。
・・・・・・ふと見ると、Tさん、洗い物をしながら下を向き、声を殺して爆笑している。
「何が可笑しいんだよ」
「だって○○さん、随分怒ってたから何があったのかと思ったら・・・・・・」
あとは言葉にはならぬ。声のみは必死で殺しつつも爆笑し、取り敢えずとばかりにカクテルを作り、出す。それを飲みながら怒りに任せて語る試合の様子は、EちゃんとHaちゃんがカウンターに戻ってうんうんと聞いてくれた。
(Tさんは流石に普通の女性であるので野球の話には疎い。勝った負けたの話は出来なくも無いが、試合経過を交えながらの話には付いては行けぬ様である)
出された「シーブリーズ」を飲み、漸く気を落ち着けた。その後Haちゃんに「カシス・ソーダ」を作らせた折にTさんと一寸したやり取りがあったのは前に書いた記事の通り。

そして、その日の深夜。
最後のカクテルをもう少しで飲み終わるという頃、『グランキャフェ』に応援に行っていたI君と、何故かT御姉様とMさん迄もがぞろぞろと店内に入って来た。会計は既に済ませてあるので、後は飲み干して店を出るばかりである。
I君とT姐さんは何やら打ち合わせを始めたようである。実はこの日、Eちゃん絡みでちょいと面白い話があるのだが、それはまた後程。
私はグラスを空にし、さて、とばかりに荷物を持って席を立つ。すると、Mさんがスウッと傍に寄って来てニヤニヤと嬉しそうに笑いながら私を見下ろす(・・・・・・と言うのも、私は背が低い為に必然的に双方が立つと大概の方が私を見下ろす恰好になるが故である)。
「何だよ」
「木更津総合、負けましたね」
「途中までは勝ってたんだぞ。ピッチャーも要所をちゃんと締めて、ピンチだって何度も切り抜けて、良い形で点も入ってたんだ!」
「で、何処とやったんでしたっけ?」
「・・・・・・智弁、和歌山」
「順当じゃないですか」
「五回の集中打さえなきゃ勝ってたんだ!何であそこで三塁打と二塁打が出るのサ」
「で、何処とやったんでしたっけ?」
「喧しい!!」
流石に此処まで来ると、エンドレスになりそうな雰囲気が漂う。I君が呆れて
「ありがとうございました!」
これで漸く話が終わり、常宿への帰途へとついた。
以上が「Tさんには笑われ、Mさんには散々イジられた」という顛末である。

尤も、甲子園の話題はこれで終わりでは無い。
翌日、カウンターのEちゃんと盛り上がったのは、その日の第1試合である鹿児島実業高校対宮崎商業の話である。無失策試合で引き締まった好ゲーム、しかもファインプレー続出とあっては話題には事欠かぬ。
「今日はHa先輩(この日は休みであった)、喜んでるでしょうね」
「あ、そっか。鹿児島のコだもんね」
「はい」
すると、またもやMさんが嬉しそうな顔でニヤニヤ笑いを浮かべながら『ジャックポット』に入って来た。
「千葉経済付属、負けてますよ」
「知ってるよ。良いの、あそこには期待してないから。だから昨日は勝って欲しかったのに・・・・・・」
私は、またもや膨れっ面。
満足げに踵を返して戻って行くMさん。
こんなことならMarさん達を連れて行って客を増やすのでは無かったか?・・・・・・しかし、バーテンダーが(幾ら応援が居る開店直後だったとは言え)ふらふらと出歩くなど、『グランキャフェ』は余程暇だったのかしらん?
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2008年08月17日

初めての味は「ジントニック」

さて・・・・・・。
本来「Jackpot Story」は「相身互いの“客”」の続き((其の陸)〜)を書かねばならぬところであるが、この辺りから私の“病状”が徐々に進んできて到底お目に掛けられぬ場面も多く出てくる。その状況を鑑み、以降は「〜〜Story」というカテゴリであっても通しで書くのでは無く、印象深い場面を切り取って書くことに致そうと思うのでご容赦を。

先ずは、8月の帰国時の話からご紹介を致そう。

その前の7月の帰国時、私はそれ迄全くカクテルを作ることが無かったバイト君のHaちゃんに
「次は来月来るから、そのときは何か飲ませなさいヨ」
と言い置いていったものであった。Haちゃんも、不承不承
「はい」
と応えたのが、酔っ払いの身にもはっきりと分かった。さてさて、次回此処に来たときには何を飲ませて貰えるのだろうか、と期待半分、不安半分でドアを出たものである。

そして翌月。

海側の入口から入ると、店内には店長I君とHaちゃんが居た。すっと土産の包みを出すと
「Haちゃん、一寸」
と、手招きをする。
「I君は昨日『グラン』で食べただろうから、I君抜きで分けて良いから」
「俺、食べてないですよ」
「そう?だって昨日『グラン』に居たじゃん」
「○○さんより早く帰ったじゃないですか、俺」
「そうだっけ?」
「そうですよ。○○さん、最後迄居たでしょ?」
「まぁ、ね」
このやり取りの最中、Haちゃんはカウンターの中に移動した。

「さて、Haちゃん」
「はい?」
「何か出来るようになった?」
「はぁ・・・・・・まぁ・・・・・・」
ここでHaちゃんの背後に居たI君が口を挟む。
「大丈夫ですよ。メニューにある奴なら」
「ふーん。じゃ、何頼もうか」
Haちゃん、不安そうな顔をする。
「じゃあ、さ。この中で一番得意なのは、何?」
「得意というか・・・・・・やっぱり「ジントニック」でしょうか?」
「そう。じゃ、それ頂戴」
「畏まりました」
ふと気が付くと、テラス席であれこれと作業をしていたEちゃんが店内に戻って来ており、心配そうな顔でHaちゃんの隣に付く。
「ジン、45(ml)だっけ?」
「そうです。あとはライムと、トニック(ウォーター)と・・・・・・」
確認終了。
Haちゃん、不安そうな顔のまま、メイキングの場所へと向かう。メジャーカップでジンを慎重に測り、トニックウォーターを手が震えんばかりに注ぐ。

Haちゃん作「ジントニック」・・・・・・という訳で、これがHaちゃんが作った「ジントニック」である。
こういうときに作られたカクテルは、それそのものの味よりも遥かに美味さが勝るかの如き思いがする。増して、実際の味がそこそこ美味いものであれば尚更である。
ひと口飲むと
「どうですか?」
と、相も変わらず不安そうな顔つきで聞いてくる。
「うん、美味しいよ」
と応えると、漸く緊張が解けたような笑顔を向ける。
これがまた、良いのだ。

尤も、翌日似た様なシチュエーションでHaちゃんに「カシス・ソーダ」を注文し、前日と同じように美味いと褒めると、すかさずそこに居たTさん(前日は休みであった)が
「でも○○さん、アタシが同じもの作ったら甘いって文句言うでしょ?」
「だよね。自分で注文しといてね」
「そうそう」
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2008年08月05日

相身互いの“客”(其の伍)

入って来たのは、矢張り『ジャックポット』の常連さんと先程「歎異抄」のことで熱弁を振るった御仁であった。
何のかのと『ジャックポット』に入り浸りの私であるから、こちらの常連さんとも何となく顔見知りになっている。互いに挨拶を交わすと、お2人はカウンターに席を占めた。

常連さんは
「いつもので」
と、「レッド・アイ」を注文した。心得顔のI君がパッパと調え、出す。
「彼女はカクテル飲んでるの?」
と、私に話を振る。
「ま、そうですね」
「「レッド・アイ」もカクテルですけどね・・・・・・」
と、話に加わるのはI君。
「じゃ、彼女にも僕から1杯」
と、思いも掛けずオゴって頂いたものである。このカクテルは何であったのだろう・・・・・・?
常連さん、「レッド・アイ」を飲んで景気を付けた後、何時もの如くルーレットへと座を移す。Sa君がディーラーとして付いて行く。

そして、先程の御仁は私とTさんを相手に“マリーナの高速ネット化”について延々と自説を披露していた。
何でも、ハウステンボスの担当の方にも自説をブッていたそうであるが・・・・・・申し訳ないが、この“自説”、私からもTさんからもちと非現実的過ぎるのではないかと思われるもの。担当の方からも
「文書にして持って来てください」
と言われたそうであるが、
「文書に出来る位なら始めから持って行くよ」
と・・・・・・。幾ら何でもこれでは話が進まぬ。しかも、双方(というのは私とこの御仁だけでTさんは当然素面であるが)酔っている所為か、話は同じところを行きつ戻りつ・・・・・・。
そのうち
「そう言えば、待ち合わせをしてたんだっけ」
と“約束”を思い出すが
「いいよ。別に行かなくても」
などと言い出す始末。却ってTさんや私が慌て、
「お約束があるんなら行かなきゃマズいじゃないですか!」
と、2人で交互に言いながら、Tさんなどは半ば背を押すようにして“約束”に向かって頂いたものであった。
同じ頃、ルーレットが一区切り付いた常連さんも勘定を済ませて店外に出て行った。オゴって貰ったカクテルの後でラストオーダーの「XYZ」をのんびりと飲んでいた私1人が店内に残った。

さて、私も彼の如くの“問答”は久方振りのことであった。
「いや・・・・・・疲れたね」
と、思わず独りごちる。するとTさん、
「○○さん、すみません」
「?」
「○○さん、独りだけで飲みたいって訳じゃないけど、自分のペースで飲みたい方でしょ?」
「ま、ね」
「私、○○さんが先に席を立ったらどうしようって思ってたんですよ」
流石に付き合いが長いと良く見ているものである。が、それについては問題は無いであろう。久方振りではあるが、彼の如くの“問答”は決して初めてでは無いのであるから。

飲んでいるうちにSa君が帰り、後片付けを横目で見ながらグラスを呷る。すると
「あ、背後霊が居ますよ」
と、Tさん。何のこっちゃ、と後ろを向くと、屈んで隠れるようにしているのは、お察しの通り『グランキャフェ』のMさんである。
「何やってんの?アンタ」
と呆れて言うと
「Mも『グラン』じゃ阿呆なこと出来ませんからねぇ」
・・・・・・三十路間近のオヤジが何をしているのだか・・・・・・
「今日は何してたんですか?」
「今日?此処で一寸飲んで、『パロット』で「残酷な天使のテーゼ」(所謂アニメソングである)歌って、アンタんトコ行って、又此処戻って来て・・・・・・」
「「残酷な天使のテーゼ」なんか歌っちゃ駄目ですよ・・・・・・」
Mさんは呆れた様に言うが、これは割りとウケが良いので覚えた歌である。時々歌わぬと忘れるので、他に客が居ないとき位はご放念頂きたいものである。
「だけどさ、どうして閉店後に人が集まるんだ?・・・・・・って言っても客は私一人であとは社員さんだけどさぁ・・・・・・」
「じゃ、“社員其の1”は消えます」
と、Mさんが出て行き、私とTさんとI君が残された。漸く飲み干したグラスを押しやり
「じゃ、ご馳走様」
と、席を立つ。

「雨、そんなに降りませんでしたね」
「そうね」
「私、『グラン』迄行きましたけど、自転車移動する必要なかったかもしれませんね」
「ま、良いんじゃない?借り物だしさ」
と、『アムステルフェーン』の入口へ歩き、入ってすぐのところに入れておいた自転車をよっこらしょと下ろす。荷物を前カゴに入れると
「じゃ、又明日ね」
「お休みなさい」
気が付くと、見送りに来てくれていたのはTさんとI君の2人共であった。暇乞いをしてから自転車を押して歩き、ホテルに戻ると、フラフラになりながら着替え、就寝。
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2008年08月03日

相身互いの“客”(其の肆)

『ジャックポット』に戻ると、そこには『パサージュ』内の『K』のお2人が居た。
「こんばんは」
「昼はどうも」
と、互いに挨拶を交わす。

このとき、私は、同じく『パサージュ』内の『U』(経営は『K』)で購入し、この日に『K』でチェーンを換えたばかりのヘマタイトのペンダントをしていた。矢張り自店舗の商品のこととて、2人共すぐに目に付いたようである。
「あ、それして頂いてたんですか?」
「ええ、丁度今日チェーンを換えて頂いたんで、早速」
「着けるときは大丈夫ですか?」
と、心配そうに聞く。どうやらペンダントの金具にチェーンを通す際に少々ペンチを使って曲げたことを気にしているらしい。
「大丈夫ですよ。気にはならないですし」
2人共ホッとしたような表情を見せる。
「そうやってチョコッと着けるのも良いですね」
と、Fさんが言う。すると
「私が最初に「可愛い」って言ったんですよ」
と、T姐さんが割って入る。
確かに(先の記事には書かなんだが)Tさん、小さいものであったにも拘らず目敏くこのペンダントを見つけ、
「あ、それ可愛いですね」
「うん、Fさんトコで買ったのよ。ただ、一寸チェーンが短かったんで今日換えて貰ったんだけどね」
というやり取りもあったのである。・・・・・・が、そもそもコレを見つけて購入したのはワタクシなのであるが・・・・・・。

その後、話は何故か寿司に及んだ。
「此処の『按針』のお寿司も美味しいんですけどね。私には光り物が無いのが物足りないんですよね」
「こっちじゃあんまり食べませんからねぇ」と、これはTさん。
「それはそうかも知れないけど・・・・・・やっぱりお寿司にはコハダがあって欲しいなぁ。それと、今の時期だとシンコね」
「シンコ?」
FさんとTさん、2人揃ってキョトンとした顔をする。
「あのね、コハダの子どもなんですよ。こんなに小ちゃくて可愛くて・・・・・・」
と、シンコの大きさを親指と人差し指を開いて示す。
「それ、美味しいんですか?」
「うーんと、味は淡ぁーいんですよ。だけどね、その淡さが又良いんだなぁ。嗚呼、夏が来たな、って感じで・・・・・・」
FさんとTさんは判ったような判らないような顔をしている。
が、流石に東京出身のAさんはうんうんと頷いて肯定してくれた。
それを見て
「あ、そうか。東京の人だもんね」
と、Fさん。
シンコの美味さばかりは食してみねば判るまい。それと、今の時期であるとハシリのサンマも蕩けるが如くで美味いものである。・・・・・・尤も、これらは光り物を食すことが出来ねば判らぬものであるのだが。
「ところでそれ、1年中食べられるんですか?」
「いえいえ、“スポット限定”って感じで期間は限られてるんですよ。だから余計に貴重品なんですよね」
「そうですか。じゃあ、私は食べられないですね・・・・・・」
それ故に『按針』で江戸前寿司の極みともいえるコハダやシンコが欲しいのだ。聞くところによると、佐賀方面でもコハダの良い漁場があるそうであるし。

一頻り話しに興じた後
「じゃ、明日もあるんでそろそろ・・・・・・」
と、お2人揃って席を立つ。
「それじゃ、又明日」
「僕は来ますけど、こっちは明日は来ないんですよ」
「ん?何処か行くんですか?」
「明日はお休みで、福岡へ平井堅のコンサートへ行くんですよ」
Fさん、嬉しそうに言う。
「へぇ!良いですねぇ。じゃ、明日は楽しんで」
「ええ。目一杯楽しんできます」
「それじゃ、また」
「お休みなさい」
お2人が帰った後、更にカクテルを頼む。
話の余韻を楽しみつつ酒を飲んでいると、又、客が入って来た。
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相身互いの“客”(其の参)

T姐さんによると、相客はどうやらマリーナ関係の方らしい。実際、此処『ジャックポット』にはその気楽さに引かれて場内の関係者が割合によく出入りするようである。・・・・・・無論、我々の如き“純粋なる客”も大勢出入りしていることもまた言うを待たぬが。

それはさておき。

私も相客もまた1人客であった。必然的に、徒然なるままに言葉を交わすことになる。
「どちらからですか?」
「○○からです」
「それは又、遠くから・・・・・・。此処にはよく来るんですか?」
「まぁ、年に何度かは」
「僕も此処にはしょっちゅう来るんですよ。スタッフがみんな気さくでね」
「そうですよね。私もお蔭で居心地が良いんでよくお邪魔してます」
毎度毎度の会話である。度重なってうんざりしていたこともあったが、流石に此処まで続くと慣れたものである。

「僕、ブログで「歎異抄」を関西弁で書いてるんですよ」
「ほぉ!そうですか」
俄に親近感を覚えた。
「歎異抄」は嘗て私も心を惹かれ(このときも又ノイローゼ気味でアル中に近い状態であったのだが・・・・・・)その記憶があってか数年前の京都旅行中に東本願寺・西本願寺の双方で「歎異抄」を再度購入して読んだものである。その折に大体の内容は頭に入っており、殊に有名な第三章「善人なほもって往生をとぐ、いはんや悪人をや。(以下略)」の箇所は真っ先に、そして幾度も繰り返し読み返したものであるのだ。
余談ではあるが、東本願寺の「歎異抄」と西本願寺の「歎異抄」は値段が異なる。私が購入した時点では東本願寺版が¥200・西本願寺版が¥300で西本願寺版の方がやや高いが、東本願寺版が注釈しか付けていないのに比べて西本願寺版は注釈に加えて現代語訳が付いているので読み易い。これを比較するとどちらが高いか安いかなどとは一概には言えぬものである。・・・・・・閑話休題。
身を乗り出した私に先方はややたじろいだ様であった。
「いや、実際は“書こう”としてる段階で・・・・・・」
「それでも立派ですよ」
「まぁ、でも、あの「善人なほもって・・・・・・」のところがいまひとつ理解し切れなくてね。常識とは反対のことを言っているからねぇ」
「あぁ、あの箇所ですね。私も最初は理解し切れなかったんですけど、自分が良いことをしていると信じ切ってる“善人”も本当に良いことばかりしてる訳じゃなくって気付かないうちに悪いこともしてる訳じゃないですか。それよりも自分が救われないって気付いてる“悪人”の方が救われたいって気持ちが強いから、阿弥陀様のことをより信心してるんで、阿弥陀様がたくさんの人を救ってくださる御心に沿うんだよ、って意味ですよね」
この場合の“善人”“悪人”は一般的な意味では無い。“善人”とは“修行や善根を積んで自分が悟りを開いて救われるべく精進している人”、“悪人”とは“修行を積むことも儘ならず迷いの中に居る人”を差す。阿弥陀様は全ての人を迷いの道から救って浄土(悟りの世界)へと導こうとしておられるのだから、独りよがりの“悟り”を開く“善人”は阿弥陀様の御心を信じてただひたすら阿弥陀様を信じる“悪人”よりもなお悪い(始末に負えぬ)というのがその意味するところである。
この時代、上流階級と言われる層は日々の暮らしに追われることが無い故に禅や密教の修業を積むことが出来たが、庶民は日々の暮らしに追われてそのような修行をすることが適わなかった。故に死してなお救われぬと絶望していた庶民層に救いの道を示したのが「浄土宗」であり「浄土真宗」である。この為に「真言宗」や「禅宗」やなどは貴族や武家の宗教と言われ、「浄土宗」や「浄土真宗」は庶民の宗教と言われるのである。・・・・・・ついつい熱が入って拙い知識を披露してしまった。お許しあれ。
ふと気が付くと、カウンターの中のスタッフ達はぽかんとした表情をしている。
相客もまた
「教える積りが教えられるとは思わなかったな・・・・・・」
とぼやいている。
その状況を見て、私は心の中で頭を抱えてしまったものであった。

ふっと、廊下側の入口から『按針』のTaさんが入って来た。カウンターに向かい、レジ近くに居たI君と何やら打ち合わせをしている。
打ち合わせが終わり、私の方にふっと向き直るとにこやかに会釈をした。こちらも会釈を返しがてら、言わぬでも良いことまで口走る。
「どうも。今回は宿泊プランに夕食が付いてたんでついついご無沙汰になってしまいまして・・・・・・。今度は来月来ますんで、そのときはお邪魔したいと思いますが」
「はい、お待ちしております」
・・・・・・よくよく考えればこのパターンで『アムステルフェーン』の各店舗から逃げられなくなったのだな・・・・・・あせあせ(飛び散る汗)
Taさんが出てから、時刻を確認してみた。
「あれ?もう8時(20:00)になるんだ!」
「今日は来るのが遅かったですからねぇ」
「んじゃ、ぼやぼやしてると遅くなるな。一寸挨拶回りに行ってくるワ」
「はい、行ってらっしゃい」
すっかり慣れたものとてT姐さんもI君も平然としている。いつものパターンとは言え、常連でも無い私によくこれだけ便宜を図って貰えるものだ。流石にここまで無条件に信頼して貰うと、この信頼を裏切る訳にはいかぬし裏切る気にもならぬのであるが。

その後、いつもの如く『パロット』へ行って飲みつつ喋りつつ一寸歌いつつという時間を過ごし、『グランキャフェ』ではどちらがからかっているのかからかわれているのか判らぬ如きのやり取りを交わし、ほろ酔い気分になりながら再び『ジャックポット』に戻った。
この間、2時間余り。
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2008年07月28日

相身互いの“客”(其の弐)

「○○さん、今日は遅かったですね。お食事は済まされたんですか?」
「うん。宿泊プランについてたのヨ」
先の記事にも書いたが、この日は「ハウステンボス ファミリエ」のスタート記念宿泊プランである「ファミリエ ホテルデンハーグプラン」にて宿泊した為、メインダイニングの『エクセルシオール』での夕食を済ませてからこちらに来たのである。
「ああ、それ、もの凄くお得なプランでしたってね。前に○○さん、此処でお話されてた女性の方、覚えてます?」
「えーと・・・・・・あ、大阪から来たって方?」
「そうです。その方も一寸前に来られたんですけど、夏に来る予定にしてたのにあんまりお得なプランなんで繰り上げてこの時期に来たって言ってましたよ」
「まあ、そうだろうね」
「それに、○○さんがお食事済まされて来るのって珍しいですよね。いつもだったら此処で飲んで一寸何か摘んで、って程度で終わりじゃないですか」
「そうね。あと、しっかり食べたきゃ『按針』へ行く位でね」
ご多分に漏れず、私も又酒を飲むと食べ物が煩くなるクチなのである。そう言えば、そのような話を以前Tさんとしたような気がする。

「ところで、何にしましょう?」
・・・・・・そうそう、私は酒を飲みに来たのだった。
何時までもグダグダと話をしていても仕方があるまい。
「そう言えばさ、この間、Tさん何か考えてたのがあったって言ってたよね。それ、作ってよ」
「ああ、そういえば言ってましたっけね・・・・・・」
普段は忘れっぽい私であるが、余計なことだけは覚えている。
Tさん、暫し思案の後、カクテルを作って持ってくる。
フラミンゴ・レディ アレンジヴァージョン「はい、どうも。これ、何?」
「これですね、「フラミンゴ」ってカクテルがあるんですけど・・・・・・前にもお作りしましたっけ?」
「そう言えばノンアルコールヴァージョンで作って貰ったっけね」
「そうです。それのアレンジ版ですね。ジンが好きだって聞いてたんで、ベースをジンに変えて」
ああ、だから美味いのか。
余人はいざ知らず、私はジンの独特の香気と味が堪らなく好きなのである。その故か、好物のカクテルはジンベースのものが多い。「シンガポール・スリング」に「ネグローニ」に「ホワイト・レディ」に・・・・・・。
が、実を言うとジンベースの一番好きなカクテルは頼むのを躊躇したままである。と言うのも、一番好きな「ギムレット」は、注文した次の機会より(何がどうと言う訳では無いのだが)その店に足が向かなくなる羽目になり、その後数年間は訪れることが無くなってしまうという妙な“ジンクス”があるのだ。何せ最近ようやく再訪した都内の行き付けのバー『SUNBUCA』にすら4年もの間訪れることが適わなかったし、近くにあった『もぐらのサルーテ』は再訪が適わぬまま閉店してしまったし、ハウステンボスでもあれ程迄に通っていた『ヴィノテーク』で「フレッシュ・ギムレット」をお任せで貰った次の帰国時より、とある引っ掛かり(スタッフには一切関係は無いのであるが)の為に足を向けなくなり、その所為で今では少々敷居が高くなったかの如くの思いの為に『アムステルフェーン』で飲んだくれているのであるから・・・・・・。
(そう言えば最近然る場所で「ギムレット・ハイボール」なるモノが出されたが・・・・・・これは大丈夫であろうか?)

まぁ、繰言はさておいて。

この後でもう1杯カクテルを作って貰い、あーだこーだとTさん相手に四方山話をしていた。
「そう言えばさ、今日は2人だけ?」
「今日は後でSa君が来ます。で、明日はEちゃんとHaちゃんが来ますよ」
「あ、Sa君来るんだ。何だか久し振りだね」
「そうですか?」
「うん、最近見てないもん」
噂をすれば影である。
当のSa君が店内に入って来た。
「あら、久し振り」
「お久し振りッス」
「元気そうね。最近見なかったけど・・・・・・学校忙しかった?」
「いや、そういう訳じゃなくって、来てるのは来てましたよ」
「そう?」
「あ、そうそう、Sa君、週末は部活で忙しくって来なかったんですよ」と、これはTさん。
「部活・・・・・・あぁ、アレ(ヨット)ね」
「そうです。アレです」
久方振りの再会故に、話は弾む。
ふと気が付くと、海側のドアから客が入って来た。
スタッフの様子を見ると、どうやら常連客らしい。
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2008年07月27日

相身互いの“客”(其の壱)

久方振りの『Jackpot』の話である。これは、忙しさにかまけてブログの更新がままならなかったことに加え、タイトルを決めかねた挙句に本文を書くことが出来なかったことによる。何卒ご容赦を。

それでは。

この日、『アムステルフェーン』の建物の横に自転車を停め、『ジャックポット』のドアを潜ったのは19:00になろうかという時刻であった。いつもよりも1時間程遅い。
この日、店内に居たのは店長I君とT姐さんであった。
「いらっしゃいませ」
の声に迎えられ、いつもの席(実を言うと海側のドアから入る私にとって此の席は最初に目に付く席であるのだ)に腰を下ろす。間髪入れず、冷たいおしぼりとコースターと灰皿が目の前に出てくる。

「はい、お土産」
と、いつものようにTさんにファイルを渡す。・・・・・・が、いつもと違って反応が鈍い。これは悪口ばかり書いているので流石の姐さんも怒ったのかな・・・・・・?と少々不安になった矢先、
「これ、読んだんですよね」
と、思いもかけぬ言葉が返ってきた。
「実は私もパソコン買ったんですよ」
「あ、そう」
成る程。
ならば、次回より帰国の際には記事は既読と考えて良さそうであるな。
「だけど、ブログの記事って順番じゃないじゃないですか」
「?・・・・・・ああ、新しい記事が上に来るからねぇ」
「だから読み辛いですよね」
「ま、最初は日記の用途が主だったしね。そうなると新しいのが上に来た方が都合が良いってこともあったからさ」
などと会話をしつつ、Tさん、印刷してきたファイルをパラパラと捲る。
「○○さんのブログって“Tさん”がいっぱいいるからどれが私だか判り難いですよね」
「そらしゃあないでしょう。だけどさ、“Tさん”だけじゃなくて“Mさん”も結構居るから書き分けが大変でね」
「あ、Mですか?」
「アレは従業員でしょーが。そうじゃなくてお客さんの方よ」
“Tさん”は、言わずと知れた『アムステルフェーン』のスタッフの中に居られる3人の女性である。書き分けが必要な際には『ジャックポット』のTさんは“T姐さん”、『グランキャフェ』のTさんは“T御姉様”、『パロット』のTさんは“Aさん”(これは名前の方)と表記するが、大抵の場合その店の記事内では“Tさん”と書いてしまうので、判り難いと言うのも道理であろう。
また、“Mさん”は全てHNのお3方であるが、イニシャルでは最初の2文字は全く一致してしまう。その為、あの方は1文字、この方は2文字、もうお一方は3文字を使用して表記する。こちらの方が私にとってはややこしい。・・・・・・閑話休題。

「それからね、こっちはみんなで食べて」
と、持参したのは「東京ばな奈」と「黒ベエ」。どちらかひとつにしようと思っていたものの、空港の売り場を見ていると矢張り両方買いたくなり、とうとう2つ購入してしまったものである。
いやはや、最近はスイーツも食してくれる相手も出来たことで、いつもならば指を銜えて見ているだけの空港の土産売り場や都内のスイーツショップで品定めや買い物が出来るのが嬉しい。故にこれからもあちこちの店で何やかやと買い物をして“土産”を押し付けることもあるであろうが、どうぞご了承の上ご笑納頂きたい。

「あとさぁ、こんなの要る?」
と、更に小さな包みを渡す。
「開けていいですか?」
「どうぞ」
出てきたのは、近くの『東○○○ズ』で購入した、ロールケーキを模った石けんである。チョコレートのスポンジを模した部分にはカカオの成分が入っているのだとか。
「これ、この成分が効きそうですよね」
「そんなもんかね」
Tさん、ふと私に目をやり、しげしげと見ながら
「ところで○○さんは何使ってるんですか?」
「アタシ?その辺で安売りしてる普通の石けんだけど」
「「牛○石けん」とか?」
「「○乳石けん」は滅多に安売りしないから使わないねぇ」
我が家の近くのドラッグストアでは、何故か「花○」の石けんの方が安売りされていることが多い。
「あとは石けんが切れたらボディソープで顔も一緒に洗ってるかな?」
「そうですか・・・・・・」
Tさん、些か鼻白んだ様子。が、ソンナコトを無頓着で肌の手入れもせぬ私に聞いても仕方が無かろう。冬の間は手荒れの為にハンドクリーム位は使うが。
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2008年03月27日

ゆく河の流れは・・・・・・(其の伍)

『ジャックポット』に戻って来ると、何時の間にかゲーム台が双方とも大盛り上がりになっていた。バイト君2名は汗だくになってディーラーを務め、ゲームを捌いている。
流石にこれでは私がゲームに参加して茶々を入れる余裕は無い。・・・・・・尤も、この折には結構飲んでいたのでゲームなどという億劫なものに参加をする積りも無かったのであるが。

さて、席に戻ろうとカウンターを見ると、置いていったコートがいつの間にか何時もの場所に置いてある。コースターと灰皿も新しいものが私の何時もの席にある。
「?」
と思いつつ先に座っていた席に着こうとすると
「あ、其処で良いですか?席、空きましたけど」
と、Tさん。
「あれ?何、それ、私の?」
「そうですよ」
「あ、そう。じゃ、そっちに移るワ」
『グランキャフェ』にしても『ジャックポット』にしても私の座る席はほぼ決まっている。どちらもカウンターの右端の席である。特に『ジャックポット』の場合、端の席は一寸高くなっている場所が有るので、肘を掛けてゆったり寛ぐ(場合によってはそのままもたれて眠ってしまう)のに丁度良い。
このときも、折角の心遣い故に素直に席を移動したものである。

「クラウディースカイリッキー」を注文し、ひと口飲んで人心地付く。
「ところでさ、今、幾ら?」
「少々お待ちください。・・・・・・¥6,650ですけど?」
Tさんが不安げな面持ちで言う。
「いやいや、もう5桁にしようなんて無茶は言わんよ」
「でも○○さん、『グラン』の分足したら5桁行くんじゃないですか?」
「そらまーね、そうでしょ」
『ジャックポット』と『グランキャフェ』をハシゴするようになってから、双方で貰う飲み物は酒だけでも10杯にはなるのである。他のもの(例えばチェイサーのウーロン茶)を入れるともっと多くなるし、『グランキャフェ』では飲み物以外のものは口にせぬが『ジャックポット』ではつまみなり食事なりを貰うことも多いので、勘定もそれなりにはなる。

「それにしてもTさん、最近売れっ子なんじゃない?この間も『グラン』の助っ人に行ってたし、今日は『按針』でしょ?」
「・・・・・・って言うか、私、要らない子なんですよ」
「何だ?そりゃ」
「助っ人に行くのは良いんですけど、何処に行っても「あ、時間だね。じゃ、帰って良いよ」って、こうですもん」
それは“要らない子”では無く『ジャックポット』に遠慮をしているのではなかろうか?
あれだけ型破りでありながら懐っこいキャラはそうそう居ないであろうに。だからこそ、私も『ジャックポット』に通うのだし現に彼女の勧誘で店を移った方もいらしたではないか。
・・・・・・などとは本人には言わぬが。どうせまたこの一連の記事も印刷して持参するので目にはするであろうし。
(ちなみにTさんはパソコンを所持しておらぬので、リアルタイムで記事を読むコトは無いのだそうな。故にこれらの記事が“土産”として喜ばれるのである)

賑わっていたゲーム台もどうやら一段落したようである。EちゃんとHa君がカウンターの中に戻って来た。
「疲れました〜」
「はいはい、お疲れさん」
2人とも目が疲れたようで、仕切りに瞬きをしている。
「そうそう、この間ね」
「はい」
「外出したときにコンナモン見つけたのよ。いる?」
取り出したのはガチャガチャのカプセル。
「これ、「ガンダム」ですか?」
「そうそう。あのね、これ、2頭身のキャラなんだワ。でね、写真見てたら「アッガイ」が何とも可愛かったのヨ。アレ、ギャグ漫画で取り上げられたりしてたんでね」
「そうなんですか」
「うん。で、「アッガイ」欲しくて買ったんだけど出て来なくってね。それは要らないから、あの「シャアザク」の隣にでも置いといてよ」
「はい」
Ha君、素直に受け取ってカプセル毎プラモデルの傍に置く。
この後思い付いて一寸『グランキャフェ』に行ったりもしたのであるが・・・・・・。

「ところでラストオーダーどうします?」
「あれ?もうそんな時間??」
「はい」
「そう。じゃね、「デリーフデ」と「XYZ」ね」
「はい、畏まりました」
「デリーフデ」に帆を掛けて・・・・・・慣れたものとて「デリーフデ」がすぐに運ばれて来る。中身は変わらぬが、グラスを変えたりデコレーションを変えたりと毎回違う趣向で運ばれて来るのは天晴れである。
口に運ぶ。すっきりとした飲み口と香り高いリキュールが心地良い。
・・・・・・と、ここでI君、何故かレジを打ち始める。
「一寸待った。「XYZ」は?」
「あ、すみません。私、間違ったんですよ」
と、Tさん。
何のことやら。・・・・・・と言うよりも、先程ふいっと外に出たりしたので気を遣ってくれたのであろう。
金額が提示される。
金を払う。ここでは“何時もニコニコ現金払い”が常である。尤も、カードは好きではないのでネット通販(『ハウステンボスショッピングモール』等)以外の買い物でカードを使ったことは無いが。
レシートが手渡される。後の為にとごちゃごちゃとレシートに書き込みをしつつ
「I君、ウーロン茶1杯しか入ってないってコトは無いよね」
「え?ちゃんと入れましたよ」
よくよく見るとウーロン茶は5杯分になっていた。どうも纏めて算出されているとレシートが読み辛い。
「それじゃ、またね」
「ありがとうございました」
送られて店を出る。
この後少々飲み足りぬ思いのままに『パロット』に寄って2杯程を飲み、アレ程馴染んでいた「関白失脚」を酔いのままにド忘れしてしまったものである。『アムステルフェーン』を辞し、部屋に戻ったときには既に1:30を回っていた。

今回は一晩のこと故にこれで終わりである。
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2008年03月26日

ゆく河の流れは・・・・・・(其の肆)

グラスが空いた。
「次、何にしましょう?」
と、これはI君。
「じゃあね、「アイスブレーカー」頂戴」
これはテキーラベースのカクテルである。テキーラ・ホワイトキュラソー・グレープフルーツジュースを2:1:2の割合でシェイカーに入れ、それにグレナデンシロップを1スプーン加え、シェイクしてロックスタイルにする。「ロングアイランドアイスティー」と匹敵する度数でありながらほんのり甘口である飲み口とロックスタイルの口当たりの良さで割りとすいすい飲んでしまうカクテルである。
が、I君、キョトンとしている。
「・・・・・・無理だったら「テキーラサンライズ」で良いよ」
「少々お待ちください」
こう言って、何処かへ出て行ってしまったものである。

しばらくして戻って来たI君、
「やっぱり「テキーラサンライズ」で」
と言いつつ、カクテルを調える。
I君、何処に行っていたのか?ローリング・ストーンズのメンバーが絶賛したと言うこのカクテル、ご覧の通りオレンジジュースが非常に多い。故にアルコールも弱めであるので、そろそろ薬が効き始めて副作用が出つつある私の胃には優しい。
しかし、此処で飲んでいると何せ明るいものだから自分の酔いには気が付き難いものである。その為、折角のカクテルもオレンジジュースの甘酸っぱさを楽しみながらアルコールが物足りぬ思いをしていたものであった。

ややあってTさんが『按針』より戻って来た。
「只今ぁ〜」
「ほい、お帰り。んじゃ、お土産」
とファイルを手渡す。
「あとさ、こんなの食べる?」
と、手渡したのは『資生堂パーラー』の季節限定「さくらチーズケーキ」。ここのチーズケーキはひと口サイズなので、手軽に食せるとあちこちで評判が良い。
「あ、ありがとうございます」
「そう言えばさ、甘いモンってどうなんだっけ?Tさんはイケルとしてもさ」
「えっと、I君は食べられますよ。Ha君はどうだっけ?」
「あ、僕も大丈夫です」
「あ、そう。Eちゃんは駄目なんだっけ?」
「僕は駄目ですねぇ」
では、丁度良いかな?これは3ヶ入りの箱であるし。
Eちゃんにはそのうち何か見繕って持って来るとしようか。

ふと気が付くと、店内がガランとしている。
どうやら花火が始まったらしい。
それなのに、スタッフの誰一人として私に花火が始まったと促しはせぬ。
私もその夜は特に興味を持たなんだので、そ知らぬ顔で飲み続ける。
「今、何時だ?」
「え〜っと、21:00一寸前ですね」
Ha君は花火後の勧誘に備えて外に出てしまった。答えたのは偶々目の前に居たEちゃんである。
「そっか。そう言や、21:00っから『グラン』でピアノの演奏が有るって聞いたっけ。一寸行って来るね」
「はい、どうぞ」
と間髪入れず答えるのはI君。カネも払っておらぬ客にこう答えられるのは、権限を持つ店長ならではであろう。
「どれ、んじゃ、一寸行って来るかな」
と「テキーラサンライズ」を飲み干して席を立ちかけると、外に出ていたTさんが店内に戻って来ていた。
「何処行くんですか?」
「『グラン』」
「○○さん、別にMの顔見に行かなくっても良いんですよ」
「何でMの顔見に行くのよ。これからピアノの演奏があるんだってば」
「そうですよね」
こう言いながら、Tさん、またもや外に出て行ってしまった。
頃は良しと私も『グランキャフェ』に行き、ピアノを聴きながら2杯程を飲み、再び『ジャックポット』に戻る。
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ゆく河の流れは・・・・・・(其の参)

「ところでさ、私、薬飲まなきゃならないんだけど空腹で飲むなって言われてるんだよね」
「あ、じゃあ「イタリアンサンド」なんかどうですか?」
「う〜ん、それ、何入ってるの?」
「え〜と、トマトとレタスと生ハムとチーズと・・・・・・」
「そう。じゃ、それ貰えるかな?」
「畏まりました」
Eちゃん、「イタリアンサンド」を調えに奥に引っ込む。その間飲みながらHa君をからかって遊んでいたのであるが、ふとしたことから隣りの女性客が大阪から見えた、ということに話が及んだ。
「大阪ですか。あそこも美味しいところがたくさんありますよね」
「そうですね」
「私も以前は好きで年に1度位通ったことがあるんですよ」
「そうですか。で、何処へ行きました?」
「私は専らミナミの方で食べ歩いてましたね。特に千日前に有った『だるま』っていう食堂には結構通いました」
「そうなんですか。私はどちらかと言うとキタの方が行動範囲で・・・・・・」
「キタ、ですか。そう言えば、お初天神のところにあった『阿み彦』っていうところには行ったことがありましたけど」
「ああ、『阿み彦』でしたら場所は移りましたけどまだやってますよ」
「あ、場所変わったんですか」
「変わったって言っても近くですけどね」
いやはや、妙なところではあるが話が尽きぬものである。
ちなみに、私が大阪通いをしていたのは10年と一寸前、あの頃は道頓堀の近辺が矢鱈元気で、戎橋のたもとには「たこ焼きアイス」やらピエロのオブジェやらメリーゴーランドやらが店内の名物になっていた『ハーゲンダッツ戎橋店』が有ったり、モアイ像のようなものがエントランスにあった『道頓堀ホテル』という(一見ラブホ風の)ビジネスホテルが常宿だったり、空を見上げるとフグやらイカやらタコやらが看板にくっついて踊っていたり・・・・・・と、これは今もあるであろうか?
話に興じているところで
「お待たせしました」
と、皿が運ばれて来た。

この日の夕食はこれであるこちらが注文の「イタリアンサンド」である。軽く炙ってあり、仄かな温みが手に伝わってきた。
早速、頬張る。
パンはピタパンやフォカッチャなどと同じようなもっちりとした生地である。
「あ、このパン、やっぱ「イタリアンサンド」ってだけあってフォカッチャとかピタパンなんかと同じような食感だね」
「それって何ですか?」
Eちゃんが不思議そうな顔をして聞く。
こちらは思わずずっこけそうになる。
君ね、店の売り物なんだからピタパン位は何処かで食べときなさいね。最近はコンビニでも「ピタサンド」などの取り扱いがあるようだが・・・・・・あせあせ(飛び散る汗)

こちらでも「ハイボール」はバーボンでその後、こちらでも「ジムビーム」を「ハイボール」で貰い、ちびちびと口にする。ふと見ると、『K』のAさんとFさんが入って来たので軽く会釈を交わす。こちらは、以前Fさんがご一緒だった“こちらの方”と仰るお2人連れと4人で飲み始めている。

ふと、入口に人影が見えた。
おや?と思い、軽く身構える。
と・・・・・・
「どぉ〜ん」
と言いながら、T女王様が体当たりをしてきたものである。
流石にこれは予想外のことであった故、こちらも受け切れず、カウンターにつんのめる。
「あ、強過ぎました?」
ってアンタねぇ・・・・・・たらーっ(汗)
Ha君は目を白黒している。流石に慣れた(であろう)I君とEちゃんは笑いを噛み殺している。
「ま、良いけどね。んじゃ、これ・・・・・・」
と“土産”のファイルを出そうとすると
「あ、私未だ『按針』の助っ人なんですよ。もう一寸で戻ってきますから」
と言い、傍らの4名様を『按針』に勧誘し始める。Tさんの勧誘に
「それじゃ、一寸・・・・・・」
と言いながら4名様ご一行が『按針』へと移動する。
アンタって娘は・・・・・・勧誘に来ただけか。
尤も、これは『ジャックポット』のスタッフであるTさんにしか出来ぬ芸当であろう。真逆に『按針』の従業員がわざわざ『ジャックポット』で勧誘などする訳にはいかぬであろうし。
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2008年03月24日

ゆく河の流れは・・・・・・(其の弐)

「そう言えばさ、Sa君は?」
「Sa先輩は、今一寸学校の方に専念したいってことでお休みしてます」
「あ、そ」
・・・・・・成る程、だからHa君が入ってきたという訳か。
どうも見慣れた顔を見ないと思ったら・・・・・・。
「それはそうと、Eちゃんさぁ」
「はい?」
「その“先輩”ってのそろそろ止めない?」
「・・・・・・はい」
「体育会系で仕込まれてるのは判るけどさ(此奴は元サッカー部である)、社会人になったらみんな“さん”付けで呼ぶでしょーが」
「そうですね」
「今から癖付けときなさいよ」
・・・・・・人のコトは言えぬのであるが。私にしても、中学・高校の6年にも渡って運動部に居たので“先輩”が抜けずに苦労したものである。実際、当の“先輩”にお会いすると
「●●先輩!」
とお呼びしてしまいそうになるのを堪えるのが精一杯なのである。
「で、Ha先ぱ…、いや、Haさんがですね・・・・・・」
そうそう、その調子。

「そう言や、Ha君は何年生?」
「僕は2年生です」
「そう。で、Eちゃんが1年生だっけ?」
「はい」
そうか、ならばこの2人は当分の間は顔を見ることになりそうであるな。
「そうそう、○○さん、Hiさんって知ってます?」
「あー、『グラン』に居るコだっけ?」
誰あろう、Hi君こそ以前Mさんに
「イケメン?」
と散々からかわれてイジメラレたバイト君である。

「そうです。何だか僕と良く似てるって言われるんですけど」
「ま、そーね」
「この間学校でHiさんの彼女さんにHiさんと間違われたことがあったんですよ」
それは、確かにツクリは似ているが雰囲気は全く違うであろうに。
それとも、余計な小道具(EちゃんにはT姐さんとI君、Hi君にはMさんと・・・・・・NさんかT御姉様を添えるとそれらしくなるやも知れぬ)を取っ払うと似た雰囲気になるのであろうか?
ふと、思いついて聞いてみた。
「んじゃ、Eちゃんの彼女は間違えたコトは無いの?」
「あ、それは無いですねぇ」
隣りでHa君が笑いを噛み殺している様に見えた。
知らぬは本人ばかりなり、であるのやも知れぬな。

グラスが空になった。
目の前に居るのはEちゃんである。I君は何処かへ行ってしまった。Tさんは未だ戻って来ない。この状況で
「注文したいんだけど、I君、何処?」
と聞く程私の心臓は強くない。
「んじゃ、次はね・・・・・・ビルドはイケるんだよね」
「はい」
頭を抱え、考えるときの癖とてカウンターを人差し指でトントンと叩く。今宵の気分はジンであるが、「ジントニック」や「ジンバック」を飲む気分では無し、「ジンフィズ」や「トムコリンズ」は確かシェイクがあった筈であるし、「ネグローニ」もカンパリが効いていて割りと好きだが確かメニューには無かった筈・・・・・・。
「じゃあね、「ジンリッキー」くれる?」
「畏まりました」
今宵の「ジンリッキー」はレモンではなくライム慣れた手つきで「ジンリッキー」を作る。サッパリと飲みたい場合「ジンソニック」という手もあるが、何となく辛目の味が飲みたくなったので、ジンがダイレクトに味わえる「ジンリッキー」を注文したのである。
出て来たグラスに口を付ける。
ライムが効いて美味い。が、
「今回はライムで作ったんだ」
「「ジンリッキー」はライムですよ?」
「いや、前にTさんに作って貰ったときはレモンだったんでね」
処と場合によってはライムだったりレモンだったりするのが「ジンリッキー」である。・・・・・・オリジナルのメニューはライムであるそうだが。
「この「ジンリッキー」なんですけど、僕が最初に覚えたカクテルなんですよ」
Eちゃん、嬉しそうに言う。
「そう」
こちらは飲むのに夢中で上の空。
思いついて聞いてみた。
「そう言えばさ、Ha君は作らないの?」
「僕は作らないですね」
ニコニコしながらHa君が言う。
・・・・・・ま、今は良いが次回(来月)迄には何か覚えときなさいね。
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2008年03月23日

ゆく河の流れは・・・・・・(其の壱)

ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。
(流れ行く河の流れは絶えて止まることが無く、しかも、流れているのは元の水では無い。流れが遅くなっている淀みに浮かんでいる泡さえも、あるものは弾けて消え、あるものは泡を結ぶ。この儚い泡すらも長く止まっていることが無いのである。故に・・・・・・時の流れが止まることなどあろうか?)
(鴨長明「方丈記」前文、カッコ内はdaydreamerによる拙訳)

最近のハウステンボスを歩いていると、このフレーズがふとした瞬間に浮かぶことがある。それまでにもリニューアルが無い訳ではなかったが、此処1・2年のハウステンボスの変化はあまりにも目まぐるしく、時折訪れる程度の私などは右往左往し掛けることもしばしば。・・・・・・それは、まぁ、今年迄は中期計画とやらがあり、平成20年度の目標が単年度黒字という現実であるからして、ある程度までの大幅な変化は避けられぬであろう、と思っていたが。

それはそうとして、直に接するスタッフにバイト君達が多い『ジャックポット』も割合に人の入れ替わりが目立つ店である。・・・・・・とは言うものの、店長Taさんと女王様Tさんは変わる訳では無し、特にTさんなどはリニューアルオープンしてより根を張るが如く此処に居るので、全く何もかもが変わっている訳では無い。

さて。

この日、15:00頃より貸切であった『ジャックポット』は、どうやら何時もの開店時間には後片付けでてんてこ舞いをしていたらしい。先に『グランキャフェ』のTさん(自転車を停めたら近くで窓ガラスを磨いていた)にそれと聞き、1時間程を『グランキャフェ』で潰してから入店したものである。
「いらっしゃいませ」
の声に迎えられ、カウンターに席を占める。何時もの席には初見の女性客が居られたので、其処から2つばかりおいた席に腰を下ろした。
ふと見ると、Tさんが見当たらぬ。そこで、カウンターに居たEちゃん(今迄“H君”や“▼ちゃん”と書いていたジャニーズ系イケメンバイト君である。流石に面倒になってきたのでとうとう“Eちゃん”呼ばわりを始めてしまった)に
「お宅の女王様は?」
「?」
「Tさんよ。今日は休み?」
「今は『按針』に応援に行ってます。もう少ししたら戻って来ますけど」
「あ、そう」
またも休みの日に行き合ったかと一寸冷や冷やしたものであった。

「そう言えば、○○さん、Ha先輩とは会ったことありました?」
「んー・・・・・・多分初めてだと思うけど?」
「じゃ、呼んできますね」
止める間も無く、店外にすっ飛んで行く。
程無く、もうひとりのバイト君を連れて来る。
「○○さん、Haさんです」
「どうも、○○です」
「Haです。宜しくお願いします」
「こちらこそ。ところでさ、Ha君は前は何処の所属だったの?」
「僕は・・・・・・前から此処の所属だったんですよ。ただ、人数が多かったんで屋台の方にばっかり居ました」
「あ、そうなの」
「はい。ですから、Sさんとも一緒に屋台に出てて、そのときにいらっしゃってるのを見かけたことはあります」
「あらま!それはそれは失礼を」
「いいえ」
となると、会ったのはS君と私が双方風邪を引いていた12月の帰国時であろう。それでは“一寸遅刻気味”だったS君を助けて屋台を切り盛りしていたのか。
で、このHa君であるが、何とも穏やかな雰囲気を纏ったバイト君である。話し方も緩やかであるので一層穏やかさが増している。少々神経を患っている私であるから、今もって“成長途上”であるEちゃんやある意味“丁々発止”をせねばならぬI君よりも落ち着けるのが良い。・・・・・・Tさんなどは“年の功”で適当に合わせてくれるのでこちらも端から気楽に構えられるのであるが。

「ところで、何にしましょう?」と、これは隣に居たI君。
「そうね・・・・・・「シンガポールスリング」貰える?」
「畏まりました」
I君がシェイカーに材料を入れているところで、Eちゃんと話をする。
「ところでさ、Eちゃんシェイク出来るようになった?」
「ええ、まぁ、何とか」
「あ、そ。じゃあ、後で何かシェイクで作って貰おうかな」
ニヤリと口の端に笑いを上せる。・・・・・・と、I君がEちゃんの前にシェイカーをトンと置く。
「後、氷入れて振るだけだから」
と言われて慎重に氷を詰め、ストレーナーとトップ(つまりシェイカーの上半分)を被せて振る。正面から見ているので定かでは無いが、どうもI君張りに前方に重心を置いて振っているらしい。・・・・・・しかし、その真剣な顔つきを見ると、吹き出しそうになるのは私の癖なのであろうか?危うく笑いが出そうになるのを腹の底でじっと堪え、カクテルが出来るのを待つ。

Eちゃん作「シンガポールスリング」出来上がってきたのがこちら。「シンガポールスリング」である。
早速、口に運ぶ。
・・・・・・味が無い・・・・・・
実際、念入りにシェイクしようとしている感じがありありと出ていて、こちらもハラハラしていたものである。矢張り、振り過ぎでちと薄まっていたのであろうか。
無論、振りが足りぬ場合も酒がきちんと混ざらずアルコールが突出する。これは、Mさんが未だ居た頃にAちゃんのカクテル(ダイキリ)を飲んで感じたものである。
・・・・・・何れにせよ、未だ未だEちゃんのシェイクは練習が必要になろう。練習台にはなるから、経験を積んで美味いカクテルを飲ませて欲しいものである。
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2008年01月28日

負けじ魂(其の拾)

ところで、先の記事の「デリーフデ」を撮影する際、デジカメのモニターを見たところI君と並んで作業をしていたTさんがバッチリファインダーに入っていたのが見えた。
「Tさん、悪いけど写るから退いてくれる?」
と言うと、何を考えたのだかTさん、ニヤリと笑って一歩前に出る。
この位置では写真の中央に写るではないか。
「あ、そう。それなら・・・・・・」
とカメラを構えると、今度は慌てて下がる。ならば最初から下がれば良いのに・・・・・・(お蔭で貴重な“Tさんのショット”を撮りはぐってしまった)。

それはさておき。

第四弾「ボストンクーラー」締めの「XYZ」の前に、Tさんが出してきたのがこれである。
「これは・・・・・・中身は何?」
「「ボストンクーラー」です」
これは、ラムベースのカクテルである。炭酸飲料はソーダを使うときとジンジャーエールを使うときがあるが、この「ボストンクーラー」は然程甘みを感じなかった故、恐らくはソーダを使用したものであろう・・・・・・と、これはI君が「ボストンクーラー」を作ってくれた際のご紹介でも申し上げたような気がする。
言ってはナンだが、Tさん、案外“意外性”へと冒険しないような傾向が見られぬことも無い。何せこの日作ったカクテルのうち「ブロードウェイ・サースト」は以前『カフェ・デ・ハーフェン』に居た頃のMさんが作ったものであるし、「ボストンクーラー」は先にも申し上げた通りI君が作ったものであるし、「テコニック」「ブランデーバック(ホーセズネック崩れ)」「XYZ」は私の注文であるし・・・・・・それは兎も角。

今回のデコレーションは、極薄切りのオレンジを半月に切り、それをグラスに刺したものである。原理は簡単であるが、この極薄切りを作るのには良く切れる包丁(ぺティナイフ)と当の本人の腕が必要になる。実際、手の利かぬ今の私では、この極薄切りを作ることが出来る自信は、全く無い。ちなみにこのオレンジ、放っておいても捨てるだけであるし、そろそろ糖分も補給したいと思っていた矢先であるのでスッと取って食してしまったものである。
グラスを傾けつつ、話に興じる。いつの間にやら『クロントン』のFさんも加わり、スタッフをも交えながらの話になっていた。交々の話は尽きず、いつの間にか時間が静かに過ぎ去って行く。

そんな中、Tさんが言う。
「○○さん、ひょっとしたら念願が叶うかも知れませんよ」
「?」
「ほら、5桁に乗せたいって言ってたじゃないですか」
「あ、あれね」
いつの間に、それ程飲んでいたのであろう。
もしかしたら、これはチェイサーにとガブガブ飲んでいる「ウーロン茶」が効いたのやも知れぬな。

第五弾「XYZ」そしてこれが最後の「XYZ」である。前日はデコレーションなぞ付けなかった癖に、この日は最後までデコレーション付きのカクテルで通してしまった。しかも、それぞれ趣が違う。こればかりは天晴れとしか言いようが無い。

飲んでいる間に伝票が来た。
「で、幾ら?」
「¥10,500です!」
「ほお、行ったねぇ」
夜も更けたこととて、最早此処には知り合いしか居らぬ。
私は思わず感嘆の声を漏らす。
期せずして、拍手迄もが沸き起こる。
・・・・・・が、カネは支払ったもののグラスにはまだまだたっぷりと「XYZ」と「ウーロン茶」が残っている。

閉店後のことである。テーブル席には客は残って居らぬ。
カウンターに座っていたのもFさんとS君、そして私の3人である。
S君、先程のカタログを、今度はFさんにも見せながらまたもや一頻りレゴ談義に話を咲かせる。両脇で、Fさんと私はそんなS君を見遣りながらうんうんと頷く。
スタッフ達は後片付けに大わらわ。

楽しい時間はあっという間に過ぎて行く。
いつの間にか、グラスも空いていた。
先ず、Fさんが店を出る。
S君も少々ふらつく足取りで店を出て行く。
この日も、最後に残った客は私であった。
「じゃ、遅くまでどうも」
「ありがとうございました!」
スタッフ達の声に送られながら店を出る。

その後、何故かT姐さんが『アムステルフェーン』の入口まで付いて来た。
途中、『パロット』のTさんが客を送りに出てきたのに出くわした。
Tさん、今宵は肩を出したドレス姿である。
「おーおー、色っぽい恰好しちゃって」
と、からかいながらその場を離れる。『パロット』も、今宵は賑やかな声が響いていた。

『アムステルフェーン』の入口で、名残を惜しみながら話をする。
「そう言えばさ、『グラン』のNさん、昨日ちょっと話をしたんだけど「後は若い人に任せようかと・・・・・・」なんて随分年寄りじみた話し振りだったっけね。そんな歳でも無いだろうに」
「そうですね・・・・・・幾つくらいに見えます?」
適当に見繕って答えてみる。Tさんの答えによると、私の見繕いもそう遠からじといったところであったようである。
「じゃ、やっぱりそんな歳じゃ無いじゃない」
「そうですね。それに、N君抜けたら後はハ○のMしか居ませんしね」
・・・・・・いや、まぁ、私もそこまでハッキリと言った例は無いが・・・・・・
「それじゃ、今日はどうも」
「ありがとうございました。またお待ちしております」
見送られながら“常宿”へと歩みを進める。
頬を刺す空気は、いつにも増して冷たかった。

お詫び方々・・・・・・m(_ _)m
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2008年01月27日

負けじ魂(其の玖)

戻って来た『ジャックポット』は、いつもの(客の落ち着いた)『ジャックポット』であった。いや、“いつもの”『ジャックポット』では無かったやも知れぬ。何せ“シンデレラ”のH君がカウンターの中に居たのだから。
「あれ?H君、今日は帰んなくて良いの?」
「いや、僕、別に早く帰らなきゃならない訳じゃないんですよ」
・・・・・・その割にはいつも
「お先に失礼します」
があったようだが?
「僕、ここから自転車で15分位のアパートに住んでるんです」
「ふ〜ん、じゃ、自転車通勤?」
「そうです。だから今の時期は寒くって・・・・・・」
まぁ、そうだろうな。特にコイツは矢鱈寒がりのようであるし。
そんなH君ではあるが、カウントダウンの日には流石に自転車を置いて帰ったのだそうである。
「あの日、雪が降ったじゃないですか。だから、その日だけはS先輩に車で送って貰ったんですよ」
「成る程ね」
「でもその日、従業員用の駐車場までお客さんに開放してたんですよ。だからゲート迄歩いていったんで、やっぱり寒かったですよね」
「カウントダウンねぇ・・・・・・やっぱ忙しかった?」
「僕、その日屋台だったんですけど、(午後)2:00から(午前)1:00迄ずっと立ちっ放しでしたね」
「それはそれは・・・・・・ご苦労さん」
ここでくるっと右を向き、傍らに居たTさんに話しかける。
「カウントダウンもね、一遍来てみたいとは思うんだけど、やっぱり都合が付かなくて中々、ね」
「来ない方が良いですよ。だって○○さん、人込み嫌いでしょ?」
「ま、ね」
「あ、でも来れば“普段と違ったハウステンボス”が見られますよ」
「うん・・・・・・でもやっぱり止めとくワ。人が多いのは得意じゃないし」
そうだろうとばかりに頷くTさん。

「ところでさ、折角だからH君に何か作って貰おうかな」
「こうしてみんな一人前になっていくんですねぇ・・・・・・」
訳の解らないオヤジのような台詞を、S君がしみじみと吐く。
「ところで、何が出来るの?」
「えっと・・・・・・」
「メニューにあるものは大体出来ます」
「シェイクとかは未だ無理だけど、ビルドものだったら大丈夫ですよ」
店長TaさんとT姐さんがほぼ同時に助け舟を出す。
「そう、じゃね、「スプモーニ」貰うかな?」
「アルコールは?」
「今日は流石にがっつり飲んでるし、弱めにしてくれると嬉しいな」
「畏まりました」
H君作「スプモーニ」そこで出てきたのがこちらの「スプモーニ」。
「この、アルコール弱めのところが▼ちゃんの愛情です」
ソンナモノは、どうでも宜しい。

「スプモーニ」を飲みながら、食い残していた「チーズ」を片づける。
ふと、思いついてTさんに聞いてみた。
「今さ、幾らくらい?」
「少々お待ちください」
文字がずらりと並んだ伝票を取り出してくる。
「今、¥7,700ですね」
「そうか・・・・・・んじゃ、今日はイケるかな?」
「?」
「いやね、一遍ここで5桁の勘定払ってみたいと思ってね」
「『グラン』に浮気しなきゃ5桁行きますよ」
・・・・・・根に持っているものだ、この姐さんも。
私にしてみれば『グランキャフェ』も捨て難い場所としての位置を確立しつつあるのである。照明を絞って静かな音楽が流れる中、独りグラスを傾けて越し方、行く末をしみじみと見詰める。たまさかに流れるピアノにうっとりと聞き惚れ、音楽の世界に心遊ばせる。時折ふと浮かび上がるカクテルの色が幻想的な世界を募らせ・・・・・・それは、まぁ、ヒトが目を閉じて音楽に聞き惚れているときに
「寝てますか?」
などと聞いてくる阿呆も居るがむかっ(怒り)

「ま、取り敢えず・・・・・・値段が高いのはオリジナル位か・・・・・・じゃ「デリーフデ」ね。あと、「ウーロン茶」のお代り頂戴」
「無理しなくても良いですよ・・・・・・・」
I君作「デリーフデ」既に飲み慣れた「デリーフデ」ならば、それ程アルコールも強くは無かろうし問題は無かろう。これが「ブラックジャック」だと少々強過ぎるし、「ハーフェン」は甘過ぎて悪酔いしそうなのである。
「今日は昨日より体調良さそうですね」
と、Tさんが言う。
確かに、前日は眠気が増してきて仕方が無かった時分であるが、この日は眠気は起こらぬ。矢張り、チェイサーでガブガブ飲んでいる「ウーロン茶」が効いているのであろうな。

「ところで、そろそろラストオーダーですけどどうしますか?」
「そうだね・・・・・・何か1杯と、最後に、えーと、「XYZ」とよく似たレシピで「ラストキッス」ってのがあるんだって?それ飲みたいな」
「「ラストキッス」ですか?・・・・・・I君、知ってる?」
TさんとI君、2人で首を傾げている。I君など、奥の引き出しからカクテルブックを取り出す始末。
「あ、んじゃいいや。「XYZ」ね」
「それじゃ、次までに調べておきます」
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2008年01月23日

負けじ魂(其の捌)

そうそう、四方山話の中でTさんに
「○○さん、これ書いてくださいね!」
と言われた話があったのを思い出した。
・・・・・・それは入店して間も無くの頃・・・・・・
客が少ない少ないと言っていた『ジャックポット』であったが、前日『グランキャフェ』から戻ってきたときには結構な客が入っていた。テーブル席は端まで満席、カウンター席も半分近くが埋まっていたのである。
そこで、店長Taさん(I君)とTさんが居るところで
「昨日はお客さん結構入ってたじゃない。テーブルなんか満席だったしさぁ」
と話を振ったところ、I君、
「そりゃ○○さん、僕の魅力に引かれて来たんですよ」
と、しれっとした顔でのたまう。傍らのTさん、プッと吹き出して
「○○さん!これ絶対ブログに書いてくださいね!!」
と爆笑しながら言ったものである。私にしても、このようなオイシイネタを放っておく訳には参らぬ。
「そらあ、勿論でしょう」
と筆記具を探すが、メモ帳はあれどボールペンが見つからぬ。
「I君、ボールペン持ってる?」
「ありますけど」
と渡されたボールペンで先の台詞を殴り書きしたものである。・・・・・・それはそうとして。

「ところで○○さん、何か食べないんですか?」
「あのね・・・・・・私、酒飲んでるところに食べ物があると煩いのよ。そうじゃない?」
と、傍に居たTさんに話を振る。
「昨日の話で○○さんの言う“煩い”の意味は解りましたけど、私は食べ物をたくさん並べておきたいクチなんで・・・・・・」
「あ、そうなの」
「で、本当に何か食べておいた方が良いですよ」
「そうね・・・・・・じゃあ「チーズの盛り合わせ」でも貰えるかな?」
「カマンベール無いんで、その分スモークチーズになりますけど良いですか?」
「別に構わないけど」
「それじゃ、少々お待ちください」

一寸ひと息、「チーズ盛り合わせカマンベール抜き」彼の如くのやり取りの末に出てきたのがこちらの「チーズ盛り合わせ カマンベール抜きヴァージョン」である。以前に貰った「チーズ盛り合わせ」との違いは、中央にあるブルーチーズの有り無しとチーズそのものの数である。カマンベールの分を入れたとしても、スモークチーズは、以前のものは確か二切れ皿に盛られていた様な気がする。
「チーズ盛り合わせ」を選んだのは、胃壁の前に蛋白質のブロックを作り、胃がこれ以上傷つかないようにする配慮であった。が、この晩摂った固形物はこの「チーズの盛り合わせ」のみであるのだから健康には良いのか、悪いのか・・・・・・。
隣りで、S君がチーズの皿を見ながら言う。
「○○さん、ブルーチーズ食えるんですか?」
「ま、これ位ならね」
「俺、絶対駄目です。鼻に匂いが付いて・・・・・・」

「ところで○○さん、「ジェンガ」やりません?」
「やらない」
「そうスか・・・・・・」
S君、出鼻を挫かれて少々いじけてしまった様子。
「ところでさ、何で「ジェンガ」?」
「あそこにあるんスよ」
言われるままにS君が指し示した壁際を見ると、確かに「ジェンガ」が鎮座ましましている。
「何でこんなトコに「ジェンガ」があるの?」
「いや、今結構流行ってるんですよ」と、これはI君。
確かに、後に「ジェンガ」に興じるカップル客を見て唖然としたものであった。
「他にも何か欲しいスよね」
「次はDSでも置くか?」
・・・・・・何だったら私のDSを貸そうか?
あくまでも“貸すだけ”であるが。
それに、これからドラクエX・YがDSに移植されるということなので、本当に貸すとしても何年も後の話になるであろうが。

チーズを食しつつグラスを傾けると、ショートドリンクの「ブロードウェイ・サースト」であるのですぐにグラスは空になる。
「次、何にしましょう?」
Tさんに聞かれてふと思った。
折角の“デコレーションシリーズ”であるのだから、アレを頼んでみようか?
「じゃあさ、「ホーセズネック」頂戴」
「・・・・・・「ホーセズネック」抜きの「ホーセズネック」でも良いですか?別名「ブランデーバック」とも言いますけど」
「・・・・・・まぁ、別に構わないけどさ」
「ブランデーよりカルヴァドスの方が風味が良いですけど」
「任せるよ」
第三弾「ブランデーバック」といったところで、この「ブランデーバック」が出て来た。
「また変わったデコレーション付けたねぇ」
「ホテルズのカクテルはみんなこれですよ」
言われてみれば、以前『ヴィノテーク』のNさんに切り方を教えて貰ったデコレーションである。あの折に使っていたのはオレンジであったが、今回はレモンであるので少々見違えてしまった。
そして、このデコレーションを見た瞬間、S君の目がキラリと光った。
何でも、実家に帰った後、同様の(というよりもう少しカジュアルな)バーにバイトが決まったそうであるので、こういったものに目が行くのであろう。
「これ、どうやって作るんですか?」
「いや、これは原理は簡単だよ。皮を途中までこう剥いて、両方の端っこを逆切りにして、ここに先を差し込む、と・・・・・・」
「俺、これ覚えたい」
「んじゃ、手に取ってみ」
「良いんですか?」
「どうぞ」
「じゃ、遠慮なく」
抜き取ったレモンのデコレーションを渡すと、S君、ためつすがめつ眺めながら差し込んだ先端を抜き、また差し込み・・・・・・を幾度か繰り返す。
「成る程ね・・・・・・ありがとうございました」
戻ってきたデコレーションは、Tさんが用意してくれたショットグラスに落とし込む。

割り物のジンジャーエールのお蔭か「ブランデーバック」は非常に飲み易い。あっという間にグラスは空になる。チーズもあらかた片付き、後はスモークチーズの2片を残すのみである。
S君、どうしてもゲームがしたいようで、カード台に行こうと仕切りにSa君を促す。
「○○さん、S、どうしてもゲームやりたいようだから付き合ってやって貰えませんか?」
珍しくI君が私にゲームを勧める。
「じゃ、行こうか」
嬉々としてカード台に進むS君。Sa君もディーラー席にスタンバイし、それでは、と私もカード台に向かうが・・・・・・
「○○さん、そんなに俺のこと嫌いですか?」
むくれた様なS君の声に我に返る。
私は、いつもの様に端の席の椅子に座ろうとしていた。
そして、S君が既に座っているのは中央の席。
「いや、別にそんな訳じゃないけど、いつもの癖でね」
「○○さん、隣に座ってやってくださいよ」
Sa君にも言われ、苦笑いをしながらS君の隣り(実際はひとつ置いた席)に移動する。
「何か飲みます?」
「じゃ、「ジンソニック」ね」
ここで出て来た「ジンソニック」はデコレーションを付けないオーソドックスなものであった。

「ところでさ、そのカードホルダー直ったの?」
「未だ応急処置です」
この会話を皮切りに、ゲームが始まる。
“弱い”と自分で言うSa君のディーラー振りであるが、この日は中々どうして、どうして。それなりにプレイヤーを勝たせ、勝たせるばかりで無く適当なところで自分が勝ってはチップを回収する。
が、私の“バースト無し癖”は今回も健在であった。勝ちはせずともバーストも数えるほどしかしなかった・・・・・・ような気もするが定かでは無い。
ここでゲームをしているのは、ディーラーがSa君、プレイヤーが私とS君である。3人が3人とも静かにゲームをする訳ではなく、時に合いの手を入れ、時に勝った負けたと言い合う。必然的に注目を集め、
「見るだけでも良いですか?」
と仰る方もあれば(尤も「座ってご覧になれば?」とお勧めしたら苦笑いをして手を振っておられたが)、ゲームに参加したいと仰る方も出てくる。ゲームのやり方が判らぬと仰ったものの、プレイヤーの私もS君も慣れている上に「ヒット」だの「ステイ」だのと動作と言葉を両方駆使してプレイしているので、存外あっさりとゲームの進め方をご理解なさったようである。
男性の女性の2人連れが新たに加わってゲームが進められる。ここでも、Sa君のディーラー振りは変わらず、適当に負けてはここぞと言うところで勝ってチップを回収する。が、そろそろ本来のSa君のディーラー振りの片鱗も出てきたようで・・・・・・。

ラストゲームが終わったところで席を立つ。
「あれ?彼女何処行くの??」
と、同席なさった方が仰る。
「いや、一寸休憩を。それに、ゴアイサツに行かなきゃいけないトコロがもう1軒ありますんで」
「そうか。じゃ、行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
バッグを取りにI君とTさんの居るカウンター近辺に行く。
「○○さん、Mになんか義理立てしなくても良いんですよ」
と、Tさんが言う。
「う〜ん、義理立てはMさんよりTさんだね。昨日「クッキーの感想言いますんで来てください」って言われてるしね」
「え?でもあのクッキー未だ食べてないんじゃないですか?置いたままにしてありましたよ」
「まぁ、でも、行くって言っちゃったからね。取り敢えず行ってくるワ」
「そうですか。じゃ、行ってらっしゃい」
「はいよ、行ってきます」
『グランキャフェ』に行き、カクテルを3杯。相も変らぬ阿呆な話をし、ピアノの演奏に酔い痴れ、再び『ジャックポット』に戻る。

余談に今朝の話など
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2008年01月21日

負けじ魂(其の漆)

翌日、またもや昼寝の後に起きたのは前日とほぼ同時刻の17:30を少し回ったところであった。

この日は自転車は借りて居らなんだ故、テクテクと歩いて『アムステルフェーン』へと向かった。途中、澄み切った空気の中、輝きを増した「ドムツリー」を見ながら暮れ泥むハウステンボスの街並みを歩き、建物の海側の方へと回って『ジャックポット』に入った・・・・・・と、此処迄は前日と同じ行程である。
店内に入ると、前日とは違ってスタッフが勢揃いしていた。四方山話もそこそこに、いつもの席に腰を下ろす。

「何にしますか?」と、Tさん。
「そうだね・・・・・・「テコニック(テキーラトニック)」貰えるかな?」
最初の1杯は、あまりアルコールの強くないものにしてみた。何せ(昼寝の後とは言え)疲れは益々酷くなってきていたのであったから。
が、
「お待たせしました」
と出て来た「テコニック」を見たときに、私は思わず爆笑してしまったものである。

第一弾「テコニック」爆笑の訳は、これをご覧頂ければお判りになるかと思う。
「ちょっとちょっと、何、コレ!」
「○○さん、アタシに「デコレーションしたカクテル貰ったこと無い」って言ってたじゃないですか。だから、今日はデコレーション付けてみました」
だからと言ってフツー「テコニック」のようなカクテルにこんなデコレーションを付けるものか?大抵はレモンのスライスを落とし込むだけであろうに。
ひとしきり笑った後、口に含む。テキーラの刺激的な味とトニックウォーターの苦みが調和した、紛れも無い「テコニック」である。

ふと見ると、何やら見覚えのある顔が店内に入ってくる。・・・・・・しかも、女連れで。
「こんばんは」
「あれ?」
12月に此処を辞めたS君である。
キョトンとした顔の私に、S君
「俺、○○さんに此処辞めたって言いませんでしたっけ?」
「いや、それは先月聞いたけど、アンタ、年内に実家に帰るって言わなかったっけ?」
「いや、俺、2月一杯までは此処(長崎)に居ますよ。帰るのは3月です」
「あっそ」
「んで、今日は「誕生祝いしてやる」って言われて此処に来たんですよ」
「ふーん、成る程ね」
真逆またコイツと会うとは思いも寄らぬことであった。
テーブル席に着いた女性陣と分かれてカウンターに席を占めたS君、声を潜めて私に言う。
「▼(H君)に、今“先輩”って呼ばれましたよ」
「そらしゃあないでしょう。先輩には違いないんだし。大体、アンタ学校でも先輩でしょ?」
「それはそうですけど・・・・・・」
「だけどさ、そういう口調から見ると、あのコ体育会系かな?」
「サッカーやってたみたいですよ。その頃の写真を見せて貰いましたけど、もうちょっとふっくらしてふてぶてしい面構えしてるんですよ。その頃の方がTさんの好みかもしれませんね」
「あ、そう」
などと話に興じていると、ぬっと入って来た人影がある。
誰かと見ると、『グランキャフェ』のMさんであった。カマンベールチーズを借りに来た様子であるが、『ジャックポット』も生憎切らしていたらしい。入ってきたときと同様に、のっそりと出て行く。
・・・・・・私とS君はMさんの顔を見た瞬間に吹き出していたのであるが。

カウンターの中に居たI君が、ひょいと何やら取り出しS君に渡す。
「あ、ありがとうございます!」
何を取り出したかと首を伸ばしてみた。
S君、開いて見ながらほらほらとばかりに私の方へそれを向ける。何かと思えばレゴのカタログである。
「○○さん、コレ見てくださいよ。コレは俺も作ったんですけど、こっちは2〜3時間位で出来ましたけど、こっちは8時間位掛かったんですよね・・・・・・」
延々とレゴ談義に花を咲かせるS君。その傍らに来たI君、ひょいっとS君の携帯を持ち上げる。
ん?何やら見覚えがあるものがジャラジャラと付いているような?
「あ、これですか?」
見ると、先月私が『ジャックポット』に持ち込んだ“関東限定キティ”のうち3つが付いている。
「これ、どうしても譲れない3つを貰ったんですよ」
見ると、魚河岸の店員の恰好をした「築地」と、酔っ払いオヤジの扮装をした「新橋」と、昔懐かしのボディコンギャルに見える「六本木」の3つ。
そんなモンを嬉々として携帯につけているようでは、これはオタクのMさんを笑えんな・・・・・・。

「ところで○○さん、レモン絞らないんですか?」
「あ、これ?」
「まぁ、お好みですけど」
Tさん、私にそう声を掛ける。この“レモン”は「テコニック」にデコレーションとして添えられたレモンである。
折角なので、言われるままにレモンを絞り入れた。
テキーラの刺激が消え、レモンの酸味で飲み易くなった。
「どうですか?」
S君が横で尋ねる。
「ま、飲み易くなったけどね。レモンは酒臭さを消す万能薬だからね」
「万能薬ですもんね」
そう言うS君はビールである。1杯飲み干すと
「うわ・・・・・・俺、何だか酔っ払ってきたな」
って、おいおい。
幾ら学生だからといって、それはあまりにも弱すぎるのでは・・・・・・?
ちなみにTさんは結構イケル口、晩酌も欠かさぬらしい。未成年に聞くのも何かと思いつつH君にも聞いてみると、以前酎ハイを飲まされてふらふらになったことがあった由、となると多少なりともTさんの相手になるのはSa君位であろうか?そう言えばI君にはそのテの話を聞いたことは無いやもしれぬ。

第二弾「ブロードウェイ・サースト」グラスの空いた私に、2杯目としてTさんが作ったのは「ブロードウェイ・サースト」である。これは、恐らくオーソドックスなレシピで作ったものであろう。アルコールも甘みも酸味も突出せずにバランスが取れ、非常に飲み易かった。しかし・・・・・・
「あのさ、何で「ブロードウェイ・サースト」?」
「1杯目がテキーラベースだったから今度もテキーラが良いかな、って思って・・・・・・」
それこそ“美味いから構わぬ”が、テキーラベースならば他にも有名どころが幾つもあるであろうに。「マルガリータ」に、「テキーラサンライズ」に、「マタドール」に、「モッキンバード」に、それこそ以前Tさんが作った「メキシコローズ」に・・・・・・他の場所で飲んだものであったら「アイスブレーカー」なども結構好みだったりするのであるが。
それはともかく。
Tさん、またもデコレーションを施してある。が、今度のものはピンをグラスに渡してあるので、一寸飲み難い。
「飲み難そうですね」
と、出されたショットグラスにデコレーションを取り出して入れる。
「それ、食べないんですか?」
「ドレンチェリー甘いもん。食べられないよ」
「実は私も苦手です。甘過ぎて」

私やS君の空いたグラスを洗い出したH君に話し掛ける。
「H君さぁ、サッカーやってたんだって」
「はい。中学のときに」
「ん?高校ではやらなかったの?」
「ウチの高校、それこそプロになるような奴とか、特待の奴ばっかりがサッカー部だったんですよ。だからそれには流石に付いていけなくて」
「そうなんだ」
「中学ではワイワイ楽しくやれればいい、って感じだったですからね。時々中学の奴らと一緒にサッカーしたりしますよ」
「それが一番だろうね」
本当に、スポーツで怪我をしたり体を痛めたりする程阿呆らしいものは無い。我が身の経験から言っても・・・・・・と、これ以上は愚痴になるので止めておこう。
ふと、S君が話に入る。
「やっぱり▼見てるとなぁ・・・・・・コイツは万人受けする“イケメン”ですよね」
「ま、そうね」
「俺の場合、5分5分なんですよね」
「何だ?それ」
「俺、喋りで持たしてるところありますからね。だから半分はイイ男だって言うし、半分は受け付けないし」
・・・・・・肯定も否定もし難い話はあまりしないで欲しいものだとつくづく思った一幕であった。
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2008年01月20日

負けじ魂(其の陸)

「お帰りなさい」
と迎えてくれたのは、先程『グランキャフェ』に応援に行っていたTさんである。私が『グランキャフェ』に行ったときには既に居なかったから、恐らく『パロット』に居たときに戻って来ていたのであろう。
「先刻、※※さん達来てたんですよ」
「うん、『グラン』にも来て、ご挨拶したっけね」
「私、○○さん戻って来ないんで『グラン』覗きに行ったんですよ。そしたら居たから※※さん達にあっちに居ますよ、って言ったんですよ」
成る程。
確かに私はカウンターの右端の席に居た。ここは、入口から一目瞭然の席であるので、一寸覗けば居るか居ないか位は判るであろう。

ここで、Tさんにひとつお詫びをせねばならぬことがある。
※※さん(Marさん)のお連れのお名前を、私は“I”さんと申し上げた。が、実際は“Y”さんが正しいお名前である。
実は、他のところ(仕事の関係上)※※さんや**さんとほぼ同時期にお会いした方で“I”さんと仰る方がいらっしゃる。そして、この“I”さん、風貌や年恰好など**さんたる“Y”さんと非常に良く似ておられるので、しばしば混同することがあるのである。
そして、こともあろうにTさんとの話の中でしっかりと混同して“I”さんと申し上げてしまった。どうかこのブログをご覧の方で『ジャックポット』に近々訪問のご予定がお有りの方は、Tさんにこのことをお知らせくださいますよう。
・・・・・・私の3月の帰国(ビネンスタッドのリニューアルオープンの週末)迄に間に合えば良いのであるが・・・・・・

「ところで○○さん、お食事は?」
と、Tさん。
「あのね・・・・・・酒飲んでるときに食べ物があるのは一寸煩くってね」
「煩い?って何ですか??」
「うーんと、鬱陶しいとか、煩わしいとか・・・・・・だから食べ物は欲しくないんだよね・・・・・・だけど、今は“挨拶回り”とかも行ったから一寸小腹が空いたかな?」
「じゃ、何かどうぞ」
と、久し振りにメニューが目の前に出てくる。
「ええっと、この中ですぐ出てくるのは何?」
「やっぱり「チップス&ナッツ」ですね」
「あ、そ。じゃ、取り敢えずそれを」
「そんなモンで良いんですか?」
「後はまた追々に頼むワ。あと、「デリーフデ」ね」

ゴアイサツ回りで流石に腹が減り、珍しくもコンナモノを・・・・・・という訳で、珍しく私の前にフードメニューが並んだ。「チップス&ナッツ」¥550である。ナッツは兎も角として(これは時々チャージで出てくることがある)、ポテトチップスなど○年振りに食したもので、中々手が出ぬ。
ナッツを幾らか口に含んだところで、ふとカメラを手にした。
モニターを覗くと、洗い物をしているSa君がバッチリ画像の中に入る。
「Sa君、ゴメン、写るから一寸退いてくれる?」
私がここをネタにしてブログ記事を書いているのは、当然スタッフ全員が知っている。そして、撮る写真は全てブログ記事にアップされていることも無論のこと知っている。故に、唯一の例外(一昨年のTさんの「Birthday Cocktail」に顔を“わざわざ”入れて写ったMさん)を除いて、スタッフは出来得る限り私のカメラからは離れているのである。
このときも、それと聞いたSa君、スッと後ろに下がった。シャッターを切り、フラッシュが焚かれたところでまたシンクに戻って洗い物を続ける。
一段落してふと私の手元を見たSa君、皿の上のものがあまり減っていないのを見たようである。
「○○さん、温かいものなんか如何ですか?」
「そうだね。そっちの方が喉通るかな?」
「じゃ、「ソーセージ」なんか如何ですか?」
「良いね。じゃあ、「パンチェッタ」と盛り合わせてくれる?」
「畏まりました」
・・・・・・バイトのコイツの方が“店長”や“姐さん”よりも営業は上手いかも知れぬ・・・・・・

「ソーセージ&パンチェッタ」の調理中(つまり未だ出て来ていない)に、グラスが空いた。
「お代わり、どうします?」
「そうね・・・・・・「ロングアイランドアイスティー」は出来る?」
「畏まりました」
これは、ロングのカクテルながら結構アルコール度数が強い。何せ材料にジン・ウォッカ・ラム・テキーラを全て使う。そして、不思議なことに紅茶なぞ一滴も使っておらぬ癖に微かに紅茶の味がする。
調理を終え、Sa君が「ソーセージとパンチェッタの盛り合わせ」を運んで来る。ほぼ同時に、I君が「ロングアイランドアイスティー」を乗せたコースターを私の手元に押し出す。
「あれ、何ですか?」
「「ロングアイランドアイスティー」。紅茶を使ってないけど紅茶の味がするんだよ」
ビールサーバーの近くで、I君がSa君にカクテルの説明をしている。
このとき、テーブル席は満席であった。滅多に客が居らぬ廊下側入口近辺の席迄もが埋まっている。そして、テーブルを回って注文を取り、通すのはTさん。カウンターとテーブルの間を行ったり来たりしながら私の手元を見る。
「○○さん、何飲んでるんですか?」
「これ?「ロングアイランドアイスティー」だけど」
「またそんな強いのを・・・・・・」

**さんと※※さんは『シェヘラザード』へ行ってから『ジャックポット』に戻るかも、という話をしていた。23:00近くなると、流石にうとうととしかけたが真逆に寝る訳には参らぬ。
「チェイサーに「ウーロン茶」くれる?」
「チェイサーだったらお水出しますよ?」
「いや、一寸は売り上げに貢献しないとね」
「何を言ってるんですか。お水が一番高いんですよ。ほら、レモンも入ってるでしょ?」
「阿呆か」
この後「ウーロン茶」は無事に私の手元に来た。
口に含むと茶葉特有の渋味が口中をサッパリさせてくれた。心なしか、胃の重さもスッと取れたような心持がする。
これは、翌日も飲んで試してみねばなるまい。
「ところで、今日は『ヴィノ』行くんですか?」
「もう遅いからね、ここで終わりにするよ」
「じゃ、ラストオーダーどうしますか?」
「んじゃ「XYZ」ね」
「畏まりました」
・・・・・・とうとう『SUNBUCA』の定番オーダー“「XYZ」締め”をハウステンボスにも持ち込んでしまったものである。

閉店の時間が迫ってきた。
テーブル席の客は、勘定を済ませて店を出て行く。気が付けば、客は既に私ひとり。
「○○さん、飲んでて良いからお勘定お願いします」
Tさんの持つ伝票が私の目の前に出て来る。
「はいはい。幾らかな?」
カクテル6杯+ウーロン茶+フード2種で〆て¥7,200である。
「やっぱりここ安いよね・・・・・・」
勘定を払いながら言うと、I君、驚いたような顔で
「これでも結構上げたんですけど・・・・・・」
と、言う。
確かに1杯¥1,000取ったものもある(「ロングアイランドアイスティー」がそれである)し、以前の“一寸したジュース並み”の価格に比べればそれなりに上がっているのやも知れぬ。が、例えばTDSのパーク内の“ラウンジ”(唯一酒が飲める“バー”である)でカクテル4杯+ホットサンドイッチ1種で¥5,000を超える勘定を取られるのに比べると、矢張り、ここは安い。
これは矢張り5桁越えの勘定を支払ってみたいもの、と、私にも火が付いてしまったような付かぬような・・・・・・。

閉店後、スタッフ達は大量の皿とグラスを洗い、拭き上げて棚に戻す。私は、少々持て余しながらもグラスの中身と皿の上のものを腹中に収め、時々ひょいとシンクに空いた皿やグラスを渡す。
突然、既に閉められていたドアが開いた。
驚いて見ると、入って来たのは『グランキャフェ』のMさんである。
「何で居るんですかexclamation&question
「・・・・・・コレ見てよ」
目の前のグラスと皿を指差す。
未だ未だ片付いていないテーブルの上から、Mさん、皿やグラスをカウンターに戻している。これは少々急がねばならぬとグラスを空にし、皿の上のものをウーロン茶で流し込む。
「いや、終わった。ご馳走さん」
「ありがとうございました!」
間髪入れず、スタッフが口々に言う。
壁際に掛けられていたコートは、ホールに居たMさんが取って渡してくれた。こういった場所の例とて着せ掛けようとする手は断り、コートを羽織ってバッグを肩に掛ける。
「どっちが開いてる?」
「どっちでも良いですよ」
これは、ドアの話である。海沿いのドアと廊下側のドア、この店にはふたつの出入口がある。I君の話を受け、先ずは海側のドアへと歩きかけるが
「あ、イカン。こっちに自転車停めてたんだっけ」
と、廊下側のドアへと向かう。
「じゃ、どうも。また明日」
「はい、お休みなさい」
・・・・・・その後何故かMさんが『アムステルフェーン』の入口迄付いて来た。
「○○さん、それで自転車乗って行くんですか?」
「・・・・・・んな訳無いでしょ?酔っ払ってんのに。押して帰るよ」
この日飲んだのは(昼のワインを別にして、『アムステルフェーン』内だけで)11杯。幾ら軽めのモノを多く飲んだと言っても、これで自転車を漕いで“飲酒運転”をする度胸は、私には無い。
「それじゃ、また」
「ありがとうございました。お休みなさい」
「はいはい、どうも。また明日」
その日は、そのまま常宿に帰り、自転車を停め、部屋に戻って“スポーツドリンクの水割り”で喉を潤してから、就寝。
posted by daydreamer at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | Jackpot Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

負けじ魂(其の伍)

「今日はいつもより出足が早いかな?」
「もうすぐ花火ですからね」
「あれ?花火ってこんなに早かったっけ??」
「今月から1時間早くなってるんですよ」
あ、そうか。
冬場は夜が早い故、ハウステンボスの花火も1時間早い19:45〜となっていたのだった。
宿泊客ばかりでは無く日帰り客もいることであるし、この配慮は寧ろお子さん連れなどには当然と言えるものであろう。・・・・・・だからと言って“Night Spot”迄が1時間早く閉店、などと言い出したら私などは怒り狂うであろうが・・・・・・流石にそれは無いのであるが。
それはそうと、花火を前に海辺の店である『ジャックポット』には客が多く詰め掛けてくる。
この日もそうであった。
いつの間にかテーブル席の半分程が埋まっていく。

客にドリンクとフードが行き渡り、テーブルを囲んでちょっとひと息、と客が落ち着いた頃には花火の時間が迫っている。
いつもの通り、スタッフ達は花火の時間であることを告げ、外に出るように客を促す。
「で、○○さん、お代わりはどうします?」
店内に客が居なくなってから、I君、私にお代わりを勧めに来る。
「そうね・・・・・・何か軽いものを」
「畏まりました」
サッと出てきたのは「グレープフルーツリキュール+トニックウォーター」のオリジナルカクテルであった。柑橘系の甘酸っぱさと爽やかさが、そろそろ酒に疲れた舌や疲れが出て来た体に心地良い。
ここでふと思ったことがある。
I君が作ってくれる“オリジナル”は、思い起こしてみるとリキュールベースのものが多いような気がする。これは、『ジャックポット』にリキュールが(ある程度)揃っていると見れば良いのか、それともI君自体がリキュールを使うのを得意としているのか・・・・・・?
ま、それこそ“美味いから構わぬ”のであるが。

花火が終わった。客が店内に戻ってくる。
・・・・・・いや、増えている。
再び、オーダーが次々に追加される。
それを横目で見ながらグラスを傾ける。
「こんばんは」
と、入口の方で声がする。
見ると、『クロントン』のFさん(女性スタッフであり、この方も時々一連の文章に“『クロントン』の女性”として登場している)である。この方とは、昼間『パサージュ』のセレクトショップでお会いしてお話をしていたのである。
「あ、こんばんは。“挨拶回り”に行く前でしたね」
「ね。間に合いましたね」
何も義理立てなどせずとも良かろうが、此度は新年の帰国であるので顔見知りが居る『パロット』と『グランキャフェ』には行っておいた方が良かろうかという話をしていたのである。その際、Fさんは
「じゃ、荷物に挨拶をすることにならないように早めに行きますね」
と言っていたのである。
「本当にここ、来るの久し振りですよ」
「そう言えば昼間にも聞きましたっけね」
などと話が始まる。・・・・・・と、少々お年嵩のご夫婦が見えてカウンターの向こう端に腰掛ける。
「あ・・・・・・ここ(ハウステンボス)の方ですよ」
と、Fさん。双方で目礼をしている。
「すみません。一寸向こうへ行っても良いですか?」
「構いませんよ。私もそろそろ“挨拶回り”に行かないと、ね」
「じゃ・・・・・・」
と、Fさん、グラスを持ってカウンターの向こうへ行く。

時計を見ると、既に20:00を回っている。
あまり遅くなるとまた心配をさせるであろう。何せ
「I君、前回私が帰って来なかったから「居ますか?」って『グラン』に電話してたっけね」
「いや、「○○さん、どっか他の世界へ行っちゃってますか?(つまり「寝てますか?」と聞いている)」って電話したんですよ」
「流石に寝て無かったけど2人掛りで捕まってたからね・・・・・・」
眠れなくなったのは、I君が『ジャックポット』に来た頃とほぼ同じくらいである。必然的に寝てしまうことも多く、I君には「ワタシ=寝る」という図式が出来てしまっていても何ら不思議は無い。
それは兎も角、私もあまり遅くなると動くのが億劫になるのでさっさと移動をしたい。手元には『パロット』への“TDSグッズ”もあるので、これもさっさと置いて来たいし。
カウンターの中にはH君が居り、I君は奥に入ってフードメニューを調えているところであった。
「H君」
「はい?」
「これから“挨拶回り”行ってくるけどさ、勘定どうするか聞いてきてくれる?」
「解りました」
H君、とことこと奥へ入り、戻って来て言うには
「帰って来るならいいそうです」
「了解。じゃ、一寸行ってくるね」
「はい、行ってらっしゃい」
またもコートは面倒なので置かせて貰ったままである。
入口へと歩きかけ、Fさんに
「じゃ、“挨拶回り”行って来ますね」
「はい、行ってらっしゃい。じゃ、また」
「はい、どうも」

『ジャックポット』を出て、先ずは『パロット』に行く。
土産を渡し、初見のYさんとご挨拶し、1曲歌って少々話をする。
そこで何故か『グランキャフェ』のMバーテンダーの話題が出てきていた。私とYさん(この方は元々ハウステンボスのスタッフであったのだそうな)は散々“お笑い系”のエピソードを笑っていたのだが、ふとTさんを見るとちと目がキラキラと輝いているような・・・・・・。
(これは、翌日の『グランキャフェ』でT御姉様と話をして理由が判明したものである)
Mバーテンダーの話から派生し、ひとしきり「やまかつ」や「全員集合」「ひょうきん族」などの昔のお笑いの話をして『パロット』を出る。
そして『グランキャフェ』にて挨拶をし、隣の方とお話をしながら数杯を飲み、思いもかけずご挨拶に見えた**さんと※※さん(Marさん)とも一寸お話をしてから(『グランキャフェ』にての顛末は後程「揺れる短夜」とでも題して一連の記事に致そう)再び『ジャックポット』へと戻った。
posted by daydreamer at 18:51| Comment(0) | TrackBack(0) | Jackpot Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

負けじ魂(其の肆)

酸味の利いた美味いカクテルを飲みながら、またもやあれこれと話をする。何せ時刻は未だ早い。スタッフ達は雑用をしながらひょいと私の話し相手を入れ替わり立ち替わりしてくれる。
が、時計を見ると、19:00に程近い時刻。
「じゃ、私、そろそろ『グラン』の応援に行ってきます」
Tさん、こう言って『ジャックポット』を出て行く。

グラスの中身が半分くらいになった頃、◆◆さんがお連れを伴って『ジャックポット』に入って来た。
「あ、おめでとうございます。今年も宜しくお願い致します」
「おめでとうございます。こちらこそ宜しく」
お連れには、彼女は■■から来ていて・・・・・・と、私の説明をしている。
「ヒラリーが亡くなったね」
「あ、今朝の新聞で読みました」
「そう。・・・・・・そう言えば、そこに貼ってある中にヒラリーの札があったね」
偶々カウンターの中に居たのはH君とI君であった。I君、早速カウンターの向こうに貼られた外国の札をガサゴソと探る。
「えーと、これですか?」
「違う違う。その上の・・・・・・あ、それじゃなくて隣りの・・・・・・そうそう、それ」
1枚の札がカウンターに出てくる。
それを◆◆さん、お連れに見せている。一通り話が終わると
「はい、これ」
と、札を私に差し出す。
見れば、ニュージーランドの札である。ヒラリー氏・・・・・・いや、ヒラリー卿はニュージーランド人であるので、世界で始めてエベレスト(チョモランマ)登頂に成功し、英国王室より勲章や称号を授与された英雄を札の肖像として留めたのだ、と、このとき◆◆さんより教えて頂いた。
札の肖像は、未だ若い。
「これは、登頂に成功したときの肖像ですね」
「そうだね。実際のヒラリーはもうジイサンだからね」
それはそうだ。ヒラリー卿は米寿を迎えておられたのだから。
「君は、ヒラリーを知ってる?」
◆◆さん、突然話をH君に振る。
「ええと・・・・・・」
困惑した顔をするH君。
「駄目だなぁ。世界史で勉強しますよ、世界史」
それでは私もアウトである。私は高校時代日本史を選択した為に世界史などまるで知らぬのだから。
お連れと話を始めた◆◆さんの横で、こっそりとH君と話をする。
「H君さぁ、新聞は読まないの?」
「はい、読まないですね」
「う〜ん、君ね、客商売だったら新聞くらいは読んどいた方が良いんじゃないかい」
「でも、おカネ掛かりますよね」
「あ・・・・・・そうか、月¥3,000位にはなるもんね」
「そうです。¥3,000もあったら何日か分の食費になりますから」
・・・・・・難しいものだ。
社員として入っているのならばともかく、バイトにはそれ程無理強いは出来ぬ故に・・・・・・。

そこへ、この日遅出であったSa君が来る。
「おめでとうございます。今年も宜しくお願いします」
とのゴアイサツを済ませると
「今日は遅かったんだね」
「僕、今日新年会だったんですよ」
「あ、そう。ご馳走出た?」
「もう食い過ぎて腹パンパンですよ」
ベストの上から腹を撫でる。

ひとしきりお連れと話をしていた◆◆さん、ふいっと私の方を向く。
「そこにWINSがあるのは知ってる?」
「それは、まぁ」
「そこで競馬やったこと、ある?」
「いやあ、そこでは無いですねぇ」
「何でやらないの?やりなさいよ」
「そうそう。今回はグレードのレースがありますからね」
お連れまでもが話に入ってくる。
「へぇ、この時期に。何のレースでしょうね」
「ええと、確か明日のレースはひとつがグレードの規格に合わなくてJのレースになったんだよな。シンザン記念はGだっけ?」
「いや、シンザンはJです」
「そうなると何だろうな・・・・・・?」
「今日は競馬手帳を持って来なかったですからねぇ・・・・・・」
翌日、WINSの前でレースを確認してみた。GVの「ガーネットステークス」(ダートレース)であった。
「競馬はやったこと無いの?」
「いや、随分前にありますよ。男友達やなんかと5〜6人で「有馬記念」に行きまして・・・・・・トウカイテイオーのラストランのときですね」
「ほう」
「私、さだまさしさんのファンなんですよ。で、さださんがラジオで「トウカイテイオーとビワハヤヒデ!」ってずっと言ってたんで素直にそれを買ったんですね」
「ああ、じゃ、結構儲かったでしょう」
「¥40,000近く手元に来ました」
「で、それはどうしました?」
「いえね、みんなで行ってるじゃないですか。だから「よし、これで今日は飲もう!」ってんですっからかんになりました。何せオトコいますから、飲むわ食べるわで結局¥2,000位しか残りませんでしたね」
「それで良いんですよ」
あと、競馬で当てたと言えばシンボリクリスエスが勝った「有馬記念」とスティルインラブが勝った「桜花賞」位であろうか?「有馬記念」の折には牝馬のファインモーションに人気が集まったため単勝で、「桜花賞」の折には3連複での当たりであった。どちらも¥30,000ちょっとの払戻金が手元に来たものの、「有馬記念」では京都の行き付けで散財し、「桜花賞」はまたもや同行の友人達との飲み食いに充てられてしまって手元には残らなかったのであった。
・・・・・・しかし、ここで何故競馬の話になるのやら・・・・・・

「ところで、ゲームは今日は無いの?」
◆◆さんが言う。
「じゃ、僕行きますよ」
と、Sa君。
◆◆さん、Sa君を伴ってルーレットのテーブルに行く。お連れの方はひと足先に勘定をしてからルーレットのテーブルに向かう。
このあたりで、テーブル席にもぼつぼつ客が入って来た。
posted by daydreamer at 10:18| Comment(0) | TrackBack(0) | Jackpot Story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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